デンデラの紹介:2011年日本映画。佐藤友哉の同名小説を映画化した作品。村の掟により山に捨てられた老婆達が作った共同体デンデラ。熊や自然の脅威に晒されながら生き延びるためたくましく戦い続ける老婆達の姿をスリリングに描いた人間ドラマです。監督は「楢山節考」などで知られる名監督今村昌平の息子天願大介が務めました。浅丘ルリ子、倍賞美津子、草笛光子らベテラン女優の鬼気迫る演技が光ります。
監督:天願大介 出演者:浅丘ルリ子(斎藤カユ)、赤座美代子(黒井クラ)、 白川和子(石塚ホノ)、角替和枝(桂川マクラ)、山本陽子(浅見ヒカリ)、倍賞美津子(椎名マサリ)、草笛光子(三ツ星メイ)、ほか
映画「デンデラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「デンデラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
デンデラの予告編 動画
映画「デンデラ」解説
この解説記事には映画「デンデラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
デンデラのネタバレあらすじ:起
お山参りという名の姥捨ての風習が残る、寒さ厳しき山村。今年70歳となった斎藤カユにもお山参りする日がやってきます。息子はカユを背負って山に入ると、断腸の思いで母を墓場で降ろし、足早に去っていきました。捨てられたカユは極楽浄土を願いながら雪の中に佇み続けます。
夜になり、寒さは一層厳しくなっていき、ついにカユは力尽きて倒れ込んでしまいます。しかし倒れるカユを助けた二人の老婆がいました。目覚めるとカユは藁の家の中にいました。そこにはお山参りで捨てられたはずの老婆達が暮らす共同体デンデラが広がっていました。村の山を越えたところにあるデンデラでは老婆達が自給自足しながら助け合って暮らしていました。
カユは先に死んだと思い込んでいた知人らに再会、中でも自分より遥か年上の三ツ星メイが生きていることには心底驚かされます。そしてこのメイこそが共同体を築き上げたデンデラの長でした。30年前にお山に捨てられた後、自力で生き延びたメイは、雪の中でも寒さを凌げる藁の家を作り、捨てられた老婆達を助け出して老婆だけの村を作ることに成功したのでした。
デンデラのネタバレあらすじ:承
メイは自分達を捨てた男達への復讐を遂げるため、村を襲撃することを計画しており、デンデラの老婆達は毎日厳しい稽古に励んでいました。メイからデンデラでもう一回生きてみてはどうかと諭されるカユでしたが、極楽浄土へ行くことが幸せだと考えるメイは、生に執着する老婆達に共感することができません。身体の弱かった幼馴染の黒井クラと再会したカユは、クラから自分が正しいと思うことを選べばいいと告げられます。
村を襲撃する日が5日後に迫っていました。メイを筆頭に老婆達は団結を強めていきますが、一人だけメイの考えに異を唱える老婆がいました。ある事情から村八分に遭い、家族を皆殺しされた上に男達の慰み者にされてきた椎名マサリです。平和主義者のマサリはデンデラを豊かにすることが村への一番の敵討ちになるはずだと話し、戦いが無意味であることを訴えます。
カユもマサリの考えに共感しますが、散々働かされた挙句、捨てられた老婆達が村を憎悪する気持ちも分かるため、苦悩します。カユは幼い頃、山から逃げてきた老婆が村の男達に殴りいたぶられる光景を目にした日のことを思い出していました。村に舞い戻ってきた老婆は殺される運命にあったのです。
デンデラのネタバレあらすじ:転
その夜、デンデラは腹を空かせた子連れのヒグマに襲われ、沢山の老婆が食い殺されました。クラも足を引きちぎられ、重傷を負ってしまいます。一度人間の味を覚えた熊は、必ずまたデンデラに戻ってくると一人の老婆が呟きました。さらにメイは、重傷を負ったクラをおとりにして熊をおびき寄せようと言い出します。メイは激しく反発しますが、クラはデンデラのためになるならばと、構わないと語り、自らおとりになる道を選びます。
団結した老婆達は、再び戻ってきた親熊に奇襲をかけますが、凶暴な熊は次々と老婆達を殺戮、クラも命を落としました。クラを殺され、怒りを爆発させたカユは、果敢にも熊に立ち向かい、槍で片目を潰して撃退します。さらに桂川マクラが襲い掛かってきた子熊を殺すことに成功しました。カユはクラの亡骸に向かって本当はお山で死ぬのが怖かったと打ち明けます。カユはメイらとともに村を襲撃する決意を固めます。
そして村を襲撃する日がやってきました。しかし道中で、今度は雪崩が老婆達に襲い掛かってきます。カユは雪崩に飲み込まれたメイを雪の中から助け出しますが、メイはデンデラという言葉を残して静かに息を引き取りました。
デンデラの結末
メイを始め、雪崩により多くの仲間達を失った老婆達は、デンデラに引き揚げてきました。マサリは力を落とす老婆達に、力を合わせてデンデラを立て直そうと語り掛けます。しかしその夜、デンデラは子熊を殺され復讐心に燃える親熊に再び襲撃されます。マサリがおとりとなり、熊を小屋におびき寄せて閉じ込めた上で焼き殺そうとしますが、熊は小屋から脱出して山へと逃げていってしまいました。
マサリまでも亡くした老婆達は、すっかり戦う気を失ってしまいますが、カユは熊を殺しに一人山へ入ると言い出します。カユは熊を殺した後、デンデラを離れ、安心して暮らせる他の場所を探す決意を固めていました。カユを心配した浅見ヒカリも後をついてきました。二人が山の中で熊を見つけると、気が付いた熊も様子をうかがいながら二人の後を追ってきます。しかしやがて雪に足を取られたヒカリが熊に捕まり死亡、一人になったカユは熊を誘導しながら必死で雪山を駆け下り、村へと辿り着きます。
カユを追いかけてきた熊は、そこで遭遇した村人達を次々と殺戮してしまいました。皮肉にもカユは熊を使って村人達に復讐を遂げることに成功したのでした。カユは熊に向かって、お前と私どっちが勝ったと思う?と問いかけるのでした。
以上、映画「デンデラ」のあらすじと結末でした。
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