ダゲール街の人々の紹介:1975年フランス映画。パリ14区、モンパルナスの一角にあるダゲール通り。銀板写真(ダゲレオタイプ)の発明者の名をつけたこの庶民的な通りに映画監督アニエス・ヴァルダは事務所兼住居を構えていた。この映画はその通りとそこにある肉屋、香水店など様々な商店の狭い店内にカメラを置き、庶民の暮らしを点描する。2019年12月21日に「アニエス・ヴァルダをもっと知るための3本の映画」として、『アニエスによるヴァルダ』、『ラ・ポワント・クールト』と共に日本で劇場初公開される。
監督:アニエス・ヴァルダ 出演者:ダゲール街の人々
映画「ダゲール街の人々」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ダゲール街の人々」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ダゲール街の人々の予告編 動画
映画「ダゲール街の人々」解説
この解説記事には映画「ダゲール街の人々」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ダゲール街の人々のネタバレあらすじ:起・小売店の中の時間
奇術師ミスタグが映画のクレジットを読み上げて映画が始まる。
ダゲール通りの香水店、シャルドン・プリュ(青アザミ)。25年間同じ品ぞろえを守っている店。夫が香水を調合し、妻は常に悲しげな顔で物静かにたたずんでいる。常連客の、アニエス・ヴァルダの娘、ロザリーが店に入ってきて、お好みの容器を選んで香水を入れてもらう。彼女が店を出ると入れ替わりにポマードを求める男性客が入ってくる。
アニエス・ヴァルダによるナレーションは、小売店の中に流れる時間が好きだと言う。そんな時間を感じるために、彼女の近隣半径50メートルの中にある店の中にカメラが入っていく。
ダゲール街の人々のネタバレあらすじ:承・農村の匂い
パン屋さんには入れ替わり立ち代わりお客がやってきてはバゲットや丸パンを買い求めていく。食料品店ではミルクを買いに来た老女が結局缶の脱脂粉乳を買っていく。肉屋さんはお客の好みの大きさに肉を切り秤にかける。その間にいつも来る客の健康を気遣う。金物屋さんはショウウインドウを覆っていた木戸を開き開店準備をする。
ご夫婦でやっている美容院。女性客は向かって左側でパーマをかけてもらい、男性客は右側で散髪をしてもらう。壁時計や置時計の並ぶ時計店には老人が修理してほしい時計を持ち込む。アコーディオン屋からアコーディオンの音が聞こえる。仕立屋やクリーニング店や自動車教習所もこの界隈にはある。
彼らの来歴のインタビュー。皆、地方で生まれてパリに移り住んできた人だ。食料品店の主人はチュニジアから来た人だった。パリなのに彼らの故郷の農村の匂いがしてくる。
ダゲール街の人々のネタバレあらすじ:転・夢について
ある夜、冒頭で登場したミスタグがダゲール通りのカフェの中で奇術ショーをする。街の人たちが皆集まってくる。昼間の彼らの生活とショーとが交互に映し出されていく。
驚くべき奇術。夢のようなショー。そして、ナレーションの声は「貴方はどんな夢をみますか?」という問いを投げかける。住民たちは彼らの見た夢についてのインタビューに答える。
ダゲール街の人々の結末:監督の署名
すっかり夕暮れの香水店の店先に店主夫人がいる。夫は「毎日太陽が沈む前の時間、妻は外に行きたがるのです。出かけたいわけじゃない、ただ店の外側に出たがる。」と言う。
ミスタグのショーも終わりに近づく。彼は全員を催眠術にかけますと言う。あたかもミスタグの顔を見つめているかのように、住人たちの各家庭、それぞれの店の人たちの肖像が一組ずつ画面に映し出されていく。
日中、香水店の夫婦がバゲットを買って帰ってくる。彼らが自分の店に入った時、「監督として署名しよう、ダゲール街のアニエス」というナレーションが入る。最後に「カット」という声と共に映画は終わる。
以上、映画「ダゲール街の人々」のあらすじと結末でした。
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