そして誰もいなくなったの紹介:1945年アメリカ映画。アガサ・クリスティーの推理小説を原作とした映画作品。絶海の孤島、インディアン島に招待された十人の男女。彼らは屋敷の主人オーエンから殺人罪を告発されます。やがて童謡「十人のインディアン」になぞらえるように、一人一人が不審な死を遂げていき…。巨匠ルネ・クルーネ監督が描く傑作ミステリーです。
監督:ルネ・クルーネ 出演者:バリー・フィッツジェラルド(クインキャノン判事)、ウォルター・ヒューストン(アームストロング医師)、ルイス・ヘイワード(ロンバート)、ローランド・ヤング(ブロア)、ジューン・デュプレ(ヴェラ)、ミシャ・オウア(スタロフ)、C・オーブリー・スミス(マンドレイク将軍)、リチャード・ヘイドン(ミスター・ロジャース)、クイニー・レナード(ロジャース夫人)、ジュディス・アンダーソン(ミス・ブレント)、ほか
映画「そして誰もいなくなった(1945年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「そして誰もいなくなった(1945年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
そして誰もいなくなったの予告編 動画
映画「そして誰もいなくなった(1945年)」解説
この解説記事には映画「そして誰もいなくなった(1945年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
そして誰もいなくなったのネタバレあらすじ:起
舞台はイギリス、絶海の孤島であるインディアン島の屋敷に、年齢も性別も異なる十人の男女が集まってきます。彼らは信頼する友人達から、オーエンと週末を過ごすよう頼まれてきた招待客でしたが、皆夫妻を直接知る者はいませんでした。そしてオーエン夫妻が現れぬまま、ディナーが終わります。
若き教師ヴェラはテーブルの上に置かれた十人のインディアンの置き物を見て、古い童謡を思い出します。それは十人いたインディアンがだんだん減っていって、最後には誰もいなくなったという内容の他愛のない童謡でした。一同がくつろいでいると、召使のロジャースがレコードを掛けます。するとレコードからはU.N.オーエンを名乗る人物の声が流れ出し、突如十人に罪状が告げられていきます。
内容は集められた客人は皆殺人者であるという衝撃的なものでしたが、一同はこれを強く否定します。各々が島へ招待された意味を解せず、不安を抱えている最中、ロシア人のスタロフが硝酸入りの酒を飲んで死亡します。するとテーブルの上のインディアン人形が一体無くなっていました。
そして誰もいなくなったのネタバレあらすじ:承
翌朝には心労を訴えていたロジャースの妻が心不全で死亡、するとインディアン人形も八体に減っていました。二人の不可解な死は、十人のインディアンの童謡をなぞらえているようでした。
残された客人達は犯行がオーエンによるもので、彼がこの屋敷のどこかに潜んでいるのではないかという疑念を募らせていきます。生命の危機を感じる客人達は一刻も早く島を出たいと思いましたが、次の出航は月曜日と決まっており、それまで隔絶された孤島で過ごすよりほかありませんでした。
次に浜辺へ散歩に出かけた退役軍人のマンドレイク将軍が背中を刺され死亡、これで死者は三人となりました。次第に疑心暗鬼になっていく客人達、この中の誰がオーエンかという投票が行われることになりました。
投票の結果、ロジャースが一番疑わしいという結果がでました。ショックを受けたロジャースは隣接する薪小屋で眠ると宣言、屋敷を出て行きます。その夜、客人達はあらゆる部屋の鍵を閉め、用心を重ねて眠りにつきます。
そして誰もいなくなったのネタバレあらすじ:転
翌朝、ロジャースが何者かに頭を薪割りで砕かれて死亡します。インディアン人形は六体にまで減っていました。さらに自室で休んでいた老婦人のブレントがベッドでショック死をします。童謡の蜂に刺されたという歌詞になぞらえて、毒物を注射されたのでした。
残された客人達は、己の犯した罪について告白をしていきますが、ヴェラだけは無実を主張しました。その後、二階へと引き上げていったヴェラでしたが、部屋のドアを開けると風で蝋燭が消えてしまい、さらに何かが顔を覆う感覚に恐怖し、助けを求めます。
駆けつけた元陸軍大尉のロンバートと探偵のブロアが部屋を確認すると、天井から海藻がシャンデリアのようにぶら下がっていて、これがヴェラの顔に当たっただけであることが判明します。
今度は、階下をせわしなく歩きまわる音が聞こえてきて、ロンバートとブロア、ヴェラは階下へ降りていきます。すると判事が銃殺されていました。翌日になると、アームストロング医師の行方が分からなくなります。ブロアは医師の居場所に心当たりがあると言い出し、外へ飛び出していきますが、落ちてきたレンガの下敷きになり、死亡します。
そして誰もいなくなったの結末
ロンバートとヴェラが海岸へやってくると、アームストロング医師の死体が浜辺に打ち上げられていました。遂に残されたのはロンバートとヴェラの二人になりました。恐れをなしたヴェラはロンバートに銃口を突き付けますが、ロンバートは自分の名がチャールズ・モーリーであること、自殺した友人ロンバートの死の真相を探るため、彼に成りすましてここへ来たことを打ち明けます。
さらにロンバートは自分を撃って欲しいと要求、ヴェラが引き金を引き、ロンバートが浜辺に倒れ込みました。ヴェラが屋敷に戻ると死んだはずの判事がインディアンの童謡を口ずさみながらビリヤードを楽しんでいました。事件の真犯人は判事でした。
病に侵され、一年前に余命を宣告された判事は、善行を成して世を去りたいという歪んだ正義感からこの殺人計画を思いついたのでした。判事はヴェラに最後のインディアンのように首をくくるよう要求はしたものの、これまでの計画がうまくいったことに満足し、毒薬を飲んで自殺してしまいました。そこへロンバートが戻ってきます。ロンバートはヴェラに偽装殺人の協力をしてもらったのでした。
その後、屋敷に船頭がやってきて、二人は無事に島を脱出することができたのでした。
以上、映画「そして誰もいなくなった」のあらすじと結末でした。
アガサ・クリスティーの原作発表が1939年、以後その斬新的な着想及びストーリーから数多く映画化、ドラマ化されており、また設定のみを模してストーリーを変更するなどの派生作品も少なくありません。
そのなかで本作は原作に忠実に映像化したものと考えられますが、特に原作発表から間もない時期に作成されたということで、衣装や小道具などにも当時の時代を感じることができると思います。