無頼漢(ぶらいかん)の紹介:1970年日本映画。河竹黙阿弥の「天衣粉上野初花」を題材に、悪が悪をこらしめる姿を描く。天保の改革によって贅沢を禁じられた江戸では、謀反の気運が高まっていた。一方松江出雲守の屋敷では、妾になることを拒んだ奉公人が理不尽にも軟禁されていた。遊び人直次郎は無頼漢と名高い河内山と手を組み、謀反の裏で奉公人の娘を助け出そうとする。豪華キャストそろい踏みの痛快時代劇。
監督:篠田正浩 出演者:仲代達矢(片岡直次郎)、岩下志麻(三千歳)、太地喜和子(浪路)、丹波哲郎(河内山宗俊)、芥川比呂志(水野越前守)ほか
映画「無頼漢(1970年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「無頼漢(1970年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「無頼漢(1970年)」解説
この解説記事には映画「無頼漢(1970年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
無頼漢のネタバレあらすじ:江戸の群像劇
舞台は天保13年、江戸。老中水野越前守が贅沢を禁じる天保の改革を推し進め、市井には不平不満があふれていました。見世物小屋が軒を連ねる往来で、遊び人片岡直次郎は吉原の花魁三千歳と出会います。その美しさに魅了された直次郎は早速口説きにかかりますが、三千歳にはまるで相手にされません。その日は大人しく母おくまと住む長屋へ帰った直次郎。そこへ1年前にふらりと姿を消した怠け者丑松が帰って来ました。しかし彼を待っていたのは借金の催促ばかり。妻は自殺し、一人息子も旅一座に売られてしまっていました。丑松は何とか息子だけでも探し出そうとしますが、どうしても見つけられません。一方、水野越前守を憎む役者三文小僧は、芝居小屋に現れた役人達の手から辛くも逃れます。彼を助けたのは、水野越前守とも面識のある悪僧河内山宗俊でした。
無頼漢のネタバレあらすじ:繋がる人間関係
直次郎は三千歳のもとへ通いつめていました。はじめは相手にしなかった三千歳も今やすっかり直次郎の虜です。同じく三千歳に惚れている豪商森田屋清蔵は面白くありません。そこで彼は直次郎を殺害するため、御家人くずれの殺し屋金子市之丞を雇いました。ある夜、直次郎が乗っていると思われる駕籠を襲撃する金子市。ところが乗っていたのは河内山でした。これを機会に、彼らの間には奇妙な繋がりが生まれます。直次郎と三千歳は結婚を望むようになっていましたが、おくまは猛反対します。怒った直次郎はおくまを殴って簀巻きにし、川に放り投げてしまいました。一方丑松は見つからない息子の代わりにと少年を拐かしますが、「人攫い!」と糾弾され少年を斬り殺してしまいます。絶望し川へ身投げしようとした丑松はおくまを見つけ、彼女を長屋まで運んでいきました。
無頼漢のネタバレあらすじ:悪には悪を
銭湯へ行った河内山は、商人上州屋から相談を持ちかけられます。なんでも上州屋の一人娘浪路が、奉公先の松江出雲守から妾になれと強要されているらしいのです。河内山は金を出せば浪路を助けてやると約束し、上州屋も承諾しました。その話を偶然聞いていた直次郎は、ぜひ自分も仲間に加えて欲しいと頼みます。河内山は快諾し、浪路救出のため戦力を集めていきました。
無頼漢のネタバレあらすじ:和解と団結
三千歳は人目を忍んで直次郎の長屋へ向かい、おくまを運び込んだ丑松と出くわしました。丑松はおくまを三千歳に託し長屋を飛び出します。三千歳に介抱され目を覚ましたおくま。三千歳は結婚に反対するおくまを、おくまは直次郎を奪おうとする三千歳を邪魔者だと思っています。しかし三千歳を追って来た森田屋をおくまが撃退したことで2人は和解し、互いに笑顔を浮かべました。長屋を飛び出した丑松は再び自殺を図りますが、今度は金子市に止められます。彼は三文小僧ら役者達と一緒に謀反を起こすつもりでした。江戸の番所や詰所を襲って焼き討ちにし、水野越前守によって禁じられた打ち上げ花火を上げると息巻く三文小僧。丑松はどうせ捨てる命ならと、彼らに協力することになりました。
無頼漢の結末
松江出雲守を拒絶し軟禁されていた浪路は窮地に陥っていました。我慢の限界に達した松江出雲守は、浪路を斬り殺してしまおうと屋敷中を追い回しています。家老北村大膳は松江出雲守の悪評を避けるため、浪路と近習頭宮崎数馬が不義の仲であると嘘をでっち上げ、殺人を正当化しようとしました。そこへ現れたのが、御使僧に化けた河内山です。彼は同じく変装している直次郎や金子市らを連れ、浪路を親元に返すよう言い渡しました。松江出雲守は渋りますが、結局浪路を解放することにします。直次郎は浪路を乗せた駕籠と共に一足先に屋敷を出ますが、その後河内山が正体を見破られてしまいます。河内山は大笑いをして、芝居がかった様子で松江出雲守を糾弾。堂々と屋敷を去りますが、役人に追われる身となってしまい、水野越前守の前で凄絶な最期を遂げます。火を放ち花火を上げていた役者達も次々捕まり、金子市や三文小僧、丑松も死亡しました。一方、直次郎と三千歳は結局おくまを邪魔に思い、2人がかりで彼女を縛り上げます。おくまを背負い、捨てる場所を探す直次郎。その時、江戸の空を花火が彩りました。直次郎が「誰かが世の中を変えたのかな?」と呟き、この映画も終幕を迎えます。
以上、映画無頼漢のあらすじと結末でした。
現在では、倫理規定で上映すら危ぶまれるが、とにかく痛快❗面白い‼️丹波哲郎、仲代達矢以外の脇役も演技力抜群。最終盤水野の場面で引き締まる