伊達騒動 風雲六十二万石の紹介:1959年日本映画。寛文三年春、酒井雅楽頭の屋敷で仙台藩国家老伊達安芸を惨殺し自らもその場で殺された仙台藩奉行原田甲斐。歌舞伎等では悪人とされる原田甲斐はこの作品では主君への忠義と藩運営との板挟みで苦しむ誠実な人物。演じるのは「右門捕物帖」シリーズ等の大友柳太朗。
監督:佐伯清 出演者:大友柳太朗(原田甲斐)、木村功(伊達綱宗)、薄田研二(伊達安芸)、大河内傳次郎(伊達兵部)、山形勲(酒井雅楽頭)ほか
映画「伊達騒動 風雲六十二万石」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「伊達騒動 風雲六十二万石」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「伊達騒動 風雲六十二万石」解説
この解説記事には映画「伊達騒動 風雲六十二万石」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
伊達騒動 風雲六十二万石のネタバレあらすじ:新藩主
仙台藩主伊達忠宗が亡くなり、江戸にいる世継ぎの綱宗が新藩主となる。しかし、報告に来た国許の老中伊達安芸が上屋敷に到着した時も彼は吉原にいた。妾腹ゆえに兄の死後も15歳まで世継ぎとして認められなかった綱宗はひがみっぽくなり酒色で憂さを晴らす癖がついていた。新藩主を祝う宴席では安芸や叔父の伊達兵部に対して癇癪を起し、老臣伊佐半左衛門の額に盃を投げつける。そんな彼も奉行の原田甲斐だけには心を開き宴席での不始末を詫びる。
伊達騒動 風雲六十二万石のネタバレあらすじ:伊佐の手討
綱宗は吉原の花魁高尾太夫に御執心だが、彼女をめぐって旗本島田重三郎と対立する。ある夜、島田の一味が綱宗の籠を襲い、その時に綱宗が非人に傷を負わせたとして島田が屋敷にゆすりに来る。ことを荒立てずに金で解決した甲斐を批判する者もあった。
とかく素行の評判の悪い綱宗への懲罰として江戸城掘割工事の大事業が仙台藩に命じられ、甲斐は難工事の指揮に苦心する。だが、綱宗の高尾太夫への思いは募り、とうとう太夫を身請けすると言い出す。綱宗の愚かさを咎める伊佐に怒り、綱宗は手討にしてしまう。
伊達騒動 風雲六十二万石のネタバレあらすじ:高尾太夫の死
もはや甲斐は綱宗による太夫の身請けを許すしかないと考える。しかし、その資金は藩祖正宗が遺した軍資金に頼る他ない。藩祖の軍資金に手をつけることは藩士たちの反発をまねいた。しかも高尾は自分が好きなのは島田であり、身請けされるなら命を絶つと甲斐に言う。それでも綱宗のために甲斐は身請けを断行する。しかし結局自分になびかない高尾を綱宗は屋形船の上で斬ってしまう。
伊達騒動 風雲六十二万石のネタバレあらすじ:綱宗隠居
甲斐と兵部は相談の上、ついに綱宗を隠居させて幼君亀千代に替えることを決断。甲斐は主君への忠義を尽くしてきたが、藩の維持を優先しなければならない時が来たのだ。家臣たちが自分を隠居させようとしていることを知った綱宗は国許から江戸に来た白河主殿を斬り、甲斐に罵声を浴びせるが、甲斐は「何人手討にするつもりか」と主君を諫めて縛ってしまう。
幕府は綱宗の隠居を認めたが、伊達兵部が亀千代の後見人になったことに国許の家臣たちは不満をもつ。姻戚である老中酒井雅楽頭の権勢を笠に着た兵部が甲斐と結託して藩を横取りしようとしていると彼らは邪推していた。藩のために苦心を続けながら、家中の武士に命を狙われることすらある甲斐。彼の唯一の慰めは故伊佐半左衛門の死んだ息子の妻である織恵の屋敷で過ごす時間だった。
伊達騒動 風雲六十二万石の結末:六十二万石を守る
掘割工事は完成したが、藩の財政は逼迫している。甲斐と兵部は相談し家臣の俸禄を一割下げることにする。だが、これによって国許での甲斐への不満はいっそう募る。伊達安芸は藩の動揺を抑えるために、幕府に甲斐を訴える訴状を出し、裁判のために江戸におもむく。
内紛によって藩そのものが取りつぶされることを恐れる甲斐は裁判の前夜、雅楽頭と兵部に、自分が安芸を斬り問題を私怨による二人の争いとして処理させる決意を語る。翌日、ちょうど国許から江戸に来た息子の原田帯刀を前に織恵の鼓で舞った後に、甲斐は裁判の行われる雅楽頭の屋敷に向かう。
幕閣が評定を続ける。別室で甲斐は、何の恨みもない安芸を斬ることにためらいを感じたが、意を決し背中から斬りつけて殺す。他の武士たちを斬って甲斐は幕閣たちのいる部屋に入り、これは安芸と自分の私闘であると主張する。「乱心者、仙台六十二万国を傷つけるな」と雅楽頭が叫ぶのを聞き藩が救われたことを確信した甲斐は、彼に突き出された槍に自分から刺さり命を落とす。
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