フィッシュマンの涙の紹介:2015年韓国映画。カンヌ映画祭・短編部門の受賞歴があるクォン・オグァンの長編監督デビュー作。報道記者を目指す青年が出会ったのは、製薬会社の臨床実験で“フィッシュマン”に変えられてしまったという1人の男。その存在はやがて、政治不信、就職難、若者の貧困など、現代の韓国が抱えるさまざまな問題を浮き彫りにしていく。フィッシュマンが社会のヒーローとなった時、思いも寄らない事件が巻き起こるが…。出演は、「コンフェッション 友の告白」(2014)のイ・グァンスと、テレビドラマ「君覚え」(2015)のイ・チョニ。
監督:クォン・オグァン 出演者:イ・グァンス(パク・グ)、イ・チョニ(サンウォン)、パク・ボヨン(ジン)、キム・ヒウォン(キム弁護士)、チョン・インギ(テレビ局の上司)、ミョン・ケナム(会長)ほか
映画「フィッシュマンの涙」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フィッシュマンの涙」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
フィッシュマンの涙の予告編 動画
映画「フィッシュマンの涙」解説
この解説記事には映画「フィッシュマンの涙」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フィッシュマンの涙のネタバレあらすじ:起
報道記者になる夢を抱く、正義感あふれる青年サンウォン。テレビ局の面接で「採用されたければ、このネタを調べろ」と言われ、ジンという女性を訪ねます。彼女は、「彼氏が魚になった」という投稿でネットを炎上させた人物でした。ジンの“彼氏”とは、一夜だけ関係を持ったパク・グ。彼は、30万ウォンという謝礼につられて製薬会社の臨床実験に参加。新薬の副作用で頭部だけ魚になってしまった男でした。困り果てて助けを求めてきたパク・グを、あろうことかジンは「製薬会社に売ったわ」と言うのです。サンウォンとジンは製薬会社に忍び込み、捕えられたパク・グを発見。サンウォンが撮影した動画がきっかけで、世間は「製薬会社が民間人を監禁」と大騒ぎになります。臨床実験の責任者であるピョン博士は、「体内でタンパク質を作り出し、食糧難を解決するのが目的だった」と弁明。一方、サンウォンは、「話題を提供した見返りに謝礼をちょうだい」と言うジンにドン引きします。
フィッシュマンの涙のネタバレあらすじ:承
パク・グの存在は、社会に対する国民の怒りを爆発させます。とりわけ就職難の若者達は圧倒的にパク・グを支持。もはやヒーロー扱いで、街を歩けばサインをねだられ、追っかけまで現れます。パク・グの父親は金の亡者で、キム弁護士の助けを借りて製薬会社から賠償金をせしめようと必死。周囲の混乱をよそに、パク・グの体は魚化が進み、大量の水分を必要としていました。世間を敵に回した製薬会社は、大手企業に買収されてパク・グを陥れるデマを流します。パク・グの人気は急降下し、サンウォンも取材中止を命じられます。傷ついたパク・グは、サンウォンの部屋に身を隠します。そこで初めて打ち解けて話し合った2人。平凡なパク・グの夢は、「海を見ること」でした。部屋で1人になったパク・グは、首を吊って自殺を図ります。しかし運ばれた病院で目を覚まし、失敗したと悟ります。エラ呼吸のため、首を吊っても無駄だったのです。
フィッシュマンの涙のネタバレあらすじ:転
退院後、パク・グはジンを訪ねます。彼はジンに恋していました。ジンは罪悪感に泣き出します。その後、製薬会社でピョン博士の研究対象となることに同意するパク・グ。残酷な人体実験を経て、新薬は完成。そしてパク・グは亡くなります。ピョン博士の夢は叶いませんでした。製薬会社が売り出した新薬は高額で、庶民に買えるものではなかったのです。パク・グの葬儀が行われました。彼の父親は、息子の遺灰を海にまきます。ピョン博士はキム弁護士に訴えられ、7年の実刑を受けます。博士は、パク・グを人間に戻す方法を知っていたのに隠していました。サンウォンは正式にテレビ局に雇われ、念願の記者になりました。ところが、仕事はバラエティ番組ばかり。昔の情熱も消え、次第に惰性で働くようになります。
フィッシュマンの涙の結末
ある日、テレビ局にジンが現れました。サンウォンに一枚の写真を渡して言います。「彼は死んでないわ」。それはパク・グの散骨の光景でしたが、なんと写真の隅に生きているパク・グが映っています。真実を探るため、サンウォンはピョン博士と面会します。博士は、自分の実験を優先してパク・グを人間に戻しませんでした。しかし夢破れて後悔だけが残った時、パク・グを元の姿に戻そうと申し出ます。ところがパク・グは、「魚の姿のままで生きていきたい」と答えたのです。海に入っていくパク・グを見送ったピョン博士。パク・グは、サンウォンにだけは真実を教えてほしいという伝言を残していました。「なぜなら、サンウォンこそ真の記者だから」。パク・グはそう言ったのです。それを聞いたサンウォンは号泣します。その後、再びジンが1本のビデオテープを持って現れます。そこには、スキューバダイビングをするカップルが映っていました。よく見ると、彼らの後ろを泳いでいるパク・グの姿が見えます。サンウォンは立ち上がり、カメラを持って飛び出して行くのでした。
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