コンカッションの紹介:2015年アメリカ映画。全米に大論争を巻き起こしたNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の隠ぺい問題に立ち向かう実在の医師をウィル・スミスが演じる。ナイジェリア出身の医師オマルは、心臓発作で亡くなったという元NFLスター選手の遺体を見て疑問を抱く。彼の死は心臓発作ではなく、フットボールのプレイ中に受ける激しい脳への衝撃が原因ではないのか――。この恐ろしい事実を世間に公表しようとするオマルに、次々と障害が襲いかかる。ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞ノミネート作品。
監督:ピーター・ランデスマン
出演者:ウィル・スミス(ベネット・オマル)、アレック・ボールドウィン(ジュリアン・バイレス)、デヴィッド・モース(マイク・ウェブスター)、アルバート・ブルックス(シリル・ウチェット)、ググ・バサ=ロー(プレマ・ムティソ)、ほか
映画「コンカッション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コンカッション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
コンカッションの予告編 動画
映画「コンカッション」解説
この解説記事には映画「コンカッション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コンカッションのネタバレあらすじ:起
ペンシルベニア州ピッツバーグで病理学者として働くベネット・オマル(ウィル・スミス)。ナイジェリア出身である彼の仕事ぶりは、他のアメリカ人医師とは違っていました。遺体に親しげに語りかけ、必要とあらば多額の費用もいとわず敬意をもって死因を探っていく。その独自のやり方は同僚医師から反感を買っていましたが、オマルの上司シリル(アルバート・ブルックス)だけは理解を示していました。ある日、オマルのもとに元NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のスター選手マイク・ウェブスター(デヴィッド・モース)の遺体が運ばれてきます。引退後はホームレス状態になりアルツハイマーを発症、50才の若さで心臓発作により死亡したと思われているウェブスター。しかし彼のCT写真を見て死因に疑問を抱いたオマルは、周囲の反対を押し切り自費を投じて調査を強行。ウェブスターは「慢性外傷性脳症(CTE)」を患っていたのではと考えます。これは脳が外部から強いダメージを受け続けることで神経障害を引き起こす病であり、アルツハイマーとは異なります。オマルは、ウェブスターの死因はフットボールそのものにあると結論づけたのです。
コンカッションのネタバレあらすじ:承
オマルは神経内科医師のデコスキー(エディ・マーサン)と共に、ウェブスターの検死報告を論文にして発表します。その頃、オマルの家にはプレマという若い女性が同居していました。ケニアからアメリカへ来たばかりで住居のない看護師のプレマは、教会の紹介でオマルの部屋を借りていたのです。プレマはオマルの論文発表を喜び、2人は自然に結ばれます。その後も元NFLの選手による事故死や自殺が相次ぎます。彼らの診断書を見たオマルは、どれもジョセフ・マルーンという医師の署名によるものだと気づきます。その時期を境にオマルに対するNFLの執拗な嫌がらせが始まります。彼らの目的は論文の撤回。アメリカで最も人気のあるスポーツであり、新スタジアムの建設など街を潤わせる巨大産業のNFLにとってオマルの論文は致命傷でした。プレマと暮らす家にまで脅迫電話がかかり、オマルは憤ります。その一方でCTEを発症する元NFL選手の数は増えていきます。元スター選手で現在は企業家として活躍するデュアソン(アドウェール・アキノエ=アグバエ)のもとを訪れた元選手のウォーターズは、日増しに悪化していく体調を訴えます。末は市長選も視野に入れているデュアソンは彼の苦しみに背を向けました。ウォーターズは銃で自殺を遂げます。
コンカッションのネタバレあらすじ:転
オマルに意外な味方が現れます。元NFLの顧問医師でウォーターズと親しい友人だったベイルズ(アレック・ボールドウィン)です。ウォーターズの検死で科学的証明を固めたオマルとベイルズは、診断書にサインしていたマルーン医師(アーリス・ハワード)と対峙します。しかしマルーンは、この街の雇用を生み出しチャリティもしているNFLを終わらせるつもりなのかと反論。議論は平行線に終わります。思い悩むオマルを力づけたのはプレマでした。神の英知を強く信じる彼女は、どんな障害があろうとも戦ってほしいと励まします。そんな苦しい状況も、オマルとベイルズの記事がニューヨークタイムスに掲載されたことで風向きが変わります。タイムスに対する世間の反応は大きなものでした。事態を重く見たNFLはシカゴで脳震盪会議を行うと発表。オマルとベイルズに発表の機会が与えられました。きっとうまくいくと喜び合う2人でしたが、かつての仲間を裏切ることになる立場のベイルズは複雑な表情を浮かべています。会議当日。NFLが言い渡したのはオマルへの会場入室禁止でした。証言が許されたのはベイルズのみだったのです。
コンカッションの結末
そんな矢先、病院に現れたFBIがシリルを連行。言いがかりとしか思えない罪をきせて解雇処分にします。明らかにNFLからの圧力でした。オマルは代わりに自分が病院を辞めると申し出ますが、労働ビザのため米国滞在に支障が出ると言われます。一方、妊娠中だったプレマは車を運転中に謎の車に尾行され、恐怖のあまり流産してしまいます。プレマは涙にくれながらもオマルに負けないでほしいと訴え、オマルはここではない場所で今度こそ家族を作ろうと涙を流します。そして3年後。カリフォルニアのローダイで監察医をするオマルは、プレマと子供と共に平穏に暮らしていました。そこに突然、ベイルズから電話が入ります。デュアソンが自殺したのです。CTEを発症した彼は、自分の脳を提供したいというメモを残していました。ついにNFL選手会による脳震盪委員会会議に出席したオマル。その証言が世論を動かすことになります。功績が認められたオマルはワシントンに呼ばれ、国家の法医学者の職に大抜擢されます。それでも彼は、ローダイに残るという道を選びます。オマルの視線は、ローダイ高校のグランドでフットボールをプレイしている大勢の男子生徒に注がれていました。2015年、オマルはアメリカ合衆国民となります。
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