ベル&セバスチャンの紹介:2013年フランス映画。二次大戦ドイツ占領下のフランス、スイスへ逃げ延びるために越える峠に住みついた野獣が恐れられていた。フランスの名作文学、ついに映画化!
監督 :ニコラ・ヴァニエ 出演:フェリックス・ボッスエ(セバスチャン)、チェッキー・カリョ(セザール)、メーディ(アンドレ)、マルゴ・シャトリエ、ディミトリ・ストロージュ
映画「ベル&セバスチャン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ベル&セバスチャン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ベル&セバスチャン」解説
この解説記事には映画「ベル&セバスチャン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ベル&セバスチャンのネタバレあらすじ:山にいる野獣と村に来たドイツ兵
祖父セザールと暮らすセバスチャンは、山で親を失ったカモシカの子供を助け家のヒツジたちと一緒に育てることにした。そこへ山で野獣に襲われたと旅の一行がやってくる。セザールに言われてアンジェリーナの所へ手伝いに向かうセバスチャンは、川沿いで野獣と出会った。それは人間に虐待され山に捨てられた大きな犬だった。その頃、村には占領軍のドイツ兵がやってきては、アルプスで国境を接するスイスへの密入国を取り締まっていた。彼らに銃を接収されている村人は、山の野獣を倒せないと訴えるも、相手にされなかった。そしてある兵士はアンジェリーナのパン屋に兵士用の多量のパンを注文して行った。母親がアメリカで生きていると信じているセバスチャンは、クリスマスには母親が会いに来て時計付きの方位磁針を貰うんだと楽しみにしていた。セバスチャンにとってアメリカはアルプスを越えた向こう側にある国のことだった。
ベル&セバスチャンのネタバレあらすじ:野獣にベルと名付ける
学校に行かず山で過ごすセバスチャンは、再び会った野獣にセザールがヒツジ小屋の周りに仕掛けた事を教えようと、なかなか人に近づいてくれない野獣に話しかけ、少しずつ距離を近くして行った。セバスチャンにとっては初めてできた友達だった。村の近くまで下りてきたセバスチャンは、ドイツ軍の車があるのを見つけると、野獣に中の荷物からソーセージをひと繋がり咥えて帰ってきた。そして山を歩いていると、ギョームが子供を連れた大荷物の一行の案内をしているのを見つけた。彼は、スイスへの密入国の案内をしていた。村で取り締まりに合っていた老婆も、水曜日に峠越えの準備をしていた。しかしそれにはドイツ側の見張りの情報が必要で、その出所はまだわからなかった。セバスチャンが野獣を泉に入れると、灰色だった野獣は真白な犬になった、そしてメスだということがわかると、美女と野獣にちなんで「ベル」と名付けた。ベルを山の隠れ家に連れてくると、そこへセザールがやって来た。何をしているんだと疑うセザールに、セバスチャンはベルを奥に隠しやり過ごした。
ベル&セバスチャンのネタバレあらすじ:ベルに迫る危機
ある日、山で雌じかを撃とうとするドイツ兵を見咎めたセバスチャンが返り討ちに合いそうになるところを、ベルが兵士の腕に噛みつく事で難を逃れた。しかし、それがきっかけで大掛かりな山狩りが行われことになってしまう。野獣とセバスチャンが交流を持つ事をよく思っていないセザールは、メイジュの谷なら山狩りから逃れられると教え、兵士たちにメイジュの谷を中心に山狩りをさせた。セバスチャンはヒツジ小屋に閉じ込められ、ベルは山狩りの一行に撃たれてしまった。夜の山小屋に、ベルが現れると、セバスチャンは家から酒を持ってきて、傷口を拭き治療したが熱が治まらない。そこで医師のギョームに聞く怪我と熱の事を聞きに行くと、ベルを隠している事がばれてしまった。しかし、セバスチャンは、ベルの事をばらしたら峠越えの案内をしている事をばらすと脅して、ベルの治療をしてもらった。峠越えの案内をしていたギョームはヒツジたちもろとも襲われそうになった。それをベルは助け、脚を捻ってしまったギョームのソリ引いて村まで戻った。そしてギョームの代わりに、アンジェリーナの峠越えの案内をすることになった。
ベル&セバスチャンの結末:命がけの国境越え
峠越えを試みる家族と過ごすうちに、セバスチャンはアルプスの向こう側にあるのはスイスで、アメリカではない事を知る。そしてセザールはセバスチャンの母親はロマ(ジプシー)で、セバスチャンを産むとセザールに託したと話した。クリスマスディナーをしていたドイツ兵士達は、山越えをする一行の事を知って、追いはじめる。アンジェリーナと峠越えをする家族、そしてベルとセバスチャンは、追っ手の明かりに気づき、夜の暖を取るのをやめ、夜通し雪山を移動ずる事に。翌日、ドイツ兵の中でもよくアンジェリーナのパン屋を訪れていた兵士が、一行の近くまでやってくる、後少しで捕まってしまうという所で雪崩が起き、一行は身を寄せてやり過ごすも、追って来たドイツ兵は雪に飲まれてしまった。それをベルが掘り出すと、彼がフランス側にドイツ兵の監視の状況を渡していた人物で、峠に部下が居るということを伝えるためにアンジェリーナ達を追って来たのだと知った。ドイツ兵と雪崩に阻まれている中、最後に残された選択肢は雪に隠れたクレバスだらけの氷河を渡るしかなかった。ベルに命綱をつけ慎重に進む一行の前を、峠から監視していたドイツ兵も追いはじめる。途中大きなクレバスに細い氷が橋のように架かっており迂回もできないアンジェリーナ達はそれを渡るしかなかった。全員が渡り終え最後にベルが渡ると後少しと言う所でクレバスに落ちてしまう。全員の力でベルを引き上げると、アンジェリーナは追っ手が渡れないように氷の橋を砕いて落とした。やがて、無事にスイス側の案内人と落ち合えたアンジェリーナは怪我をしているギョームの代わりと言って家族を引渡し、自分もイギリスに渡り抗戦する事にした。ギョームへの手紙を持って帰るセバスチャンを、一人で帰すのかと問われると、アンジェリーナは、セバスチャンは一人じゃないと答えた。
以上、映画ベル&セバスチャンのあらすじと結末でした。
ベル&セバスチャンのレビュー・感想:モチーフとなった美女と野獣
タイトルの元となっているフランスのおとぎ話と「美女と野獣」は、主人公のセバスチャンは学校に行っていないという下りが出てきますが、学校へ行かなくても寝物語で聞いて知っている程度には有名だということが窺い知れます。「野獣」と呼ばれていた山の獣が元々は人に飼われていた犬で、水場で洗うと白い毛の綺麗な犬に戻りさらにメスであることに気がつくと、「ベル」と名付けます。ベルは美女の事です。また、二次大戦中のフランスとドイツを扱った他のフランスの作品の中にも引用される事があります(例:「海の沈黙(1947年/フランス、メルヴィル監督)」)。この作品ですと、アンジェリーナとフランス側に情報を流していたドイツ兵が、暗に美女と野獣の関係を模したものとも考えられます。
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