ベリッシマの紹介:1951年イタリア映画。娘を映画女優にしようとする母親の奮闘を描くドラマ作品。映画業界に憧れるマッダレーナは、娘マリアを子役オーディションに参加させることにした。彼女の執念たるや凄まじく、金も時間も犠牲にしてマリアを合格させようと躍起になる。高価なドレスを作り、バレエを習わせ、スタッフに金を握らせた。そこまでの犠牲を払って、マッダレーナが手にしたものとは。
監督:ルキノ・ヴィスコンティ 出演者:アンナ・マニャーニ(マッダレーナ)、ワルテル・キアーリ(アンノヴァッツィ)、ディーナ・アビチェラ(マリア)、アレッサンドロ・ブラゼッティ(ブラゼッティ監督)、ガストーネ・レンツェッリ(スパルタコ)ほか
映画「ベリッシマ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ベリッシマ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ベリッシマの予告編 動画
映画「ベリッシマ」解説
この解説記事には映画「ベリッシマ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ベリッシマのネタバレあらすじ:オーディションに燃える母
舞台は戦後間もないイタリア、ローマ郊外のチネチッタ撮影所。映画会社が子役の少女を募集し、オーディションが行われることになりました。オーディション当日、参加者が大挙して撮影所に詰めかけます。看護師マッダレーナもその1人でした。彼女は映画が大好きで、幼い娘マリアにもその華々しい世界へ入って欲しいと考えていたのです。
ところが肝心のマリアが迷子になってしまい、やっと見つけた時にはとっくにオーディションが始まっていました。そこに撮影スタッフのアンノヴァッツィが声をかけ、まだ間に合うと言ってスタジオへ案内してくれます。マッダレーナは礼を言い、何とかマリアにオーディションを受けさせました。マリアはヴェネツィアを歌った詩の暗唱を披露し、見事1次選考を突破します。
ベリッシマのネタバレあらすじ:奮闘の日々
マッダレーナはなかなか通院出来ない患者の部屋を回り、注射を打って金を稼いでいました。夫スパルタコはマリアのオーディションに否定的なため、資金はマッダレーナが自力で工面するしかありません。マリアが1次選考を通過した噂を聞きつけたのか、自称女優というティルデ・スペルナゾーニがやって来ました。彼女はマリアに演技のレッスンをつけると言い、突然押しかけてきたのです。
マッダレーナは追い返そうとしますが敵も手強く、その内にレッスンも必要ではないかと考え結局受け入れるしかありませんでした。他にも2次選考用の写真を撮影したり、マリアのドレスを作らせたり、バレエを習わせたりと準備に余念がないマッダレーナ。そんな毎日なので、金はどんどん無くなっていきました。
ベリッシマのネタバレあらすじ:アンノヴァッツィの誘惑
2次選考に進んだ子どもの保護者達の間で、妙な噂が流れ始めました。オーディションに合格するには、スタッフの推薦が必要だというのです。そこでマッダレーナはマリアを美容院に預けている間、アンノヴァッツィに相談を持ちかけました。彼は関係者への賄賂として、5万リラを要求。マッダレーナは悩みますが、これで保証が得られるならと承諾してしまいます。
アンノヴァッツィは金よりマッダレーナ自身を望みますが、笑って相手にされませんでした。マッダレーナから5万リラを受け取ったアンノヴァッツィは、口利きどころか新しいスクーターの購入に全額を使ってしまいます。肝心のマリアは美容院の手違いで髪をバッサリ切られた挙句、きついパーマをかけられてしまいました。その姿を見たスパルタコは激怒し、激しい夫婦喧嘩が勃発します。うんざりしたスパルタコは家を出て行きました。マリアを抱きしめたマッダレーナは、これでオーディションに行けると笑います。
撮影審査当日。マッダレーナは義母のレストランにアンノヴァッツィを連れて行き、近くの川で語り合いました。彼女はアンノヴァッツィがスクーターを購入したことを知っており、むしろ最初からそのつもりだったと笑います。マッダレーナの狙いは、まずコネクションを作ることだったのです。快活に笑う彼女を本気で口説くアンノヴァッツィ。マッダレーナの心は僅かに揺れますが、すぐに笑って受け流しました。
ベリッシマのネタバレあらすじ:非情な仕打ち
アンノヴァッツィの口利きで撮影所の編集室を訪ねたマッダレーナとマリア。そこで働いているアイリスという女性に、マリアのフィルムを見せて欲しいと頼み込みます。その際、マッダレーナはアイリスが以前野外映画に出演していた女優だと気付きました。喜ぶマッダレーナとは正反対に、アイリスは女優ではなく必要な時に呼ばれただけだと寂しそうに笑います。
華々しい映画業界で輝けるのは、ほんのひと握りのスターだけ。それが出来なければ定職に就くしかありません。マッダレーナは厳しい現実にショックを受けながらも、強引に頼み込んで映写ブースに入れて貰うことにしました。ちょうど監督ら製作関係者がマリアのフィルムを試写しています。そこには課題のロウソクを吹き消すことが出来ず、詩の暗唱に詰まって大声で泣き出すマリアの姿が写っていました。
審査員達はマリアを馬鹿にして大笑います。娘が笑い者にされているという事実を知ったマッダレーナは強い怒りを感じ、監督達に文句を言いにいきました。しかしすげなく追い出されてしまい、帰り道でマリアを抱きしめ涙を流します。
ベリッシマの結末:両親の決断
失意のマッダレーナが眠ってしまったマリアを抱えて家に戻ると、アンノヴァッツィ達が来ていました。何とマリアがオーディションに合格したため、契約して欲しいというのです。契約すれば大金が手に入りますが、マッダレーナは涙を流しながらサインを拒否しました。
これ以上マリアを笑い者にはさせないと告げ、スパルタコに全員追い返すよう頼んで寝室に向かいます。言われた通りにしたスパルタコは、ベッドで泣き伏すマッダレーナを抱きしめました。夫婦がキスを交わし、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ベリッシマ」のあらすじと結末でした。
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