大学の若大将の紹介:1961年日本映画。加山雄三の代名詞「若大将シリーズ」の第1作です。すき焼き屋の御曹司である大学生で水泳部の若大将が、恋に友情に青春にと奮闘します。
監督:杉江敏男 出演者:加山雄三(田沼雄一(若大将))、星由里子(中里澄子)、田中邦衛(石山新次郎(青大将))、有島一郎(田沼久太郎)、飯田蝶子(田沼りき)ほか
映画「大学の若大将」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大学の若大将」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「大学の若大将」解説
この解説記事には映画「大学の若大将」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大学の若大将のネタバレあらすじ:起
京南大学法学部政治学科に通う大学生の田沼雄一、通称「若大将」(加山雄三)は、明治時代から続く老舗のすき焼き屋「田能久」の御曹司で、スポーツ万能な彼は学校では水泳部のエースとして活躍しています。若大将はおっとりとした性格の持ち主ですが、時には授業中に早飯を食べたりするなど豪快な面も持ち合わせています。若大将は頑固者の父・久太郎(有島一郎)とは日頃から折り合いが悪く、しかも最近はライバルのステーキハウス「黒馬車」が勢いづいているので久太郎はイライラしていました。
大学の若大将のネタバレあらすじ:承
そんな父子の間を取り持つのは、いつも若大将の味方になってくれる祖母のりき(飯田蝶子)の役目でした。ある日、若大将は水泳部主催のパーティーに参加、同級生の団野京子(団令子)や北川はるみ(北あけみ)と踊りに興じていました。それを見ていた石山製菓のキャンデーガール、中里澄子(星由里子)は面白くない様子です。その夜、若大将はりきの計らいで店から肉を持ち出し、部員たちに奢っていたのがバレてしまい、久太郎から勘当を言い渡されてしまいます。ちょうど大学も夏休みということもあり、若大将は水泳部の合宿までの間、芦ノ湖の貸しボートハウスで住み込みでアルバイトを始めます。
大学の若大将のネタバレあらすじ:転
若大将の親友で水泳部マネージャーの多湖(江原達怡)はアルバイトでデパート会社社長の野村(上原謙)一家の別荘の管理人をしていました。澄子も夏季出店の出張でビーチハウスに来ており、はるみも湖畔ホテルで歌っていました。若大将と澄子は仲良くしていましたが、若大将のかねてからのライバルで、石山製菓社長のドラ息子「青大将」こと石山新次郎(田中邦衛)も澄子に好意を寄せており、澄子をヨットに誘って強引に自分のものにしようとしますが、若大将が駆け付けて彼女を助けます。若大将はこの時、自分が本当に好きなのは澄子だと気付きます。
大学の若大将の結末
ある晴れた日、若大将は転覆したボートから野村社長の父子を救助します。若大将はお礼として、野村社長から娘の千枝子(藤山陽子)との縁談を持ち掛けられます。多湖が千枝子に想いを寄せていることを知った若大将は見合いの場に多湖を連れて行き、この人こそ千枝子に相応しいと二人の仲を取り持ちます。その様子を知った澄子は誤解のあまり自棄になって青大将の誘いに乗りドライブに出掛けますが、若大将の出る水泳大会へ応援に行こうとしたりきをはねてしまいます。知らせを受けた若大将は輸血をしてりきの命を救い、澄子の誤解を解くと、青大将の車で水泳大会の会場のプールへ戻ります。そして若大将は100mリレーに参加、澄子の声援を受けて見事優勝を果たしました。
「大学の若大将」感想・レビュー
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加山雄三の”若大将シリーズ”は、加山雄三をスポーツ万能で、歌もうまいし、きっぷもよくて、女の子にもモテモテで、人に頼まれたらイヤとは言えないという大学生に仕立て、当時流行のスポーツや若者の風俗をいち早く取り入りて、大ヒットを記録した東宝の人気シリーズで、加山雄三の主演作として、1961年から1981年の間に計17本が製作されている。
明るく面倒見のいい性格から”若大将”と渾名される、すきやき屋の老舗・田能久の息子で京南大学の大学生・田沼雄一。
彼が水泳部をはじめ拳闘部、マラソン部など毎回、所属する部を変えて、あらゆるスポーツにチャレンジし、途中で美人OLの星由里子扮する澄子をめぐって、ライバルの田中邦衛扮する、石山製菓のドラ息子の”青大将”こと石山新次郎と対決するが、最後は愛とスポーツの両方に勝利するというのが、基本パターンなんですね。
このルーティンこそが、若大将映画の楽しみだし、個性豊かなレギュラー陣によるアンサンブルの楽しさこそ、娯楽映画のシリーズの良さでもあるんですね。
若大将の屈託のなさは、1960年代の日本の若者の憧れの象徴ともなっていて、同時に「そんな夢みたいな青春なんてなかった」という現実からの格好の逃避場所として、ひたすら明るく楽しい映画になっていたのだと思う。
そして、若大将には当時、世相を賑わせた安保もドラッグもセックスも無縁の世界なんですね。
もちろん、東宝映画だから明るく健全にをモットーに、登場人物たちはみんな裕福だし、そのリアリティのなさが、コメディとしても青春映画としても理想的な空間を作っていたのだと思う。そして、第12作目の「フレッシュマン若大将」以降は、加山雄三の年齢にあわせて、若大将がサラリーマンに設定を変えて活躍し、マドンナ役も星由里子から酒井和歌子にバトンタッチしている。
その若大将シリーズの記念すべき第1作目の作品が「大学の若大将」だ。
京南大学水泳部のエースの田沼雄一は、すきやき屋の老舗・田能久の跡取り息子で、父・久太郎(有島一郎)と祖母りき(飯田蝶子)と暮らしている。青大将は、美人OLの澄子に首ったけだが、彼女は若大将を愛している。
若大将の縁談話で澄子との仲は険悪になり、結局、最後には誤解が解けて元気になった若大将は、大学の対抗戦が始まっているプール会場に駆けつけ、見事、優勝するという、若大将シリーズの”黄金律”が、この第1作目ですでに完成されている。脚本家の笠原良三と田波靖男は、加山雄三の実生活でのエピソードを若大将のキャラクター作りに取り入れ、日本映画で最も爽やかでカッコいいヒーロー、田沼雄一が誕生したのだ。
昔の二枚目の大スター・上原謙の息子で、歌もこなし、スポーツも万能という、当時の東宝の大型新人・加山雄三が、周囲の期待に応えて、見事に輝くようなスターぶりを発揮しているんですね。
最後のMMKっていうセリフ、Daigoかよっ!と思わず心の中で突っ込みましたw
時代の先駆者がいたんですね。