ボイリング・ポイント/沸騰の紹介:2021年イギリス映画。クリスマスを迎えたロンドンの人気高級レストラン。この日、オーナーシェフのアンディは妻子との別居問題で、仕事に集中できる状態ではなかった。それにも関わらず、突然訪問してきた衛生管理士からアンディの管理不足を指摘されたり、因縁深いライバルシェフのアリステアとグルメ評論家の来店があったりと、アンディは次々とプレッシャーを受けていく。さらには厨房とフロア係の罵り合いが発生しスタッフの間に気まずい空気が流れる。そしてアンディはアリステアから脅迫まがいの取引を持ち掛けられ、客に緊急事態も勃発してしまう。追い詰められていくアンディは沸騰点へと突き進んでいく。ロンドンに実在するレストランを借り切って撮影を行った本作は、90分間の全編ワンショット。ノー編集、ノーCGでレストランを縦横無尽に動き回るカメラワークや俳優たちの即興演技がもたらす臨場感も魅力のひとつ。英国アカデミー賞では4部門にノミネートされ、英国インディペンデント映画賞では最多11部門にノミネートされ、4部門の受賞を果たした。
監督:フィリップ・バランティーニ 出演:スティーヴン・グレアム(オーナーシェフ:アンディ・ジョーンズ)、ジェイソン・フレミング(ライバルのセレブシェフ:アリステア・スカイ)、レイ・パンサキ(コック:フリーマン)、ハンナ・ウォルターズ(パティシエ:エミリー)、マラカイ・カービー(コック見習い:トニー)、ヴィネット・ロビンソン(副料理長:カーリー)、アリス・フィーザム(支配人:ベス)、タズ・スカイラー(バー担当:ビル)、イーズカ・ホイル(新人コック:カミール)、ルルド・フェイバース(グルメ評論家:サラ・サウスワース)、スティーヴン・マクミラン(パティシエ見習い:ジェイミー)、ダニエル・ラカイ(洗い場担当:ジェイク)、ローリン・アジュフォ(ホール担当:アンドレア)、エイン・ローズ・デイリー(ホール担当:ロビン)、ゲイリー・ラモント(ホール担当:ディーン)、ロビン・オニール(13卓の客フランク)、ローザ・エスコーダ(13卓の客メアリー)、ガラ・ボテロ(洗い場担当:ソフィア)、トーマス・クームズ(衛生管理官:ラヴジョイ氏)ほか
映画「ボイリング・ポイント/沸騰」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ボイリング・ポイント/沸騰」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ボイリング・ポイント/沸騰」解説
この解説記事には映画「ボイリング・ポイント/沸騰」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ボイリング・ポイント/沸騰のネタバレあらすじ:起
ロンドンの人気高級レストランのオーナーシェフ、アンディ・ジョーンズは人生の崖っぷちに立っていました。
最近妻と別れて家を出たアンディは、休みなく働いて事務所に寝泊まりする毎日。最愛のひとり息子ネイサンとの約束をうっかりすっぽかしてしまい、謝罪の電話すらできずにいました。今日はクリスマス直前の金曜日。店には予約がめいっぱい入っており、通常よりはるか多くの客をもてなさなくてはなりませんでした。
スタッフたちが開店準備に奔走している店内に入ると、何かとうるさい衛生管理官が抜き打ち検査にやってきて、店の安全評価を5から3に落としました。原因は衛生管理ファイルの記入がずさんだったこと。それはアンディの仕事でした。
さらにアンディは食材の発注を忘れ、支配人ベスからはセレブシェフのアリステアが来店することを聞かされて胸騒ぎを覚えます。テレビの料理番組に出演し人気のシェフでもあるアリステアは、アンディの元同僚にしてライバルでもありました。
ボイリング・ポイント/沸騰のネタバレあらすじ:承
