映画「大好きだから」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
大好きだから 紹介：2017年韓国映画。「猟奇的な彼女」（2001）でブレイクした韓国を代表するコメディ男優、チャ・テヒョン主演のラブ・ファンタジー。交通事故で昏睡状態に陥った青年。彼の体から抜け出した魂は、女子高生、刑事、教師、老婦人の体に次々と憑依し、それぞれが抱える問題と向き合う。さらに青年は、失った自分自身の記憶をも取り戻すために奮闘する。チャ・テヒョンと息ぴったりのコミカル演技で魅せるのは、ドラマや映画で大活躍する若きベテラン女優、キム・ユジュン。なお本作は、1987年に志なかばで交通事故により亡くなった韓国人歌手ユ・ジェハに捧げられている。
監督：チュ・ジホン 出演者：チャ・テヒョン（チン・イヒョン）、キム・ユジョン（チャン・スイ）、ソ・ユジョン（ヒョンギョン）、キム・ユネ（キム・マリ）、ペ・ソンウ（スイの担任教師）、イム・ジュファン（チャンヨン）、ソン・ドンイル（パク刑事）ほか
この解説記事には映画「大好きだから」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
イヒョンという青年が、うきうきした様子で車を走らせています。イヒョンは今から、恋人のヒョンギョンにプロポーズするつもりです。カーラジオから曲が流れてきました。80年代に交通事故で亡くなった歌手、ユ・ジェハの名曲「愛しているから」です。イヒョンは結婚指輪を家に置き忘れたことに気づいて慌てます。その時、横から来た車がイヒョンの車に追突。車は横転し、大怪我を負ったイヒョンは車内で気を失います。…ベッドの上で目覚めたイヒョン。そこは病院ではなく、高校の保健室です。鏡をのぞくと、なんと見たこともない女子高生の姿が。名札にはキム・マリ。おれは女じゃないとパニクりますが、なんと自分が誰なのかという記憶も同時に消えていました。これは悪夢だと校庭を歩くイヒョンに、キム・マリの友人らしいチャン・スイが声をかけます。自分はキム・マリではないと訴えるイヒョンの話に半信半疑のスイ。実はマリが妊娠中だと知っていたスイは、現実逃避で頭がおかしくなったのではと考えます。その日はマリの母親が迎えに来て、イヒョンはしぶしぶマリの家へ。翌日、マリのお腹の子の父親が同級生のヨセブと判明。産んでほしいと言う涙目のヨセブを、おまえ若すぎるだろとマリの姿で説教するイヒョン。ヨセブを振り払い、中絶するため病院へ直行します。しかし手術前の注射を受けた途端、頭に激痛が走って気絶。イヒョンの脳裏に記憶の断片が蘇ります。どこかのオーディション会場。審査員席に座る自分が、ギターを抱えたヒョンギョンという女性を見つめている場面です。目覚めると、マリの姿の自分をヨセブが泣きながら抱きしめています。ヨセブがマリにキスした途端、イヒョンの意識が遠のきます。
目覚めたイヒョンの姿はマリではなく、中年のおっさんです。イヒョンは、パク刑事という妻子持ちで安月給で離婚寸前という男になっていたのです。夜中に帰宅すると妻は爆睡。幼い息子の態度も冷ややかです。イヒョンはスイに電話をかけて助けを求めます。翌朝、妻はしぶるイヒョンに手錠をかけ、離婚調停のために裁判所へと向かいます。途中のアクシデントでイヒョンと妻はマンホールの穴から落下。怯える妻の様子に、イヒョンの記憶の欠片が戻ります。ヒョンギョンが「舞台恐怖症だから歌をやめる」と語っている場面です。我に返ったイヒョンは、妻を背負って下水道を歩きます。夫＝イヒョンの優しさに触れ、妻の態度は軟化します。そこに大水が溢れてきて、死を覚悟した2人はキス。救助隊に助けられ、ホッとしたイヒョンの姿は、次にスイの担任教師に変わっていました。担任教師は地味で真面目なモテない男です。事情を理解したスイは、イヒョンに協力することにします。その後、教師のもとに大学の後輩女性から会いたいとメールが来ます。教師＝イヒョンが待ち合わせ場所に行くと、後輩は超美人。教師の家に押しかけ、ほろ酔いで迫ってくる後輩にイヒョンは喜びます。ところが後輩は学校教材の営業職で、商品を買わせるための作戦だったのです。事実を知ったイヒョンは教師に心底同情。翌朝、罪悪感に駆られた後輩が教師にキスをすると、またもやイヒョンの気が遠くなります。
