椿姫ができるまでの紹介:2012年フランス映画。オペラファンから名演として称賛された2011年のエクサン・プロヴァンス音楽祭で公演された「椿姫」のドキュメンタリー。演出家、ソリスト、コーラス、すべてができあがり一つのオペラができあがるまでを追う。
監督:フィリップ・ベジア 出演:ナタリー・デセイ、ジャン=フランソワ・シヴァディエ、ルイ・ラングレ、ほか
映画「椿姫ができるまで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「椿姫ができるまで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「椿姫ができるまで」解説
この解説記事には映画「椿姫ができるまで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
椿姫ができるまでのネタバレあらすじ:起・椿姫とはどういう話か
エクサンプロヴァンスの野外劇場に人が集まってくる。スタジオでは小道具、大道具づくり、そして芝居の稽古が始まろうとしていた。演出家からヴィオレッタの演技と歌唱の指導が入るが、まだ舞台装置や照明は決まっていない。ミニチュアのセットを作り、舞台の確認をする。椿姫には特別な何かを持ったヒーローのような存在はいない、人間の織り成す物語だと、この物語の解釈について話す。やがて指導はコーラスの解釈および、序盤の山場、乾杯の歌に入る。ヴィオレッタとアルフレードのデュエットのシーンでは、二人それぞれの心情について、演出家からの解釈が入る。ピアノ伴奏の二人の歌にやがてオーケストラとコーラスが重なる。
椿姫ができるまでのネタバレあらすじ:承・ヴィオレッタの心のゆらぎ
演出家からのヴィオレッタの心情、舞台上での彼女の立ち位置、歌詞の解釈からどれだけ観客を感情移入させるかについて、「不思議だわ」の一言をどう見せるかといった指導が入る。その後ヴィオレッタのアリアに乗せて歌唱中の手の振り屋ヴィオレッタの苦悩を、快楽と悲嘆を同時に歌い上げることの重要性について語られる。そこへ、アルフレードとオーケストラが重なって行く。大道具や小道具、照明準備に続いて、実際の野外劇場を見に行く。オーケストラの演奏指導も始まり、照明や幕のタイミング、背景となる幕の動かし方も、実際の劇場を見てから本格する。そして役者たちも舞台上での演技確認に入り、オーケストラを入れての演技や、衣装を着けての演技の確認が始まる。
椿姫ができるまでのネタバレあらすじ:転・ヴィオレッタの心のクラリネット
伴奏のピアニストが、アルフレードとの別れを決意しヴィオレッタが手紙を書くシーンについて、クラリネットのメロディーが彼女の心情を表しているのだと自分も歌いながら説明をしてくれる。そして同じフレーズがオーケストラでも演奏される。舞台稽古が始まり、娼館フローラのセットをシンプルにしたい言う演出家と、小道具をどうするかと言う相談が始まる。コーラスの練習と同時に、衣装の制作も進んでいく。ソリストの個人の練習も佳境を迎え、喋るのと同じアクセントで歌うという指導がなされる。ソリスト、コーラス、オーケストラの合わせの稽古が始まり、やがて総稽古に繋がっていく。
椿姫ができるまでの結末:ヴィオレッタの死、そして開幕
クライマックスシーンの練習が繰り返し行われる。ヴィオレッタの衣装やメイクも出来上がり、病床のヴィオレッタと侍女、医者にあと数時間の命だと宣告されシーンが繰り返される。演出家はここで観客を悲しみに引きずり込む演技を役者に要求する。会場のある夜のエクサンプロヴァンスの街を歩く一向、街灯もなく、夜はとても暗い。開場まであと15分あるからと、最後に死んでいくヴィオレッタが舞台に倒れる、その倒れ方一つを繰り返す。その倒れ方で、死にカタルシスを出したい、劇的に見せたいと、倒れる瞬間と、照明とのタイミングもきちんと合わせるようにはかる。エンドロールの間際までその確認は続き、開幕の曲と共にエンドロールが始まる。
以上、映画「椿姫ができるまで」のあらすじと結末でした。
椿姫ができるまでのレビュー・考察:共同作業の生む芸術
タイトル通り、これは実際に行われる舞台がどのようにできるまでを追ったドキュメンタリーで、公演のシーンは出てこない。しかしそれまでにどれだけの練習や、ヴェルディの椿姫の楽譜から、どのよう演出家が解釈しそれを演者たちが反映していくのかその過程をじっくり見ることができる。また、大道具や小道具、衣装が作り上げられていく過程と、ソリスト、コーラス、オーケストラが合わさって行く過程が並行して描かれているので、開演が近づくにしたがってそれらが集まり一つの作品として出来上がっていく様子がとても分かりやすく構成されている。
この映画の感想を投稿する