18時をまわり、店がオープンしました。フロア係が次々と客をテーブルへ案内していきます。オープンキッチン形式の厨房でアンディとともに腕を振るうのは、頼れる女性副料理長カーリーと、腕は確かだが短気な性格の男性料理人フリーマン。カーリーは現在の給料に不満があり、他のレストランへ移ることを考えていました。
ベスが取り仕切るフロアでは、若い黒人女性アンドレアが白人客の人種差別的な言動を受けへこんでいました。陽気で明るいパティシエのエミリーは、元気のないパティシエ見習いのジェイミーの腕に虐待された傷があるのを見て、彼を抱き寄せます。
ジェイミーが一生懸命作ったレモンクリームはアンディも絶賛するほどの美味しさでした。洗い場ではサボってばかりのジェイクの分まで仕事を押し付けられたソフィアがカンカンに怒っていました。
さまざまなトラブルが持ち上がっている中、店は満席となり厨房に怒涛の勢いでオーダーが舞い込んできました。
ボイリング・ポイント/沸騰のネタバレあらすじ:転
そしてついにアリステアが来店。しかも、事前の予告なしにグルメ評論家のサラを同伴してきたのです。アンディは動揺を隠せませんでした。
そんなときに客から突き返されたラム肉料理の焼き方をめぐって、カーリーとベスの口論が起こりました。「あなたのスタッフの説明がなってないのよ」とカーリーが言うと、ベスは「お客様は常に正しいの」と返します。日頃から過剰な予約と人手不足、仕事量に見合わない給料に不満を爆発させたカーリーは「あんたはみんなから嫌われてるのよ!」とベスを激しく責めました。
アンディはカモ肉料理を自らアリステアのテーブルに運びました。「おいしいけれど、ソースの深みが欠けるな」と嫌味たらしく言うアリステア。アンディはサラが席を立った隙にアリステアに、なぜ予告なくグルメ評論家を連れてきたのか問い詰めました。
するとアリステアは態度を一変させ、脅迫じみた取引を持ち掛けてきたのです。「お前が背負っている20万ポンドの借金の埋め合わせに、この店の経営権を譲れ。俺の取り分は7割だ」とアリステア。それはアンディにとってあまりにも理不尽な要求でした。
ボイリング・ポイント/沸騰の結末
そんな中で、アンディにさらなる追い打ちをかける緊急事態が勃発。カップルで来店し男性がプロポーズをしようとしていた彼女が、突然アレルギー発作で倒れてしまい救急搬送される騒ぎが起こったのです。アリステアはここぞとばかりにアンディに歩み寄り、副料理長のカーリーに不手際の責任を擦り付けろとささやきました。
発作を起こした女性客からは、事前に「アレルギーのためナッツ類はNG」というリクエストを受けていました。アンディは厨房スタッフをバックヤードすぐに集め検証した結果、カミールが作ったサラダのドレッシングにクルミ油が使われていた事実が判明。
しかも、そのドレッシングを使うよう指示したのはアンディだったのです。「あんたって本当にバカだな。酒臭いクソったれ!反省しろ!」とフリーマンに容赦ない罵声を浴びせられたアンディは、唯一の味方であるカーリーにまで愛想をつかされてしまいました。
密かにアルコールに依存しているアンディは、我慢の限界でした。スタッフルームへこもり、酒を飲みながらテーブルに広げたコカインを一気に吸い込みました。しかし、それらがアンディを救ってくれることはありませんでした。あとからやってきた良心の呵責に苛まれ、アンディは妻へと電話を掛けます。
なぜこんなことになってしまったのか、彼ですらも分かりませんでした。家族からの愛もスタッフの信頼も失ったアンディでしたが、最後のチャンスにかけるため妻に酒を断つことを約束し、全てやり直すことを決意しました。
アンディは電話を切ると、すぐさま残りの酒とテーブルにひろげられたコカインを捨て、身を立て直し厨房に戻ろうとします。
しかし次の瞬間、アンディはそのまま倒れて意識を失ってしまいました。
スタッフたちがアンディを呼ぶ声がいつまでも響きました。
以上、映画「ボイリング・ポイント/沸騰」のあらすじと結末でした。
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