次にイヒョンが憑依したのは、認知症で施設にいる老婦人ガプスン。彼女のもとには毎日、ある老人が見舞いに来ます。彼はガプスンの初恋の人チュノです。一方、イヒョンから審査員の記憶があると聞いたスイはテレビ局へ忍び込み、イヒョンらしき男が入院している話を耳にします。それを聞いたイヒョンはチュノに運転を頼み、車で病院を抜け出します。しかし、チュノが運転中に意識を失って病院に直行。そこでガプスン＝イヒョンは、ガプスンがチュノだと思い込んでいる男が実は夫だったと知ります。独身の頃、夫はガプスンを愛するあまり、彼女から預かったチュノへの手紙を勝手に破棄していました。ガプスンとの結婚後もその罪悪感に苦しみ、認知症を発症した妻がチュノを恋しがるのに応え、自らチュノを演じ続けていたのです。それでも夫は、妻が自分を忘れたことを悲しんでいました。イヒョンは夫の想いに胸を打たれ、入院中の夫に「あなたは私の夫よ」と微笑んで手にキスします。その後夫は亡くなり、ガプスンの姿のイヒョンは涙します。次に気づくと、入院中の本来の自分の姿が見えます。そばにはヒョンギョンやスイがいます。イヒョンは、病室を訪れた仕事仲間の男性チャンヨンの中に入りました。突然、イヒョンは理解します。イヒョンがこれまで憑りついてしまった人達は全員、イヒョンが交通事故を起こした現場にたまたま居合わせた人間だったのです。スイもまた、その場にいました。全ての記憶を取り戻したイヒョンは自宅へ戻り、結婚指輪とヒョンギョンの楽譜を発見。イヒョンはスイに、楽譜をヒョンギョンに届けてほしいと頼みます。了解したスイは、ヒョンギョンに楽譜と一緒に結婚指輪も渡します。驚いたヒョンギョンが病室へ向かうと、昏睡状態のイヒョンの心臓が停止。蘇生処置で回復します。チャンヨンに乗り移っているイヒョンはヒョンギョンに、今度のコンテストに出てほしい。イヒョンのかわりに自分がピアノを弾くと言います。
コンテスト当日。会場にはスイの姿もあります。ステージに上がる瞬間、ヒョンギョンはいないはずのイヒョンの存在を感じます。歌う曲はユ・ジェハの「愛しているから」。緊張のあまり歌い出せないヒョンギョンが振り向くと、ピアノの前にいるのはチャンヨンではなくイヒョンです。ヒョンギョンは安心して歌い出します。ピアノを弾くチャンヨン＝イヒョンは、客席のスイに「ありがとう」と口を動かします。その瞬間、病院のベッドにいるイヒョンの心臓がとまります。会場では、歌うヒョンギョンの後ろで、ピアノを弾いていたチャンヨンの体がうなだれます。時が過ぎました。新鋭ミュージシャンとして注目を集める、ヒョンギョンのライブが開かれます。客席にはスイの担任教師と後輩女性、マリとヨセブ、パク刑事と妻子、そしてガプスンの顔があります。チャンヨンだけは事故現場にいなかったはずです。それなのにイヒョンが憑依できたのは、ヒョンギョンに想いを伝えるため必要だったのだとスイは理解します。ヒョンギョンの歌が始まりました。スイの隣りに誰かが腰をかけます。それは幸せそうなイヒョンでした。イヒョンはスイに大学合格おめでとうと言い、スイは笑顔で応えます。
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