国家が破産する日の紹介:2018年韓国映画。残された時間は7日間――。1997年に実際に韓国を襲った通貨危機の裏側を、危機を回避しようとする韓国銀行の通貨政策チーム長・危機を利用して一儲けを目論む金融コンサルタント・政府の言うことを何の疑いもなく信じる町工場の経営者という立場の異なる三人の視点から描いた社会派エンターテイメント映画です。
監督:チェ・グクヒ 出演者:キム・ヘス(ハン・シヒョン)、ユ・アイン(ユン・ジョンハク)、ホ・ジュノ(ガプス)、チョ・ウジン(パク・デヨン)、ヴァンサン・カッセル(IMF専務理事)、クォン・ヘヒョ、キム・ミンサン、オム・ヒョソプ、キム・ホンパ、ほか
映画「国家が破産する日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「国家が破産する日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
国家が破産する日の予告編 動画
映画「国家が破産する日」解説
この解説記事には映画「国家が破産する日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
国家が破産する日のネタバレあらすじ:起
1996年、OECD(経済協力開発機構)に加盟して先進国の仲間入りを果たした韓国。経済は右肩上がりの成長を続け、国民の約85%以上が自らを中間層と自覚していました。しかし、そんな好景気も長くは続きませんでした。
1997年11月。韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョン(キム・ヘス)は、アメリカの投資家たちが韓国から手を引き始めたことなどから、近いうちに韓国は通貨危機に見舞われると予測しました。しかし、政府の対応は遅れ、10日後にしてようやく上司から呼び出された時には、韓国の国家破産まで残された時間はわずか7日間に迫っていました。
急遽対策チームが招集され、シヒョンは事実を国民に公表すべきだと主張しますが、財務局次官のパク・デヨン(チョ・ウジン)は混乱を招くだけだとして反対。結局、国家の危機の事実も対策の内容も国民に公表されないことになりました。
国家の危機の事実を知らない一般市民のひとりであり、シヒョンの兄である食器工場の経営者ガプス(ホ・ジュノ)は、大手百貨店ミドパからの大量発注を約束手形で受けてしまいます。それは、万が一百貨店が倒産した時には代金を回収できず、原材料の下請け業者に払う代金のあてがなくなる危険性をもはらんでいました。
ノンバンク「高麗総合金融」に勤める金融コンサルタントのユン・ジョンハク(ユ・アイン)は、ラジオで多くの一般庶民が生活の困窮ぶりを訴えているのを聴いたことから、独自に韓国の危機を察知し、イチかバチかの大博打を打つべく会社を辞めて独立しました。
そしてユンはノンバンク時代の顧客を集め、独自に分析した金融危機の状況を説明して投資話を持ちかけました。ほとんどの顧客が非現実だとして退席するなか、二人ほどの顧客がユンを信用して投資を申し出ました。
国家が破産する日のネタバレあらすじ:承
11月18日。シヒョンら通貨政策チームは対策に奔走していましたが、明るみになっていくのは絶望的なまでに杜撰な企業や銀行、銀行監督局の腐敗ぶりでした。その一方でデヨンは、有力財閥の子息には密かに国家危機の情報を流しつつ、国民からの対応に追われる職員には徹底して情報の隠蔽を指示しました。
その頃、株と通貨ウォンが暴落すると予測したユンはドルを買い漁っていました。
11月19日、ミドパ百貨店が倒産寸前という報道が流れ、数多くの人々が詰めかけていました。ガプスもまたその一人でした。資金繰りに困ったガプスは苦渋の決断の末にマンションを売ることにしましたが、不動産の下落により思ったよりも安値で手放さなければなりませんでした。
その頃から、韓国国内では自殺する者たちが後を絶たなくなっていきました。
国家が破産する日のネタバレあらすじ:転
デヨンは国際通貨基金(IMF)に支援を求めるべきだと提案しますが、これは引き換えに国家の主導権をIMFに握られるということでした。シヒョンらは反対しますが、デヨンはシヒョンは女性であるから冷静な判断ができないと偏見を露にし、IMFとの連携に慎重な経済主席を交代させてまでもIMFとの交渉をごり押しし、専務理事(ヴァンサン・カッセル)との交渉までセッティングしてしまいます。
デヨンの狙いは、自分たち特権階級や富裕層にとって都合の良い社会を創ることでした。そんな政府の動きはユンにとって既に織り込み済みでした。
11月20日、政府側とIMFとの第一回協議は非公開のまま執り行われました。IMF側の出した条件は貧しい中小企業にとっては非常に痛みを伴うものであり、シヒョンにとっては「IMFの設立目的に反している」として受け入れがたいものでした。
そんな中、シヒョンはIMFの一団にアメリカの財務次官が交じっていることに気付き、経済主席に協議を中止するよう訴えますが、デヨンの言いなりである経済主席は聞き入れてくれませんでした。シヒョンはデヨンに「あなたはどこの国の人間?」と憤りを露にしました。
シヒョンはIMFのしていることが、貧しいものは更に貧しく、富めるものは更に富むという超格差社会の実現にあるとし、マスコミを通じて世間に訴えようとしましたが、その記事すらも握り潰されてしまいました。そして遂に政府はIMFの要求に屈して支援を受けることを表明、これにより韓国中の多くの会社が倒産、従業員は次々と解雇や早期退職に追いやられ、自殺者が後を絶たない事態へと陥っていきました。
工場の経営が行き詰まったガプスは自殺を考えますが、残された子供たちのことを思って踏みとどまりました。ガプスは妹のシヒョンに、金を貸してくれる銀行を探してほしいと助けを求め、シヒョンは誰もいない部屋でひとり涙を流していました。
一方、危機に乗じて大成功を収めたユンは、笑いを堪えることができませんでした。
国家が破産する日の結末
それから20年後。人生の成功者となったユンは優雅な生活を送り、IMFとの交渉を主導したデヨンチョンイル銀行のCEOとして天下りしていました。
何とか工場を立て直したガプスは同じ工場で働く長男に「優しい人は信じるな」と言って聞かせていました。
シヒョンは韓国銀行を辞めて独立、金融コンサルタントに転職していました。ある日、シヒョンの元に政府の企画財政部の者が訪れ、再び韓国に忍び寄ろうとしている新たな危機の対策のためにシヒョンの力を願い出ました。
依頼を受けたシヒョンは「危機を回避するには絶えず疑い、考えることが必要。目を見開いて世の中を見ること。二度も負けたくない」と自分自身にも言い聞かせるように語りかけました。
以上、映画「国家が破産する日」のあらすじと結末でした。
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