椿姫の紹介:1937年アメリカ映画。終生の愛を誓った男女が、立場の違いと周囲の無理解から引き裂かれていく悲恋を描きます。古典的長編小説の映画化ですが、映画以外にも、演劇、オペラ、バレエでいまも数多く上演される人気作品です。本作では、主人公にグレタ・ガルボ。主人公を愛する青年にロバート・テイラー。いずれも一時代を画した美男美女であり、映画史に名を残す大スターです。
監督:ジョージ・キューカー 出演者:グレタ・ガルボ(マルグリット・ゴーティエ)、ロバート・テイラー(アルマン・デュヴァル)、ライオネル・バリモア(アルマン・デュヴァルの父)、ヘンリー・ダニエル(バロン男爵)、レノア・ウルリック(オランプ)、ジェシー・ラルフ(マルグリットのメイド)、ローラ・ホープ・クルーズ(プリュダンス)、レックス・オマリー(ガストン)、エリザベス・アラン(ニシェット)ほか
映画「椿姫(1937年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「椿姫(1937年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
椿姫の予告編 動画
映画「椿姫(1937年)」解説
この解説記事には映画「椿姫(1937年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
椿姫のネタバレあらすじ:起
1847年パリ。その時代、男女が知り合うきっかけを与えてくれたのは、劇場やダンスホール、カジノでした。そこは礼節を重んじながら、そのじつ男女の駆け引きを目的とする社交の場でした。礼儀正しさも、また駆け引きのひとつ、暗黙の了解が、人びとをワクワクした気持ちにさせていたのでした。
マルグリット・ゴーティエ(グレタ・ガルボ)は、界隈でも指折りの美しさをもつ女として知られていました。男たちは彼女を蝶にたとえ、その華やかさを称えます。彼女もまた、男たちの間を軽やかに舞い、彼女たちが棲む世界の女だけが知る甘い蜜の味を堪能していました。
劇場の桟敷席を見つめていた若い男を見つけ、マルグリットが笑みで応じます。胸を躍らせたのは、アルマン・デュヴァル(ロバート・テイラー)です。マルグリットは、はじめて見る男でしたが、アルマンはこの日までずっと、彼女に思いを募らせていたのです。
桟敷席に向かったアルマンは、恋愛巧者のマルグリットに対して、ためらわず愛を囁きます。アルマンは言葉巧みで、しかも情熱的です。多くの男たちを見てきたマルグリットにとっても、アルマンのような誠実で美貌の男は珍しく、彼女にもその日は運命的な日となりました。
椿姫のネタバレあらすじ:承
一方で、マルグリットは高級娼婦です。金の貴さをよく知るマグリットは、資産家のバロン(ヘンリー・ダニエル)の求愛にも応えています。マルグリットに軽くあしらわれたアルマンは落胆しますが、20歳の青年の一途な情熱に衰える気配はなく、その後もマルグリットを慕う思いはつづいていきました。
マルグリットの誕生日の晩。夕食会に招かれたアルマンは、彼女の心を試そうと、すこし遅れて到着します。やきもきしていたマルグリットにアルマンは気持ちよく悲恋小説『マノン・レスコー』を贈ります。恋に身を焦がす男のせつなさを、相手にぜひ理解してほしいのです。
その夜、招かれていたのは、マルグリットと親しい間柄にある常連たちです。羽目をはずす男女を尻目に、アルマンはマルグリットだけを見ています。彼女が体調をくずして夜会を中止したあとも、アルマンはひとり残り、一夜を過ごすことになりますが・・。
パトロンのバロンが帰ってきます。仕事で出張中だった彼は、虫の知らせを聞いてマルグリットのもとへ戻ってきます。男どうしの鉢合わせを避けたいマルグリットは、アルマンを部屋へ通しません。バロンは何ごとかを察しています。しかし、それがまた女の困惑と焦燥を招いているのだと分かると、得もいえぬ高揚感で笑いを抑えられなくなってきます。
椿姫のネタバレあらすじ:転
実らぬ恋に見切りをつけたいアルマンは、旅に出ることを決意します。アルマンの出立を知ったマルグリットは、彼をひき止めます。「ならば」と彼は言います。パリを離れよう、田舎で一緒に生活しようと誘うアルマンに、マルグリットもパリを離れる決心をします。
マルグリットは、田舎暮らしに必要な経費をパトロンのバロンに求めます。しかしバロンは断ります。背を向けて去ろうとするマグリットを、バロンは、祖国ロシアへ誘います。思ってもみなかった展開に顔女は顔を顰めます。
アルマンとは別のアプローチのしかたでバロンもマルグリットを愛しています。手のかかる女をわざわざ手元に置いておくのも、彼女が虚栄心を満たしてくれる女だからです。バロンは、これが最後だと言いつつ、高額の金を渡して彼女の自尊心をわがものにします。
大金を獲得したマルグリットは、アルマンと共に田舎暮らしを満喫します。そこへアルマンの父親(ライオネル・バルモア)がふたりの仲を引き裂きに現れます。父親は、「アルマンにつれなくしてくれ」と彼女にせがみます。しかしアルマンとは永遠の愛を誓っている、それだけはできないと彼女は断ります。すると、「アルマンの出世を妨げないでくれ」と父親は憐れみを請います。
椿姫の結末
「あなたは、息子さん思いの優しい父親」。しかし「息子さんには内緒で、あなたを憎みます」。そう言ってマルグリットは老父を丁重に見送ります。覚悟を改めた彼女は、事実を隠したまま、アルマンに“別ればなし”をしなくてはならなくなりました。
マルグリットのつれない態度にアルマンは困惑し、バロンのもとへ向かうと告げる彼女に心を潰されます。去って行くマルグリットを見送ったあと、アルマンはパリへ戻ります。数か月後、彼はパリに新しくできたカジノへ現れます。
おなじ日、マルグリットとバロンがカジノへやって来ます。アルマンを目の前にして惑乱するマグリットを見て、事実を知らないアルマンは冷淡に振る舞います。やがて本心とは裏腹な態度をとる自分に嫌気がさすと、情けを請い、愛を求め、愛を訴えます。彼女は、それでもアルマンの父親との“約束”を破りません。
長年の不摂生とアルマンへの複雑な思いから、マルグリットは病に伏します。バロンは彼女に愛想を尽かし、その後は手をさし伸べる男たちの声にも彼女は耳を塞いでいます。死に直面したマルグリットの望みはアルマン。やがて、彼女の前にアルマンが現われます。面やつれした彼女をアルマンは大切に抱きとめます。そして彼は繰り返し愛を訴えます。
マルグリットは息を引きとります。彼女がどれほどアルマンの姿を待ち望んでいたか。ひと言の言い訳もせずに逝ったマルグリットの思いは、いまは誰にも分かりません。
以上、映画「椿姫」のあらすじと結末でした。
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