バルーン 奇蹟の脱出飛行の紹介:2018年ドイツ映画。東西冷戦下の1979年の東ドイツで、手作りの熱気球で西ドイツに亡命した2組の家族。1982年にディズニーが『気球の8人』として映画化した実話を『小さなバイキング ビッケ』のミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ監督がメガホンを取り、当事者である家族の協力を得て再映画化した作品です。
監督:ミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ 出演者:フリードリヒ・ミュッケ(ペーター・シュトレルツィク)、カロリーヌ・シュッヘ(ドリス・シュトレルツィク)、ダフィット・クロス(ギュンター・ヴェッツェル)、アリシア・フォン・リットベルク(ペトラ・ヴェッツェル)、トーマス・クレッチマン(ザイデル中佐)、ヨナス・ホルデンリーダー(フランク・シュトレルツィク)、ティルマン・ドブラー(フィッシャー・シュトレルツィク)、ティル・パッツ(ピーターチェン・ヴェッツェル)、ベン・タイシュマン(アンドレアス・ヴェッツェル)ほか
映画「バルーン 奇蹟の脱出飛行」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バルーン 奇蹟の脱出飛行」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バルーン 奇蹟の脱出飛行の予告編 動画
映画「バルーン 奇蹟の脱出飛行」解説
この解説記事には映画「バルーン 奇蹟の脱出飛行」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バルーン 奇蹟の脱出飛行のネタバレあらすじ:起
東西冷戦下の東ドイツでは、1976年から1988年にかけて3万8千人もの人々が自由を求めて西ドイツに亡命を試みましたがことごとく失敗に終わり、432人もの人が国境付近であえなく命を落としていました。東ドイツ政府は亡命を試みる者たちを裏切り者とみなして弾圧していました。
1979年、東ドイツのとある町に住む電気技師のペーター・シュトレルツィク(フリードリヒ・ミュッケ)一家と友人のギュンター・ヴェッツェル(ダフィット・クロス)一家は国家に忠誠を誓う素振りを見せていました。しかし、その裏でペーター一家とギュンター一家は息の詰まりそうなこの全体主義国家から脱出して西ドイツへ亡命する計画を立てていました。
ペーターとギュンターは極秘裏に熱気球を作っており、ペーター一家4人とギュンター一家4人の計8人で空を飛んで国境を超えようと計画していました。ところが、決行直前になってギュンターはこの熱気球は8人が乗るには小さすぎると訴え、計画の中止を求めてきました。
しかし、ペーターは熱気球には4人なら十分に乗れるとして自分たちの家族だけで計画を実行すると告げました。
その日の夜、ペーター、妻のドリス(カロリーヌ・シュッヘ)、長男のフランク(ヨナス・ホルデンリーダー)、次男のフィッシャー(ティルマン・ドブラー)は人気のない郊外に熱気球を運び入れ、上空に飛び立ちました。
ところが、高度を上げていた熱気球は途中でガス管の凍結を起こしてしまい、バーナーの火が消えて落下を始めました。熱気球はあと一歩で国境を越えることなく手前で墜落してしまいました。
バルーン 奇蹟の脱出飛行のネタバレあらすじ:承
ペーター一家は幸いにも怪我はありませんでした。ペーターたちは熱気球を積んできた車をこっそりと回収、秘密警察“シュタージ”の目を逃れて密かに家に帰りつきました。その頃、シュタージの捜索隊は熱気球が墜落した現場の検証を始め、捜索隊を率いるザイデル中佐(トーマス・クレッチマン)は必ず熱気球の主を突き止めると決意を新たにしました。
ペーター一家は周囲には何事もなかったかのように振る舞うことにしましたが、東ドイツから脱出したいという気持ちに変わりはありませんでした。ペーターはフランクの提案で東ドイツの首都ベルリンのアメリカ大使館を頼ることにしましたが、運悪くドリスは熱気球の墜落現場に持病の薬を置き忘れてしまっていました。
しかし、幼くして兄を収監された過去を持つドリスは何としても子供たちと共に脱出したいとペーターに訴えました。
その頃、ザイデル中佐らシュタージの捜査チームは熱気球に使われていた材料の製造元や入手ルート、そして現場に落ちていたドリスの持病の薬を処方した薬局などを調べ始めていました。
ペーター一家は家族旅行を装ってベルリンに行き、アメリカ大使館に助けを求めようとしましたが、周囲はシュタージに厳重に監視されていることもあって失敗に終わりました。フランクは嘆くペーターにもう一度熱気球を作ろうと説得しました。
バルーン 奇蹟の脱出飛行のネタバレあらすじ:転
ペーター一家は熱気球が墜落した原因を再検証し、より丈夫で大きな気球を作ろうと布を調達しようとしました。しかし、布業者に着いたペーターは不穏な空気を察知して何も買わずにその場を立ち去りました。ペーターの予感通り、布業者には既にシュタージの手が回っており、ザイデル中佐は布を買おうとした者の足取りを追い始めました。
ペーターはギュンターを説得し、6週間以内で熱気球を完成させて今度こそ亡命を成功させることで結束しました。ギュンターは6週間後には兵役に就かなければならなくなったのです。
ペーターとギュンターは熱気球を設計し、シュタージの目をかいくぐって材料集めに奔走しました。今度は2家族8人が乗れるほどの大きさです。熱気球を作っている間にもフランクは憧れの女の子に誘われて凧上げを楽しみ、キスを交わしました。しかし、女の子の父はシュタージで働いており、ペーターはフランクに女の子と別れるよう促しました。
それでもフランクはガス管が凍結しないための方法を考案し、ペーターはそれを基に新たなガスバーナーの開発に成功しました。そうしている間にもシュタージの魔の手は着々とペーター一家とギュンター一家に迫りつつありました。
バルーン 奇蹟の脱出飛行の結末
ザイデル中佐率いるシュタージの捜査チームは、ペーターが熱気球を運ぶのに使用した車の車種や特徴を絞り込み、ドリスの薬を処方した薬局を調べ上げていきました。
そんな折、ペーターらはラジオの天気予報で飛行するのに好条件な北風が吹くことを知り、急遽計画を前倒しにすることにしました。フランクは女の子に一緒に来てほしいと伝えましたが、彼女からの情報でシュタージがすぐそばまで迫っていることを知りました。
その夜、ザイデル中佐は警官隊を率いてペーターの家に乗り込みましたが、家は既にもぬけの殻でした。ザイデル中佐はただちに周辺道路の閉鎖を命じ、捜索のペリコプターを要請しました。
ペーター一家とギュンター一家の8人は警察の捜査網をかいくぐって町を脱出し、何とか熱気球を組み立ててシュタージのヘリが到達する前に上空に飛び立つことに成功しました。しかし、出発時のトラブルにより早々とガスを使い切ってしまい、8人を乗せた熱気球は離陸からわずか28分で森に不時着せざるを得なくなってしまいました。
シュタージの捜索隊は国境付近の森をくまなく捜索しましたが、熱気球やペーター一家・ギュンター一家を発見することはできませんでした。一方、森を探索していたペーターとギュンターはたまたま通りかかった警察官からここが西ドイツであることを知らされ、一家全員は亡命の成功を喜び合いました。
10年後。ベルリンの壁が崩壊し、人々は東西ドイツの間を自由に行き来できるようになりました。ペーターとドリスはそのテレビニュースを涙ながらに見ていました。一方、飛行士となったギュンターは妻のペトラ(アリシア・フォン・リットベルク)をセスナ機に乗せ、東ドイツに残したままの両親に会いに出発しました。
以上、映画「バルーン 奇蹟の脱出飛行」のあらすじと結末でした。
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