Auroreの紹介:2005年カナダ映画。実際に1920年2月に起きた「Aurore Gagnon」という10歳で虐待により亡くなった少女の実話を元に作られた作品。本作でオーロラちゃんを演じた、当時12歳のマリアンヌ・フォッティナーはこの作品が映画デビュー作で世に認知された。また、リアルすぎる程の彼女の演技力に惹きつけられる。一部のマニアックな映画ファンしか知らない日本未公開作品。
監督: ルック・ディオーネ 出演者:マリアンヌ・フォッティナー(マリーオーロラ・ルシエンヌ・ガグノン)、サラジャンヌ・ラブロッシ(オーロラの姉、マリージャンヌ)、サージ・ポスティゴ(オーロラの父、テレスフォーン)、ステファニー・ラポインテ(オーロラの母、マリアン・カロン)ヘレン・ラクラーク(テレスフォーンの従妹でオーロラの継母、マリアンヌ・ウッデ)
映画「Aurore オーロラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「Aurore オーロラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「Aurore オーロラ」解説
この解説記事には映画「Aurore オーロラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
Aurore オーロラのネタバレあらすじ:起
オーロラは建築関係の仕事をする父、テレスフォーンと慈愛に満ちた母、マリアン・カロンの大きな愛に包まれて姉と妹と弟の大家族に囲まれて幸せに暮らしていました。一家は熱心なローマンカトリックを教徒の家系で、教会へ家族揃って熱心に通い、神父さんとも家族同然の付き合いをしている温かく謙虚な家族です。ある日、従妹のマリアン・ウッデ夫妻に会いに行くガグノン一家。子ども達にあまり遠くへ行かないように注意したマリアン・カロンは夫と共にウッデ夫妻と談話することにしました。ウッデ夫妻には息子が3人いて、子ども達はすぐに仲良く打ち解け合います。子ども達の様子を心配したマリアン・カロンは窓から納屋のような場所に閉じ込められた少年に子ども達が林檎を渡す姿を目にして違和感を感じます。直ぐにウッデ夫人にその事を伝えますが、「気にすることはない」と受け流されてしまいます。帰宅し、マリアンカロンはテレスフォーンに話します。「あの家族はおかしい、子ども達を遊びに行かせて大丈夫なのだろうか?」と。しかし、あまり家庭を顧みず、仕事人間のテレスフォーンもさほど気にしていない様子で「問題ない」と言います。
Aurore オーロラのネタバレあらすじ:承
一家は相変わらず教会へ通ったり親戚やオーロラ達の母方の祖父母と交流しながら穏やかな時間を過ごしますが、マリアン・カロンが当時は処置困難とされていた結核にかかり、徐々に体調を崩し始めます。子ども達が幼い頃はまだ外に出られましたが、やがて入院してしまうのです。そればかりでなく、ある日、ウッデ家に遊びに行った一家。オーロラはそこで突然いなくなった父を追って納屋に入り込み、ウッデ夫人とテレスフォーンが濃厚なキスを交わして肉体関係を結ぼうとしている寸前の現場を目にし、ショックを受けました。しかし、子ども達は祖父母の家に預けられ、そこで母の病気が治るまで幸せに暮らします。時が経ち、10歳になったオーロラと2つ年上の長姉、マリージャンヌは母親が退院する間、従妹のマリアン・ウッデ家族と共に元の生家へ帰る為、祖父母宅を離れることになりました。オーロラは別れの際、祖父に「ここを離れたくない」としがみつきます。祖父はオーロラを抱き上げると「子どもは父さん母さんと一緒にいるのが一番だ。そんなに寂しがらなくてもまたすぐ会える」と励まします。祖父母に愛情を精一杯受けてきたオーロラですが、母親の事を心配し、入院している彼女に手紙を送り続けます。一方で病院にいる母、マリアン・カロンはウッデが「危ない人物」だと夫に訴えますが、テレスフォーンは聞く耳も持ちません。やがて、子ども達が彼女と暮らす事を知ったマリアン・カロンは我が子の身の危険を訴えて精神的にパニックを起こし、見舞いに来ていた両親と看護師に無理やり押さえられ、拘束具をつけて入院生活を送る事を余儀なくされてしまいました。数日後に彼女は亡くなりました。そこからがオーロラにとって「最悪」の状況の始まりに過ぎなかったのです。マリアン・カロンの葬儀にて、テレスフォーンはマリアン・ウッデと結婚式を同時に挙げました。この時、マリアン・ウッデは真っ赤なフォーマルスタイルに身を包み、この場にいた子ども達は勿論、出席者全員に非常識だと言わんばかりの軽蔑の眼差しを向けられながら再婚します。オーロラ達の新しい母となったウッデ夫人は実は夫をマリアン・カロンが入院した頃に亡くした未亡人でした。彼女は冷徹で自分に些細な事でも「歯向かった」子どもには容赦ない体罰を与えて殺す残酷で非人道的な面がありました。