黒の魂の紹介:2014年イタリア,フランス映画。マフィアが敵対する地方で生まれ育った、タイプが違う3兄弟が織りなす人間ドラマ。ヴェネツィア国際映画祭にてフランチェスコ・パジネッティ賞、イタリアのアカデミー賞ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞にて作品賞など9部門受賞。
監督:フランチェスコ・ムンズィ 出演者:マルコ・レオナルディ(ルイジ)、ペピーノ・マッツォッタ(ロッコ)、ファブリツィオ・フェラカーネ(ルチャーノ)、ジュゼッペ・フーモ(レオ)ほか
映画「黒の魂」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「黒の魂」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「黒の魂」解説
この解説記事には映画「黒の魂」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
黒の魂のネタバレあらすじ:起・発端
ルチャーノ、ロッコ、ルイジはマフィアが敵対する地域で生まれ育った3兄弟です。長男のルチャーノは田舎で山羊飼いなどをしながら妻と息子と共に地道に暮らしていましたが、3男のルイジは麻薬や銃のディーラーであり、次男のロッコはインテリな風貌で紳士的に商売をしながらも日々ルイジとつるみ、妻子と共に裕福な暮らしをしていました。3人の父親バスティアーノはマフィアの抗争によって無残な死を遂げていたため、長男のルチャーノはルイジとロッコの生き方を毛嫌いしています。挑発的で強気な性格のルイジは敵を作りやすく、ロッコはそんな弟の行く末を心配して冷静になるようにと諭します。ルチャーノの息子レオは真面目な父親に反発し、ルイジに憧れて悪事をする毎日。この日も友人のペッペと共に麻薬を吸引し、閉店後のバールの窓ガラスにショットガンを撃って逃げ去ります。そのまま帰宅して、ルイジに会うためにミラノに行くと言って支度を始めるレオ。レオが「親父も来ればいい。ずっと会ってないだろ?叔父さんに世話になったのに」と言うと、「・・俺が世話になった?俺に指図するな」と怒り出すルチャーノ。2人の仲裁に入り、レオをミラノに行かせる妻。ルイジはミラノ駅でレオを出迎えて「大きくなったな。男前になった」と抱き締めて歓迎します。父親について「山羊と山に籠ってる。誰とも話さない。もう終わりだな」と言うレオに「父親に対して何だ」と怒るルイジ。「向こうにはいたくない。ミラノにいたい」と言い出すレオに「来るなりガタガタうるさい奴だ。考えておく」と答えるルイジ。ロッコはルイジとレオを食事に招くことにし、妻ヴァレリアと共に料理を作ります。ルイジのことをあまり良く思ってないヴァレリアに「前科者達はいつご到着?」と嫌味を言われ、「言い過ぎだぞ。大事にされてるのに」とたしなめます。到着したレオに「なぜまっすぐ来ない?アホとほっつき歩かずに」と抱き締めるロッコ。4人で食事を始めますが、ロッコはレオがバールを襲撃したことを知っていたため、そのことをレオに問い質します。話がよく分からないルイジに「この坊やは駅のバールのフェラーロと揉めて、翌日、店のガラスが穴だらけに」と説明します。「フェラーロは俺たちをクソ呼ばわりしやがった」と言うレオに「いいじゃないか。次は足を撃ちな」と教えるルイジ。そんな二人を見て「収拾がつかなくなる。厄介者だよ。お前達はどうかしてる」と厳しい顔をするロッコ。ルチャーノが畑仕事をしていると、マフィアのドン・ニーノの手下がやって来ます。「ウジ虫が俺を呼んでる」と妻に言い残し、ドン・ニーノの家に向かうルチャーノ。ドン・ニーノに「お前の息子はどうもいかん」とレオのバール襲撃について文句を言われます。そのことを知らなかったルチャーノが「息子がそんなことを?確かですか?」と驚くと、ドン・ニーノは表情を変えて「確かかだと?お前らが叱るなら見過ごそう。ただのガキの暴走だ。いいさ。だがな。お前らの方も態度で示せ。弟にも伝えたが何の挨拶もない。なぜだ?」と言われます。「あいつらのことは知らん」と答えるルチャーノ。「長男のお前が何も知らない?良く考えてみろ。やり方はあるはずだ」と険しい顔をするドン・ニーノ。
黒の魂のネタバレあらすじ:承・帰郷
