いつか来た道の紹介:1998年イタリア映画。1958年~1964年のイタリア・トリノの街。シチリアからトリノへ出てきた兄弟の姿を1年ごとに6章に分けて描いた作品。シチリアからイタリア北部の大都市トリノに出てきたジョヴァンニとピエトロ。兄・ジョヴァンニは読み書きができないが、弟・ピエトロにはしっかり教育を受けさせ教師になってほしいと願っていた。そのためにどんな辛い仕事も厭わず働き、やがて弟のいるイタリア北部の大都市・トリノに訪れる。それからというもの、いくつかのすれちがいが二人の兄弟を皮肉な運命に向かわせていく。1998年ベネチア映画祭金獅子賞受賞作。
監督:ジャンニ・アメリオ 出演:エンリコ・ロー・ヴェルソ(ジョヴァンニ)、フランチェスコ・ジュフリッダ(ピエトロ)、ロザリア・ダンツェ(ルシア)、ファブリツィオ・ジフーニ(ペライア)、クラウディオ・コンタルテセ(ロザリオ)、ほか
映画「いつか来た道」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「いつか来た道」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「いつか来た道」解説
この解説記事には映画「いつか来た道」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
いつか来た道のネタバレあらすじ:起
1958年、1月。主人公・ジョヴァンニは、トリノの学校に通う弟・ピエトロを頼ってシチリアから引っ越してきました。学校へ行く前、兄を駅まで迎えに来たピエトロですが、ジョヴァンニを見つけてもなかなか姿を現すことができません。
ジョヴァンニは面倒みの良い親分肌で慕われる存在でしたが、親を亡くしてからは働きづめの毎日を送っていました。そのためきちんとした教育を受けておらず、読み書きもままなりません。しかしジョヴァンニはピエトロを学校に通わせ、教師にするという夢を抱いていました。自分がきちんと教育を受けられなかったぶん、ピエトロが学校へ行くためならどんな仕事も厭いません。ピエトロはそんな兄へ感謝する反面、勉強は嫌いで自分は教師になれないと感じていました。しかしジョヴァンニは弟は賢く、教師になれると信じてやみません。
いつか来た道のネタバレあらすじ:承
トリノでもジョヴァンニは日がな働きます。ジョヴァンニは田舎とはうって違うトリノでの生活に新鮮さを感じる反面、色んなことに驚きを隠せません。またイタリア社会がシチリア人を「狂った人」とみなす風潮もジョヴァンニにとっては衝撃的でした。
酒場で知り合った労働者仲間と語り合うなかでピエトロを独り立ちさせた方がいいのか悩みますが、それでも考えは変わらず、危険な仕事に従事し続けます。そのモチベーションはピエトロに不自由な思いをさせず、学校を卒業させることだけでした。
一方、ピエトロは授業をさぼりがちになり、ジョヴァンニへも反抗的な態度をとり続けます。いつも自分の事を気にかけてくれる兄への気持ちを知りながら、それを疎ましくも感じていたのです。悩み続けるあまり、シチリア人としてのアイデンティティにも悩むようになっていました。
いつか来た道のネタバレあらすじ:転
ある日、ピエトロは乗っていたバスの車内で財布を盗んだ男と遭遇します。男は盗んだ財布をビエトロの足元に落として去っていきます。ピエトロはその盗まれた財布を元の持ち主に返さず、自らまた盗み取るのでした。その金を元手に、ピエトロはジョヴァンニを夕食へ招待します。そして盗んだ財布に入っていたお金をジョヴァンニがいつも持ち歩いているカバンへ入れ直します。それがピエトロにできるわずかな兄への恩返しでした。そしてピエトロが盗み取ったお金を元手に、ジョヴァンニは今よりもずっと待遇の言い新しい転職先を見つけることができたのです。
しかし、その事件後ピエトロはジョヴァンニの前から突然姿を消してしまいます。突然の事に呆然とするジョヴァンニは動揺を隠しきれません。それでもたった一人の弟が帰ってくる希望を捨てきれず、ジョヴァンニはピエトロを待ち続けます。
ジョヴァンニの元を去ったピエトロは、兄と離れている間自分のやりたかったことを考え直していました。そしてあきらめかけた教師になる夢を叶えたいと再び一念発起し、教師の試験のために無我夢中で勉強します。結果、ピエトロは晴れて教師の試験無事に合格します。兄と自分の夢だった教師になれたピエトロ。一年も離れていた兄へ合格したことを伝えたいと兄との再会を望みます。しかしジョヴァンニは仕事も家も変わっていました。街中を探し回り、やっとジョヴァンニと再会したピエトロ。兄弟は久しぶりの再会とピエトロの合格を心から喜んでいました。しかしその喜びもつかの間、ジョヴァンニは犯罪を犯してしまいます。ピエトロはその罪を自ら被り、ジョヴァンニの代わりに逮捕されるのでした。
いつか来た道の結末
1964年7月。ジョヴァンニが北部の女性と結婚し、幸せに暮らしていました。ジョヴァンニはその年の復活祭、自分の息子の洗礼式に立ち会ってほしいと服役中のピエトロを招きます。またジョヴァンニは自分の息子に弟と同じピエトロと名付けていました。
ピエトロは少年院から付き添いの保護官と共に兄の元を訪れますが、その顔はどこか虚ろな表情が浮かんでいました。ジョヴァンニは、ピエトロの服役は少年院にいる間の短期間で済むと思っていましたが、付添いから少年院から大人の刑務所に転任することを伝えられます。それを知っても、ジョヴァンニは大きな動揺をすることはありませんでした。
ピエトロは付添いの保護官と共に汽車に乗り込み、再び少年院へ戻ります。その表情は虚ろで悲しみに包まれたものでした。
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