コレリ大尉のマンドリンの紹介:2001年アメリカ映画。ルイ・ド・ベルニエールの同名小説を映画化したヒューマンドラマです。第二次世界大戦時、イタリア軍とドイツ軍に占領されたギリシャ・ケファロニア島を舞台に、マンドリン弾きのイタリア軍大尉と島民の交流を描いています。
監督:ジョン・マッデン 出演者:ニコラス・ケイジ(アントニオ・コレリ)、ペネロペ・クルス(ペラギア)、ジョン・ハート(イアンニス)、クリスチャン・ベール(マンドラス)、デヴィッド・モリッシー(グンター・ウェーバー)ほか
映画「コレリ大尉のマンドリン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コレリ大尉のマンドリン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「コレリ大尉のマンドリン」解説
この解説記事には映画「コレリ大尉のマンドリン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コレリ大尉のマンドリンのネタバレあらすじ:起
1940年、ギリシャ・ケファロニア島。この島に住む医師イアンニス(ジョン・ハート)の娘ペラギア(ペネロペ・クルス)は、恋人である漁師マンドラス(クリスチャン・ベール)からプロポーズを受けました。時は第二次世界大戦の最中、イタリア軍とドイツ軍がギリシャに狙いを定めたことから、マンドラスも祖国を守るため島の男たちと共に出征する決意を固め、ペラギアに婚約指輪を渡して戦地に向かいました。ペラギアは毎日のようにマンドラス宛に手紙を書きましたが、返事は来ないまま1年が過ぎました。結局ギリシャはイタリアとドイツに降伏、分割して占領されることとなりました。
コレリ大尉のマンドリンのネタバレあらすじ:承
負傷して島に戻ってきたマンドラスは敵国への復讐心に満ちており、仲間たちと共に徹底抗戦も辞さない構えを見せ、ペラギアはそんなマンドラスの変貌ぶりに戸惑っていました。そんなある日ケファロニア島に、背中にマンドリンを背負った陽気な男アントニオ・コレリ大尉(ニコラス・ケイジ)率いるイタリア軍舞台がやって来ました。コレリは過酷な戦時中でも人生と音楽を楽しもうと考えており、最初は敵対心を抱いていた島民たちも次第にコレリの人柄に触れて打ち解けていきました。ペラギアもまたコレリの奏でるマンドリンに心を打たれ、次第に二人は想いを寄せ合うようになっていきました。
コレリ大尉のマンドリンのネタバレあらすじ:転
コレリは島民との親睦を深めるためにダンスパーティーを企画し、ドイツ軍の将校グンター大尉(デヴィッド・モリッシー)やイタリア兵もその輪に加わりました。ある日、浜辺に20年前のトルコ軍の機雷が打ち上げられ、部隊を率いて処理に向かったコレリは負傷してしまい、ペラギアの手当てを受けたことから二人は急接近、コレリはペラギアに愛を告げ、二人は結ばれました。そんな折、イタリアが連合国に降伏、コレリらの部隊は帰国できることになりました。しかし帰国の準備を始めたイタリア軍に対して、ドイツ軍は武装を解除して全ての武器を引き渡すよう要求してきました。
コレリ大尉のマンドリンの結末
ペラギアの紹介でマンドラスと対面したコレリは、レフカダ島のイタリア兵がドイツ軍によって強制収容所に送られたことを知ります。コレリは多数のイタリア兵がドイツ軍に射殺される様を目の当たりにし、抵抗勢力と共に戦う決意をしますが凄惨な戦いの末にコレリは捕えられ、処刑場へと送られてしまいます。仲間の犠牲もあって辛うじて脱走したコレリは重傷を負い、ペラギアの懸命の看病を受けて復活、その後島から脱出しました。やがて戦争が終わった1947年。ペラギアは医学を学んでいましたが、ケファロニア島は大地震に見舞われ、ペラギアの実家を含む多くの家屋が倒壊、多大な被害を出しました。心を痛めるペラギアの元に、何とコレリが戻ってきました。
男の愛情というのも切ないものです。これは主人公達の愛情だけではありません。ペラギアの婚約者だったマンドラスは祖国ギリシャ防衛のために任に着き戦地へ赴きましたが、劣勢だったイタリア軍は同盟国のドイツ軍の加勢を得て敗北の憂き目に合いました。だがそれを潔しとはしない彼はレジスタンスへ加わり、コレリ大尉とは複雑な関係になってゆきます。そして戦局がイタリアに不利となり、ついに連合軍に単独降伏することに。故郷へこれで帰れるとの淡い期待を抱くもののそれは甘い予測でしかなかったことになるのです。かつての友軍だったドイツ軍が彼らを裏切り、戦いを決意した島に駐留するイタリア軍は善戦はしたものの圧倒的な力の差により生き残った捕虜がドイツ側により惨殺されるという悲劇が起こります。コレリ大尉も瀕死の重傷を負いますが、戦友の一人が盾となり致命傷は受けませんでした。そのことに大尉の友人であったドイツ人将校は止めを刺すことができませんでした。男の友情です。そのコレリ大尉を救ったのがマンドラスでした。私ならできたでしょうか。敵に見つかれば家族まで皆殺しにされるというのに。自分の愛した女性の心変わりを知り、その相手を命懸けで助けるなんて。マンドラスもコレリ大尉の不思議な人柄に感じ入る所があったのでしょう。ペラギアの父親である医師の必死の処置により大尉は助けられましたがここに留まってはいられない。この時の脱出行もマンドラスが手助けをしました。彼こそ男の中の男でしたね。愛する女性のために行動するその姿は素晴らしかった。戦争が本当に終わって数年後、徐々に回復の兆しを見せていたこの島に再び悲劇が襲いました。大地震です。隣人達の救助も一段落着いた頃にペラギラ親子の前へ消息不明だったあの顔が年を経た姿を見せ、この映画が一応ハッピーエンドという形で終わります。私は個人的にこの映画の真の主人公はマンドラスだと思っています。教育も無く、しがない漁師に過ぎませんが彼の至誠の愛の姿に心打たれました。そして。同盟軍の中では低評価とされがちな第二次世界大戦時のイタリアの男達も勇敢に闘ったということを知らされました。ありきたりな戦争映画とは一味もふた味も違った名作です。