ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣の紹介:2016年イギリス,アメリカ映画。バレエ界に現れた若き才能セルゲイ・ポルーニン。破天荒な彼の行動は常に世間を騒がす。しかし彼にはたった一つの願いがあった。英国ロイヤルバレエ団で名声を誇るも、たった数年で退団してしまったバレエ界の異端児セルゲイ・ポルーニンを追うドキュメンタリー映画。
監督スティーヴン・カンター 出演:セルゲイ・ポルーニン
映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」の予告編 動画
映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」解説
この解説記事には映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」のネタバレあらすじ:起・小さな町から
セルゲイ・ポルーニンが生まれたのはウクライナ南部のけして裕福とは言えない町。生まれたばかりの彼の関節は柔らかく看護師も驚くほど。幼少期は体操でその才能をみせ、体操かバレエか、どちらにするか問われた時、母親はバレエの方を選んだ。彼女は息子の未来に希望を抱いていた。父親も彼が発表会で即興で踊るのを見るのが好きだった。やがて彼は首都キエフのバレエ学校に入る。父親と祖母は学費の工面のために外国へ出稼ぎに行った。そこでも彼はすぐにトップになり、母親はこのままこの学校で習わせるのではなく、外国に行かせなくてはと、英国ロイヤルバレエ団の学校でオーディションを試みることにした。セルゲイは歓迎して迎え入れられたが、母親はビザがなく不法滞在で息子のキャリアに傷はつけまいと、セルゲイ一人を置いてウクライナへ戻った。
「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」のネタバレあらすじ:承・才能と孤独
セルゲイは自分がバレエを踊ることで、離れ離れになった家族をいつかまた一つにしようと、人の二倍練習に励んだ。友達もでき、共にはしゃぐこともあった。しかし、その頃、両親は離婚してしまった。誰にもそれを話すことはなかったが、彼はそれから数年泣けなかった。彼の才能を見抜いていたバレエ団は、一年目はソロの演目を、二年目はプリンシパルの演目を教え、19歳になった時、英国ロイヤルバレエ団で最年少のプリンシパルダンサーになった。一方、セルゲイは、目標を見失った。彼は自分がプリンシパルである間、両親を一度も舞台へ招待しなかった。薬物使用、鬱、遅刻等、彼は問題児の一面もあった。そして22歳の時、彼はバレエ団を辞めた。それはニュースにもなった。
「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」のネタバレあらすじ:転・新天地を求めて
セルゲイは、アメリカのバレエ団で踊る事を望んだが、彼の問題行動や、退団騒動でバレエ団には入団はできなかった。そこで彼はロシアのバレエのテレビ番組で売り込みを一からやり直す事にした。晴れてゼレンスキーに招かれモスクワのバレエ団に入ることになった。そこで二年間、クラシックからコンテンポラリーまでたくさんの演目を踊った。しかしはじめは刺激だったそれも二年で行き詰まってしまった彼は、引退を決意し、ロイヤルバレエ学校からの友人で今は振付をやっているジェイドに、引退をするから最後の踊りの振付をして欲しいと頼んだ。
「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」の結末:ラストダンスを終えて
Take Me to Churchという曲で、セルゲイは最後の踊りを踊った。撮影中は一切喋らすほとんど泣いていた、バレエと捨てるのは簡単な事だと思っていたと彼は語る。周りの人間は彼にバレエを続けることを望み、それがプレッシャーにもなっていた。二か月後、最後の踊りがyoutubeで公開されるとあっという間に話題になり、ダンサーや見る者に刺激を与えた。そしてセルゲイもまたそのことに元気をもらった。彼は再び舞台で踊るようになり、初めて両親と祖母を招待した。彼の未来にすべて捧げた家族がここに再び集まった。両親に挟まれ写真を撮るセルゲイ。それはかつて体操をしていた頃、体育館で撮った家族写真と似ていた。
以上、映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」のあらすじと結末でした。
「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」のレビュー・考察:前進、停滞、そして前進
天才であるが故の孤独、人には吐露しようもないうっぷんや、プレッシャー、そんなものがプリンシパル時代にはあったのだろう、それは贅沢な悩みだろうか。セルゲイが繰り返すのはバレエと家族の事が主で、友人についてはバレエ学校時代に関してしか触れられない。何のために努力し、成功を掴もうとしたのか。家族のため。おそらくそれに尽きるだろう。いっそ無欲で純粋過ぎるが故の行き詰まりにも思える。一度彼はバレエを捨てようとする。本人もそれが簡単だろうと思ったと語っている。けれど捨てられなかったのは、それが母親や家族に支えられて歩んできた道だからではないだろうか。ロシアのバレエ団で家族を招いた時のポルーニンの笑顔と、在りし日の体育館で撮った少年ポルーニンの笑顔はとても良く似ている。
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