エレキの若大将の紹介:1965年日本映画。永遠の若大将、加山雄三主演の「若大将シリーズ」第6弾です。空前のエレキブームの最中、若大将はライバル青大将と共に、成り行きからバンドを結成することになるのですが…。加山雄三の代表曲のひとつ「君といつまでも」が主題歌に採用されています。
監督:岩内克己 出演者:加山雄三(田沼雄一(若大将))、星由里子(星山澄子)、田中邦衛(石山新次郎(青大将))、寺内タケシ(隆)、ジェリー藤尾(赤田)ほか
映画「エレキの若大将」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「エレキの若大将」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「エレキの若大将」解説
この解説記事には映画「エレキの若大将」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エレキの若大将のネタバレあらすじ:起
若大将こと田沼雄一(加山雄三)を擁する京南大学アメリカンフットボール部の試合は青大将こと石山新次郎(田中邦衛)の単独プレーによりあえなく敗北、反省する青大将は自費で残念会を開くことにします。一方、すっかりエレキギターの虜になっていた若大将は、同じくエレキギターをこよなく愛する近所のそば屋の店員・隆(寺内タケシ)と共に腕を磨いていました。やがて若大将はアメフト部の新キャプテンに就任、実家の老舗すき焼き屋「田能久」で就任祝いの飲み会を催します。しかしその帰り、青大将は飲酒運転で事故を起こしてしまい、対向車に乗っていた星山澄子(星由里子)に怪我を負わせてしまいます。青大将の車に同乗していた若大将は、青大将に頼まれて罪を被ることになります。
エレキの若大将のネタバレあらすじ:承
澄子の治療費と車の修理代、罰金を払わなければならなくなった若大将は、澄子が働く「リード楽器店」で「勝ち抜きエレキ合戦」に出るというガールズバンド「アイビーシスターズ」と出会います。10週連続で勝ち抜けば賞金10万円がもらえると知った若大将は、早速青大将やアメフト部の仲間たち、そして隆も誘ってバンド「ヤングビーツ」を結成します。ヤングビーツは順調に勝ち進み、いよいよ決勝戦にコマを進めるのですが、退院した澄子にエレキ合戦のチケットを渡そうとした青大将は、対戦相手のバンド「シャークス」のリーダー・電気ウナギの赤田(ジェリー藤尾)に脅され、決勝戦で妨害工作をするよう迫られますが、決勝戦では若大将は「夜空の星」を歌い上げ見事優勝を飾ります。若大将は赤田の知人である松原路子(北あけみ)から食事に誘われますが、その様子を目撃していた澄子は赤田に迫られます。
エレキの若大将のネタバレあらすじ:転
若大将と青大将はレストランで赤田に迫られている澄子を助け、大乱闘に発展してしまいます。しかも赤田の父は、若大将の父・久太郎(有島一郎)が「田能久」の融資を頼んでいた銀行の重役であったことから、若大将は勘当されてしまい、更に1ヶ月の停学処分までくらってしまいます。その頃、ギターの腕前を認められた隆はエレキ合戦の審査員でプロモーターの石原和子(久慈あさみ)にスカウトされ、日光で演奏することになり、若大将も同行することになります。一方、事故の真相を知った澄子もまた誤解を詫びるため日光に向かい、若大将と再会します。若大将は澄子のために書いた「君といつまでも」を初披露します。しかし澄子は青大将から交際を迫られ、怒って東京へ帰ってしまいます。
エレキの若大将の結末
ホテルに戻った若大将は、電報で実家「田能久」が破産したことを知り、急いで帰京しますが父と喧嘩してしまい、再び家を出てしまいます。若大将は復学を許されますがアメフト部を辞め、代わりに青大将がキャプテンに就任します。若大将は澄子と和解しますが、ホテルのオーナーである路子の父が「田能久」救済と引き換えに路子と若大将を結婚させようとしていることを知った澄子は、若大将が断りを入れるのを待たずに身を引き姿を消します。若大将は隆らと共にバンドを再結成、石原のプロデュースのもと「君といつまでも」をレコード化してもらい、大ヒットを収めて「田能久」再建資金を獲得します。その後若大将はアメフト部に復帰し、西北大学との試合に向けて練習に励みますが、路子から澄子の手紙を見せられ、消印から澄子が日光にいると確信した若大将は現地に向かいます。しかし、若大将が澄子を探している間に、とうとうアメフトとの試合が始まってしまいます。ようやく澄子を見つけた若大将は、路子の助けを借りてヘリコプターで試合会場に向かい、劣勢に立たされていたアメフト部の危機を救うべく大活躍を見せ、アービーシスターズやシャークスなどが応援するなか見事に大逆転勝利を収めます。再建された「田能久」で優勝祝賀パーティーが開かれ、若大将は「君といつまでも」を熱唱しました。
この映画「エレキの若大将」は、第1作目の「大学の若大将」から「若大将対青大将」まで計17本製作された”若大将シリーズ”の第6作目の作品だ。
ストーリーは、すき焼き屋・田能久のひとり息子、田沼雄一(加山雄三)が、京南大学を舞台に、ヒロインの澄ちゃん(星由里子)をめぐってライバルの金持ちのドラ息子、青大将(田中邦衛)の妨害を乗り越えて、恋とスポーツに大活躍をするという、古き良き時代の”偉大なるワンパターン映画”なのだ。
そして、映画のラストは、青大将の妨害で大事な試合に最初から出場出来なかった若大将が、試合の終盤にギリギリ間に合い、彼の奮闘で奇跡の大逆転をするという、お約束のパターンも、わかっていても、毎回、楽しませてくれる。
水泳、ボクシング、サーフィン、スキー、アメリカンフットボールなど、毎回様々なスポーツに挑戦して、加山雄三のスポーツ万能ぶりをアピールすると同時に、第4作目の「ハワイの若大将」からは、映画の中で、岩谷時子作詞、弾厚作作曲(加山雄三自身のペンネーム)の歌を聞かせて、ミュージシャンとしての才能も開花させている。
なかでも、このシリーズ第6作目の「エレキの若大将」は、タイトル通り、加山自身が得意とするエレキ・ギターをメインとした構成で、主題歌の「君といつまでも」や「夜空の星」などのビッグヒットとともに、加山雄三の空前の人気を決定づける記念碑的な作品になっていると思う。
また、エレキの神様・寺内タケシや、内田裕也などのゲスト出演もファンにとっては嬉しいところだ。
この”若大将シリーズ”で描かれた映画的世界においては、暴力もセックスもなく、一見、絵空事の青春のようだが、加山雄三の育ちの良さを思わせる、愛すべき屈託のなさは、当時の東京の山の手の学生文化の雰囲気をしっかりと伝えていて、非常に好感が持てるのだ。