ルイジはレオのバール襲撃についての電話を受けます。今夜、麻薬の荷受けが行われることになっていましたが、「お前の尻ぬぐいだ」とレオも連れて行くことにします。ルイジとレオ達が倉庫に向かうと大量の麻薬が届いています。タルーラに渡す分は15でしたが、相棒のニコラに「30にして俺が運ぶ」と言うルイジ。ルイジの仲間のコジモ達が、パイナップルを詰めた箱の底に麻薬を隠す作業をしています。ルイジに指示されて手伝うレオ。その後、パイナップルの箱をトラックに積んで故郷へ出発します。ドン・ペッペの家に寄り「カス野郎が図に乗ってる。俺達についてくれ」と麻薬30と拳銃を2丁を渡します。そして「一緒に食事して家族ぐるみで宴を」と実家に招待し、一緒に来ていたレオを紹介します。その後、ルイジとレオは実家に行きますが、ルチャーノはレオに「明日、フェラーロに謝りに行くぞ」と激怒します。「謝るだって?叔父さんとは大違いだな」と言うレオを殴るルチャーノ。ルイジは母親達に高価なネックレスなどのお土産を渡します。ルイジの帰郷を喜びながらも「こんな物どうする?年寄りには必要ない」と言う母親。ドン・ペッペ達が来ることになり、一族の女達は宴の準備に大忙しです。ルイジが上機嫌で仲間と歌っている中、ルチャーノはひとりで離れて座っていました。妻が来て「弟さんの努力も分かってあげて」と言われますが、「あいつの頭は壊れてる」と浮かない顔でワインを飲み続けるルチャーノ。その後、ドン・ペッペが手下と家族を連れてやって来ます。ドン・ペッペはルイジに孫娘のルチアを紹介し、レオに会わせます。微笑み合うルチアとレオ。その様子を離れた所から見て「これは何の茶番だ?」とぼやくルチャーノに「お願い。挨拶に行って」と言う妻。ドン・ペッペが宴の挨拶をし、「あんたらの良き父、バスティアーノに乾杯を。俺たちは共に育った。彼はアフリコ。俺はブルッツァーノ。川を挟んで働いた。酷い生活だったが誓って言う。俺達は親友だった」と言って、みんなで乾杯をします。ドン・ペッペが「もう一度乾杯を。テーブル奥の若者達に。レオとルチアだ。この際、二人の気が合えばこんな嬉しいことはない」と言うと、ルチャーノが「そう焦らずとも。まだ若い二人だ」とけん制します。「俺が年寄りなんだ」と言うドン・ペッペに「まさか。百歳まで生きますよ」と嫌味を返すルチャーノ。ドン・ペッペが「お前はいつも一言多いな」と苦い顔をして、場が緊迫して静まり返ります。ルイジがルチャーノに「そうカリカリするな」と耳打ちをしてなだめ、「それよりいいか、マクリが土地を売る。買って畜産やワイン造りを・・・山半分が手に入る」と言うと、「山半分で何をしろと?」と素っ気ない態度のルチャーノ。「・・・どうした、ルチャーノ。俺はもう用なしか?」と表情を曇らせるルイジ。ルチャーノはワインを取りに行くために席を外し、ルイジが後を追いかけます。ルイジが「どうしてそうなんだ?」と聞くと、「親父の言葉を覚えてるか?奴を信用するなと。なのに家に呼ぶとは。それでバレーカが怖気づくか?」と言うルチャーノ。「お前らあんなゴミが怖いのか?」と言うルイジに「無暗に俺達を巻き込むな」と釘を刺すルチャーノ。「親父を殺した奴には何もやらん」と答えるルイジに「なら奴を撃ち殺して来い」と言って戻るルチャーノ。
黒の魂のネタバレあらすじ:転・復讐
その夜、ルイジはバールで考え込むような様子で酒を飲み、ニコラに「明日、ガルッツォを連れてこい」と指示します。「本気なのか?」と言う二コラ。その後、ルイジは1人で店を出て、車に乗り込んだところで男に頭を撃たれて亡くなります。ロッコはルイジの訃報を受けて帰郷し、ルチャーノと共にルイジの遺体を見て、「畜生ども。なんてことを・・この借りは必ず返す」と呟きます。バレーカの手下がルイジの死を悼んで花輪を持って来ますが、レオが怒って「出て行きやがれ」と追い返そうとします。ルチャーノがレオをなだめて、ロッコが花輪を受け取ります。ルチャーノとロッコとレオ達は実家に戻ります。一族みんなが集まり、ルイジの死を悲しんでいました。強い眼差しで「俺は何をすれば?」と聞いてくるレオに「何も。話は明日だ」と答えるロッコ。ルチャーノはレオのところに行き、「分かってるさ。俺の弟だったんだ。今は結束して歩くんだ。バカな真似などせず」と諭します。その後、ひとりで考え込むように座っているルチャーノ。次の日、ルイジの葬儀が行われます。棺に触れて「私の血よ」と泣き続ける母親。一人無言で立ち、弔問客に礼を言っているロッコを見ているルチャーノ。ロッコはルチャーノとニコラ、ドン・ペッペのファミリーのアントニオや仲間達を集めて話し合いをします。ロッコは「あの外道とケリをつける時だ。バレーカを狙う」と言いますが、「どうなるか承知で?」「戦争だ」「絶対に奴らが殺したと言えるのか?」と難色を示されます。ルチャーノが「落ち着け。奴らにも時間が必要だ」と言い、アントニオも「親父と話させてくれ。二日後には返事をする」と言い、ロッコは承諾します。アントニオが帰った後、ニコラが「ケチなクズどもめ。ルイジが儲けさせてやったのに。返事も何も逃げ腰だ」と怒ると、レオが「ニコラの言う通りだ。構うもんか。俺達だけでやればいい」と言います。レオを巻き込みたくないルチャーノが「誰が入れと言った?口を出すな。引っ込んでろ」と怒り、レオと言い合いになります。ロッコが「どういうつもりだ?」とレオに注意しますが、「俺があのクズを始末するよ」と言って大人の忠告を聞き入れようとしません。ロッコは今は待つんだと厳しく言い聞かせます。
