コクーンの紹介:1985年アメリカ映画。老人ホームの住人アート、ベン、ジョーの3人組は、未知の繭(コクーン)の力で、若かりし頃の気力が蘇っていきます。第二の人生を謳歌する彼らは、重大な決断をすることになります。おとぎ話のような題材に“生と死”というテーマを綴ったSFファンダジー映画です。1988年に続編の『コクーン2/遥かなる地球』が公開されています。
監督:ロン・ハワード 出演者:ドン・アメチー(アート)、ウィルフォード・ブリムリー(ベン)、ヒューム・クローニン(ジョー)、ジェシカ・タンディ(アルマ)、ジャック・ギルフォード(バーニー)ほか
映画「コクーン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コクーン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
コクーンの予告編 動画
映画「コクーン」解説
この解説記事には映画「コクーン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コクーンのネタバレあらすじ:起・不思議な繭
フロリダ州セント・ピータースバーグにあるサニーショア老人ホームで余生を過ごす3人の老人アート、 ベン、ジョーは、近くにある空き家のプールで泳ぐのを楽しみにしています。
借金取りにせっつかれながらクルージング業を営むジャックは、上品そうな紳士ウォルターから好条件で船を借りたいという申し出を受けます。
ウォルターが例の空き家付きのプールを借りたことにより、老人3人組の密かな楽しみが奪われてしまいます。忍び込む3人は、プールにいくつかの巨大な繭状のもの(コクーン)が沈んでいるのを目にします。巨大な繭状のものは、ウォルターと仲間たちが海底から引き上げたものです。そんなことを気にせず、プールで泳いでいる3人は、なぜだか元気が湧いてきます。ジョーは、妻アルマと久し振りに情熱的な夜を過ごします。独り者のアートは片思いの女性ベスに積極的アタックし、ベンも妻メアリーとますます仲睦まじくなっていきます。例のプールが元気の源だと、3人は思い始まます。
コクーンのネタバレあらすじ:承・異星人との約束
上客を掴んだジャックでしたが、彼らの行動に不信感を抱きます。しかし、ウォルターの仲間キティに興味があるジャックは、彼女の真の姿を目撃してしまいます。アンタリア星人であるウォルターたちは、100世紀前の地球を訪れた先祖が、大変動に遭遇し海に沈んでしまい、繭状となった先祖を連れ戻そうとしていたのです。混乱するジャックでしたが、友好的な態度を示すウォルターたちに協力することになります。
老人3人組も、ウォルターたちが人間でないことを知ってしまいます。ベンは自分たちや仲間たちのため、元気の源であるプールで泳ぎたいとウォルターに頼みます。ウォルターは繭に触らないことを条件に、プールの利用を許可します。しかし、ベンたちから誘われた堅物のバーニーは、「人には、自然の与えた寿命がある」と言って断ります。
コクーンのネタバレあらすじ:転・蘇った若さと現実
ベンたち3人とその妻と恋人は、ウォルターたちと友好的な関係を築きながらプールで泳ぎます。若者顔負けの気力が蘇った彼らは、再び訪れた青春を謳歌します。しかし、かつての女遊びの癖が復活してしまったジョーは、アルマを悲しませることになります。ジャックの好意を感じているキティは、人間の男女が愛し合うようなことができない替わりに、光輝くエネルギーのようなものをジャックに与えます。
ハメを外しすぎたベンたちの言動により、元気の源がプールだと老人ホームの住人たちに知られてしまいます。元気になりたいと思った老人ホームの住人たちが、プールに大挙したことにより、繭の中のアンタレス星人の生命力が奪われ死んでしまいます。怒ったウォルターは皆を追い出します。死の概念がないウォルターたちは、初めて仲間の死に涙します。
コクーンの結末:新たなる世界へ…
ウォルターたちの身を案じるベンは、母星に帰るように促します。そして、約束を破ったことを謝ります。
ジャックの船で、ベンら老人たちと宇宙人たちは繭を海に戻します。ベンたちの友情を感じたウォルターは、彼らを不老不死のユートピアであるアンタレス星に行かないかと誘います。新たな世界への旅立ちの決意をしたベンたちは、地球での身辺整理をします。
ウォルターの提案は、老人ホームの住人にも知れ渡ります。老人たちはホームの職員に見つからないように、ジャックの船に乗り込みます。しかし、妻を失ったバーニーは残ることを選択します。老人たちを乗せた船は、出現した宇宙船に吸い込まれていきます。
以上、映画コクーンのあらすじと結末でした。
「コクーン」感想・レビュー
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この映画、最後には宇宙人と共に宇宙へを旅立っていく老人たちですが、奥さんを亡くしたバーニーだけが地球に残ります。宇宙人と共に行けば永遠に若く生きられるのに。そこにこの映画が語りたかったメッセージがあるように思います。たとえ、どんなに長く若く生きられたとしても、人生の大切なものはそれだけではないと。
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介護に疲れロナセンの院内処方に拍車がかかり、実験材料にされている気がする。
人類にとって最大の夢は「不老不死」です。「不死」についてはさておき、「不老」という誰しも霜が求める永遠のテーマがこの『コクーン』のストーリーそのものでした。地球外生命体が結果として降伏をもたらしてくれた作品としては先に『未知との遭遇』や『E.T.』などが挙げられるでしょう。本作も最後は老人ホームで余生を送っていた人々が宇宙船の母船に収容されて、未知なる世界へ旅立つという、ハッピーエンドとなっているので、何かしらの影響を受けていたことは確実だと思います。プールに身を浸すことで回春の作用を偶然知ってしまった老人達でしたが、残念なことに効果は永続的ではなく、一時凌ぎを繰り返す結果麻薬中毒のようになった結果を私は既に予期しながら、映画館で観ていました。やはり何かを得るには相応の代償が必要なことは必然。本来不死なはずの繭の中身の異星人は殺到した老人達によってエネルギーを奪い取られて死に至り、友好的な関係が損なわれてしまうという光景にやはり哀しさを感じるのです。科学的な説明が一切不要だということもこの映画の善い所です。SFをベースにしているものの明るいファンタジーであることが救いなのです。ラストシーンで愛する人達と決別して、新しい世界へと老人の多くが旅立ちましたけれど、今にして考えればこれも形を変えた「死」であると私は気づきました。続編も制作されましたが、私の中では「1」でこの物語は終わっているのですよ。「2」を見てみたい気もするけれど、自分なりの見出した答えを変えたくはない。これも映画の鑑賞術ですから。人それぞれが自分だけの答えを持っているのですね。