徐々に本性をむき出しにした彼女は、最初はオーロラ達の末妹で僅か2歳のルシーナを標的にし、彼女が誤って「腐ったジャガイモを食べた」ことにして彼女を手に掛けます。次に、「2段ベッドの階段から落ちた事故」としてオーロラの弟、ジョージの命を奪ったのでした。誰がやったか分かっているオーロラは悲しみに暮れ、自分の無力さに打ちひしがれて泣きました。神を心棒する事を拒否し、「神様は母親と幸せを奪った」と激しい怒りを胸に秘めたまま、学校に特別講師として授業に来た顔見知りの神父さんにも反抗的な態度をとって叱られてしまいます。その事がマリアン・ウッデに発覚し、深夜に起こされて平手打ちを受けてしまいます。その異変に気付いたマリージャンヌが妹を守ろうと決意します。オーロラは祖父母や従姉に会う事で心のストレスを一時的に解放できていました。しかし、祖父母に会いに行く機会をテレスフォーンとウッデが中断させ、テレスフォーンはストレスからか仕事先で同僚達と対立して仕事を解雇されます。オーロラはある日、ウッデに溜め込んでいた思いをぶつけます。「貴方は私の母じゃない!」そこで怒り狂ったマリアンに木の板で攻撃を受けてしまいます。
Aurore オーロラのネタバレあらすじ:転
心の悲鳴がピークに達したオーロラは家を無断で飛び出して自殺しようと列車の線路に立ち入って彼女の存在に気付いた列車を止まらせます。その事が発覚し、テレスフォーンはかんかんに怒り、帰宅したオーロラを理由も聞かずに殴りつけて二階へ連れて行き。仕事用の斧ハンドルで彼女の痩せた脚を打ち続けて片脚に酷い怪我を負わせたのでした。オーロラの両親の知人の男が出てきて、彼は怪我の原因をオーロラに追求しますが。オーロラは両親を庇い、また傷付けられる事を恐れて「悪さをする男の子達にやられた」と嘘をつき通します。事態がおかしいと疑った知人はテレスフォーンとウッデを真っ先に疑います、近隣の住民から「尋常じゃない女の子の叫び声がした」という話を聞いていたからです。当然、2人は共謀して自分達ではない、不良少年に娘は襲われたの一点張りでした。オーロラは入院し、そこの看護師に温かく接してもらえますが、当時の児童虐待の発見や保護は乏しく、近隣の住民が知っていたとしてもよその家の事は見て見ぬふりをするのが「常識」なので、オーロラは適切な保護を受けずに病院に迎えに来た父とウッデによって家に帰されてしまいます。
Aurore オーロラの結末
マリージャンヌは事態の深刻さに怒りを感じ、妹を救おうとウッデに反発しますが、それを見たテレスフォーンに頬を打たれ、「良い子にしてないと次は自分」という身の危険を感じてオーロラを見守る事しか出来なくなりました。オーロラへの虐待は次第にエスカレートしていき、彼女が退院してから2,3日後に教会へオーロラを連れて行ったウッデは、オーロラが神父と話している隙に教会に置いてあったヘアクリップを盗み、夫に「オーロラがまた悪い事をした」と嘘の証言をします。その事で、オーロラは再び、やってもいない事で父親から深夜に棒で殴られ続けました。オーロラは身も心もボロボロになり、痩せこけ、生きる活力や笑顔を失いました。そして、夕食中に姉と共に食卓へ呼ばれて暖炉の火かき棒を体中に押し当てられて泣き叫んで以来、声を発する事も出来なくなる程衰弱していったのです。家庭が荒んでいる事を知りながらもウッデに命じられるがまま虐待に加担し、我が子を愛していたことさえも忘れてしまったテレスフォーンはオーロラへの虐待をやめる事はありませんでした。様子を不審に思った祖父母が会いに行こうとしますが、テレスフォーンとウッデが拒絶。一方、知人の男は神父に「ガグノン一家はおかしい、子ども達は学校へ行ってないし事は深刻」と伝えますが、神父は「あの両親は子ども達の面倒をよく見ている」と言って神父さん自体も真実から目を背けます。その結果、オーロラは僅か10歳で栄養失調と過度の暴力により、脳を傷付けられて亡くなりました。事の真相が明らかになり、近隣住民がガグノン家に無理やり立ち入ります。そして、近所のおばさんは「あんなに良い子だったオーロラをどうしてこんな目に」と怒りをウッデにぶつけます。「あの子は悪魔みたいな子だったから・・・子どもの悪魔よ。あんな子は今まで見たことがなかった」と淡々と感情がないままに言い訳をしました。ウッデとテレスフォーンは児童虐待の罪で裁判で罰せられ、逮捕日には村中の人々から罵声と非難を集中的に受けながら連行されてゆきました。生き残りでオーロラの死を見届けたマリージャンヌは祖父母に引き取られます。そして、真実を知った神父はマリアンウッデに謝罪の手紙を送り、遺体安置所にいるオーロラと対面して、虐待に気付けなかった事や彼女を救えなかった自分に涙を流して謝罪します。そして彼がオーロラを埋葬して彼女が安らかに旅立てるよう、穴の中に火を放って物語は幕を閉じます。
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