黒の魂の結末
アントニオはドン・ペッペに「バレーカを殺す気だ」と相談しますが、ドン・ペッペは「ルイジの全盛期なら殺せた。今のバレーカには力がある。待とう」「ロッコは商売はできるが戦争は別だ。ルチャーノも山羊飼いだ」と答えます。「奴らも終わりだ」と言うアントニオ。レオは友人のペッペに「お前は友達だな・・廃校になった小学校があるよな?向かいはバレーカの家だ。あのゲス野郎を狙って窓から撃つんだ」と密かに考えていた計画を打ち明けます。ペッペは「そんなことできるか?」と及び腰になりますが、見張り役だけしてくれたらいいと言われます。ペッペは帰宅し、手で顔を覆って思い悩みます。どこかペッペの様子がおかしいことに気が付き、声をかける父親。ロッコの妻ヴァレリアがルイジのミサに参列するために到着します。ルチャーノの妻に「来たのはクリスマス以来ね」と言われ、「ここは遠くて」と答えますが、「遠い?私たちを見放したのよね」と言われます。ヴァレリアは悲しみに暮れる義母にお悔やみを言いに行きますが、ここにいる人々に不穏な雰囲気を感じて居心地の悪さを感じてしまいます。帰宅したロッコに、明日ミサが終わったら帰るから一緒に来てと言いますが「無理だ。片付けがある。頼むから首を突っ込むな」と言われて喧嘩になります。その頃、レオとペッペはバレーカ襲撃のために廃校の小学校に忍び込んでいました。「ブタの脳天ぶっ飛ばす」と言って淡々と銃を組み立てるレオ。ペッペはその姿を無言で見つめてから、レオに中庭のトイレに行くと告げて移動し、校舎に入って来た男達と視線を合わせながらすれ違います。レオがバレーカの家に向けて銃を構えていると、廊下でアラーム音がします。「ペッペ?」と言いながら見に行くレオ。ペッペは外でその様子を聞き耳を立てて窺ってから立ち去り、男達が拳銃を持ってレオに近付きます。その瞬間、目が覚めるルチャーノ。レオの部屋に行ってみますが、レオは帰宅していません。次の日、ルチャーノはどこか呆然としながら、ロッコにレオはどこだ?帰ってないんだと尋ねます。レオは直接ミサに来るんだろうと答えるロッコ。教会でルイジのミサが行われます。レオが心配でたまらない様子で立ち尽くすルチャーノ。ミサの途中で警官が入って来てロッコに耳打ちをします。ロッコは無言でルチャーノを見つめ、ルチャーノも蒼白になってロッコを見つめ続けます。ルチャーノはロッコと共に廃校に行ってレオの死を確認し、無言で打ちひしがれます。魂が抜けたように切り抜いた家族の新聞記事や写真を燃やすルチャーノ。次の日、ルチャーノはロッコとヴァレリア達がみんなでコーヒーを飲む準備をしている部屋に行き、拳銃でロッコを撃ち殺します。突然の出来事に打ち震えながら叫び続けるヴァレリア。ルチャーノは拳銃音と叫び声を聞きつけて来たニコラ達も撃ち殺します。「あなた銃を下して・・・お願いよ」と言う妻の方を振り返り、絶望と微笑みが入り混じったような静かな表情で佇むルチャーノ。その頃、ペッペは海岸でいつもと変わらずに山羊飼いの仕事をしているのでした。
以上、映画黒の魂のあらすじと結末でした。
最後に敵対するマフィアに息子を殺されて、怒りに燃える長男を先頭に殴り込みをするのかと思っていたら、何とその長男が次男や三男の仲間たちを拳銃で撃ち殺します。
思わぬ展開に「なにこれ?」状態です。そもそも長男のバカ息子が、敵対するマフィアの店にショットガンを打ち込んだ事がすべての原因ですし、そんなバカ息子に育てた父親としての長男の責任ではありませんか?
敵対するマフィアが寛大に「詫びを入れれば許してやる。」と言ってくれているのですからさっさと息子の首を引きづってでも連れて行って誤らせ、店の修理代を払っていれば誰も死なずに済んだはずです。
もっともそういう展開にすると円満に収まるので映画的には面白くありませんから、最後は敵対するマフィアとドンパチやって締めてもらいたかったですね。 評点は最後が???だったので2.5点です。