バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所の紹介:2012年イギリス映画。1970年代、イギリス人録音技師がジャッロ映画(マリオ・バーヴァ、ダリオ・アルジェント、ルチオ・フルチ等の監督作に代表されるイタリア残酷スリラー)の音響効果を任されるが、過酷な職場環境、慣れないイタリア人との仕事、そして何より映画の残酷描写は彼の精神を蝕んでいく。ジャン=リュック・ゴダールの『軽蔑』等、映画製作についての映画は数多いが、映画のポスト・プロダクション、特に録音作業をあつかった異色作。映画の後半の解釈は人それぞれに異なりましょう。
監督:ピーター・ストリクランド 出演:トビー・ジョーンズ(ギルデロイ)、コジモ・ファスコ(フランチェスコ・コラッジオ)、アントニオ・マンチーノ(ジャンカルロ・サンティーニ)、ファトマ・モハメド(シルヴィア)その他
映画「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所の予告編 動画
映画「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」解説
この解説記事には映画「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所のネタバレあらすじ:起・これはホラー映画ではない。
イギリス人の録音技師であるギルデロイが海外にあるバーバリアン撮影所に来た。乗馬についての映画の仕事と聞いていたが、指示されたスタジオ4で映写されているイタリア映画「呪われた乗馬学校」は、学校の地下で残虐な魔女が復活する血みどろのストーリーだった。彼がそれまで作っていたのは自然番組だったのに。それでも、高圧的で人使いの荒いプロデューサー、フランチェスコに指図されながら、撮影所に住み込んで仕事に取り組む。
野菜にナイフを突き刺して効果音を作り、イタリア語吹替の俳優たちの台詞や絶叫のアフレコを行う。たまに犬を連れて現れる監督の.G・サンティーニは「ホラー映画は初めて」というギルデロイに「これはホラー映画ではない、サンティーニ作品だ」と言う。
バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所のネタバレあらすじ:承・存在しない航空便の運賃は払えない
過酷な仕事は続く。ギルデロイがガタのきている装置をいじると古株のエンジニアに嫌われ、「機材は自由に使え」と言っていたくせにフランチェスコも文句をつける。イギリスからの飛行機代を請求してもプロデューサー、秘書のエレナ、経理係の間でたらい回しにされ続けていた。
ある日ついに、焼けた火かき棒を魔女のヴァギナに挿し込む拷問の効果音の録音中にギルデロイは「家に帰らせてくれ」と漏らすが、フランチェスコはプロなら黙って仕事をしろと冷たく言い放つ。そして、経理に電話して(ギルデロイに最も優しい、女優のシルヴィアの勧めにしたがい)強い口調で飛行機代の支払いを要求した時、ギルデロイが乗ったという便は存在しない、存在しない航空便の運賃は払えないと言われてしまう。
バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所のネタバレあらすじ:転・フィルムの中の自分
シルヴィアは二人きりでギルデロイに自分の絶叫を録音しなおさせた後、女好きのサンティーニに弄ばれたことを告白する。そしてサンティーニへの復讐を誓う。彼女は誓いどおり、録音済みのテープを部屋に散乱させてサンティーニのもっとも大事なものである映画の完成を妨害する。彼女が吹替を担当していたテレーズという登場人物の声を別の女優で録音し直さなければならなくなる。
ギルデロイは自分自身の生活がフィルムに閉じ込められスクリーンに映写される妄想を見るようになる。ただしその映画の中で彼は話せないはずのイタリア語を話していた。
バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所の結末:ギルデロイの変貌
ギルデロイの実人生と「呪われた乗馬学校」は一つに融けていく。フランチェスコの横で「呪われた乗馬学校」を初めて見た時、映画の中で残忍な行為をしているのは彼自身だった。シルヴィアの代役のエリーザが練習する映画の中の台詞は、ギルデロイへ母親が書いた、鳥のひなが死んだという手紙の文面になっていた。
エリーザによるアフレコが始まるが、フランチェスコは彼女の演技が気に入らない。ギルデロイにエリーザを懲らしめろと指示する。彼はエリーザのヘッドフォンに大きな雑音を流して苦しめる。怒ったエリーザはやめると言ってスタジオを飛び出してしまう。女優が消える歴史が繰り返される。ギルデロイは映画の中のキャラクターのように残忍になりつつある自分を悲しんでいるのだろうか。
以上、映画「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」のあらすじと結末でした。
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