地の群れの紹介:1970年日本映画。井上光晴の原作を熊井啓が映画化。被差別部落と被爆者という題材から大手の映画会社では企画をはねられ続けたが、発足したばかりのATGの協力で製作が実現化した。キネマ旬報ベストテンでは5位に入選。
監督:熊井啓 出演:鈴木瑞穂(宇南)、松本典子(英子)、瀬川菊之丞(宇南の父)、寺田誠(信夫)、ほか
映画「地の群れ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「地の群れ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「地の群れ」解説
この解説記事には映画「地の群れ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
地の群れのネタバレあらすじ:起
佐世保で小さな医院を開いている宇南のところには、様々な人々が診察に訪れます。その1人が光子という船上生活者です。彼女に頼まれて、港に舫っている船に娘だという少女を診にゆくと、どう考えても原爆病としか思えない症状を呈しています。おそらく光子自身が被爆者で、それが娘に遺伝したのですが、彼女はそれを否定。というのも、近くに海塔新田と呼ばれる被爆者ばかり集まった村があり、そこの住民だと思われると差別を受けるからでした。
地の群れのネタバレあらすじ:承
また、もう1人別の患者が医院へ。徳子という被差別部落に住む若い女性です。彼女はレイプされたという証明を求めます。彼女は自分の後をつけてきた男に襲われたのですが、ずっと手袋をしていたことから、男はどうやらケロイドのある海塔新田の住民だと見当がつきました。最初、彼女の上級生で知り合いである信夫という青年が怪しいとされ、警察も彼を逮捕しますが、証拠がなく釈放。実際身に覚えがない信夫はそのことで徳子を責めますが、徳子によれば犯人自身が信夫に冤罪をかけたのです。徳子の言葉をヒントに、信夫は誠という近所の独身男が犯人らしいと睨みます。
地の群れのネタバレあらすじ:転
徳子はまず1人きりで海塔新田に乗り込み、誠の家へ。どうやら彼が犯人のようですが、案の定、シラを切ります。徳子は「こっちにも考えがある」と言って一旦帰ります。その夜、事情を聞いた徳子の母親が再び誠の家へ。彼の父親である重夫が扉越しに対応しますが、相変わらず「知らん」の一点張りです。やがて激高した徳子の母親は海塔新田の住民全員を差別的な言葉で非難。すると、家を取り囲む闇から彼女に向かって石つぶてが一斉に飛んできます。頭から血を流しても侮蔑を止めない彼女に対してトタン板まで飛来し、彼女は血まみれになって息絶えます。
地の群れの結末
それらの話を別の患者から聞いた宇南は呆然として診察も手につきません。彼自身、実は被差別部落出身者で、昔少女をレイプしたことがあったのです。しかも父親を探して原爆投下直後の長崎をさまよったため、被爆した可能性も否定できません。それらのことが重荷になって、子供も作ることができなかったのです。やがて徳子の母親を殺した容疑で信夫は警察に追われる羽目に。またしても冤罪です。逃げてゆく彼に偶然出会った宇南はただその後ろ姿を見送るだけしかできませんでした。
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