独立愚連隊西への紹介:1960年日本映画。消えた軍旗をめぐって、独立愚連隊が西へ東へ奔走します。比較的コメディタッチで描かれる今作ですが、「軍旗」という名のボロ布一枚に敵味方が争奪戦を繰り広げる様には、しっかりと戦争の愚かさを訴える戦争批判の精神が伺えます。
監督:岡本喜八 出演者:左文字少尉(加山雄三)、戸川軍曹(佐藤允)、大江大尉(平田明彦)、金山中尉(中丸忠雄)、八路軍隊長(フランキー堺)ほか
映画「独立愚連隊西へ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「独立愚連隊西へ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「独立愚連隊西へ」解説
この解説記事には映画「独立愚連隊西へ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
独立愚連隊西へのネタバレあらすじ:起
舞台は中国北部。ある日本軍の一個小隊が敵の攻撃を受け、全滅。軍旗の行方が分からなくなってしまいました。その知らせを聞いた大江大尉は、元連隊旗手であったプライドも手伝い、歩兵連隊の象徴である軍旗を敵の手に渡してはならぬと、軍旗捜索隊を結成し、可及的速やかに軍旗を見つけ出すよう命じるのでした。一方で、この知らせは敵軍にも伝わります。日本軍の士気を下げるため、敵軍も早速軍旗奪略に乗り出しました。さっさと送り出される第一次軍旗捜索隊を見送りながら、全滅地点までの道案内を断った便利屋・早川が「どうせ連中はイチコロ」だとぼやきます。傍らにいる関曹長に後手はあるのかと尋ねると、もうすでに代わりの捜索隊を用意しているとのこと。貧乏くじを引いたなと笑う早川に、貧乏くじならとっくに引いている、と部隊のあらましを伝えます。なんでもその部隊は、戦死公報(死亡報告書)が出てからひょっこりと帰ってきた連中たちで、軍も対処に困って、危ない所ばかりに転属させているがびくともしない、もっぱら噂の左文字小隊なのでした。
独立愚連隊西へのネタバレあらすじ:承
一方、左文字小隊は霧深い荒野を走っています。左文字少尉と戸川軍曹を先頭に、八路軍の女性食料輸送小隊を「めしだ!女だ!」と追っているのでした。ところが、霧が晴れると追っていると思われた左文字小隊は、四方八方を八路軍に囲まれながら走っていたのです。しかし、八路軍も下手に発砲すると味方に当たってしまうため、追うことしかできません。一か八かで強行突破に乗り出す左文字小隊。ペースをあげて食料と女に突っ込みます。が、しまいには敵も味方も疲れて全員地面にへたりこんでしまいました。しょうがないので軍使を出し、話し合いの場を設けることにした両軍。軽い雑談も交えながら、今回はお互いに引こうではないかとの結論に至ります。しかし、今度あったら手加減はしないとも。八路軍と別れ、左文字小隊は進みます。川向こうの友軍地へ向かいますが、敵襲と勘違いした味方に発砲され、やむなく川から引き返します。この騒動で神谷一等兵を失い、さらにふんどし一丁になってしまった一行は、行く末不安と見えましたが、その夜、自分たちも味方のトラックを襲い、武器から服まで悠々とかっさらっていくのでした。その後、大江大尉のいる友軍地に着いた左文字小隊ですが、武器強奪、被服強奪等の罪によって逮捕されてしまいます。その頃、死んだと思われた神谷一等兵はなんとか生きており、途中出会った早川の知恵によって参謀中佐になりすまし、立派な軍服を着込んで大江大尉のいる地に赴きます。そこで神谷は権力を笠に着て、左文字少隊全員を解放し、新たに赤チン(小峰衛生兵)と関曹長を引き連れ、やや強引に軍旗捜索隊として出発させるのでした。
独立愚連隊西へのネタバレあらすじ:転
左文字少隊についてきた関曹長は二階級特進のため、軍旗捜索に意欲を燃やしていますが、左文字少尉は軍旗よりも連隊旗手の救命を第一目標に行動します。途中、自称元日本陸軍中尉率いる中国軍の攻撃を返り討ちにし、おまけにその金山中尉と元日本軍看護婦まで仲間に引き入れ、猛進します。どこまで味方なのか分からない金山中尉を警戒しつつも、一行は進みます。長い道のりの末、とうとう全滅地点に辿り着き、崖下の洞窟に隠れていた連隊旗手を見つけたました。少尉と赤チンで降りていきます。旗手は軍旗を少尉に手渡すなり自決を謀ろうとしました。連隊は全滅したので、自分は上にあわす顔がないというのです。幸い、自決は失敗に終わりましたが、左文字少尉は形式上の「戦死」を宣言し、穀物の種を餞別に渡すのでした。
独立愚連隊西への結末
軍旗のみを携え、隊に戻る少尉と赤チン。関曹長は目の色を変えて軍旗に飛びつきます。一方、金山中尉もなにやら怪しい顔つき。その夜、関曹長が勲章欲しさに裏切り、逃亡を謀った途端、中国ゲリラに襲われます。神谷一等兵の機転でなんとか難を逃れますが、ゲリラのどさくさに紛れ、金山中尉は軍旗のはいったズタ袋を持ち逃げします。やはり、八路のスパイだったようです。しかし、ズタ袋に軍旗は入っていませんでした。念には念をと、戸川軍曹の腹に巻き付けてあったのです。軍旗返還のため足を進める一行ですが、始めに会った八路軍が軍旗をいただこうと待ち構えていました。しかし、これまでの左文字少尉の人柄を気に入った金山中尉は、自分の軍に戻りつつ、こいつらは軍旗を焼いてしまったと嘘をつくのでした。無事軍旗を納めた左文字小隊に、大江大尉は礼も言わずに次の転属先を命じます。意気揚々と軍旗を手渡す関曹長を苦々しげに見ながら、左文字小隊は出発。しかし次の瞬間、関曹長は憲兵に取り押さえられてしまいます。なんでも、「やや強引」に出発した際に殴った兵士が、その後間もなく死亡したとのこと。関曹長の左文字小隊へも罰則をとの訴えに、大江大尉は答えるのでした。「やつらは2年前に死んでいる」と。
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