独立愚連隊の紹介:1959年日本映画。岡本喜八が自らのオリジナル脚本を映画化。日中戦争時の中国大陸を舞台に政治的メッセージと無縁な娯楽映画を作り上げ、高い評価を得た。普段は豪胆で男臭い役柄の多い三船敏郎がコメディリリーフとして珍演を見せる。
監督:岡本喜八 出演:佐藤允(荒木)、上原美佐(ヤン小紅)、中丸忠雄(橋本中尉)、上村幸之(大久保見習士官)
映画「独立愚連隊」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「独立愚連隊」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「独立愚連隊」解説
この解説記事には映画「独立愚連隊」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
独立愚連隊のネタバレあらすじ:起
昭和20年が近づき、連合軍との戦いに疲弊した日本軍は中国大陸においても敗色が濃くなってきました。そんな北支戦線で、「独立愚連隊」とあだ名される小隊が国民党軍征伐の任務に就いています。この小哨には軍規を守らないはみ出し者ばかりが集められ、他の隊からも鼻つまみの集団と見なされていました。鼻つまみ小隊だけあって、その任務地はゲリラが出没する危険極まりない山岳地帯。
独立愚連隊のネタバレあらすじ:承
ある日、前線の大隊からその陣地を教えられた精悍な面魂の男が、馬に乗って小隊を目指します。名前は荒木。従軍記者の腕章を巻いています。目的は、見習い士官が中国人女性と心中した事件を記事にするためでした。陣地に着いた彼は早速事件の調査を始めますが、実は荒木は身分を偽っており、本当は同じ陸軍の軍曹。北京の陸軍病院に入院していたのですが、この調査のためにそこを脱走してきたのです。心中したという見習い士官は荒木の弟。その気質を知っている荒木は弟がそんな事件を起こすとは信じられず、思い切ってこの部隊までやってきたのです。
独立愚連隊のネタバレあらすじ:転
やがて、弟がいた部屋からピストルの弾が見つかります。それが乱射されたかのように何発も残っていたことから、荒木の疑惑は深まるのです。おそらく部隊仲間の陰謀だろうと見当はつけますが、戦闘は激しくなり、調査に割く時間も少なくなってきます。その時、心中相手の娘の妹が荒木と会い、弟の書いた書類を手渡します。死んだ娘が弟から預かっていたものでした。それは部隊長にあてた意見具申書で、部隊を統括する橋本中尉の不正を暴いた内容です。やはり心中というのはデタラメで、更迭を恐れた橋本が具申書提出前に弟を殺し、本隊に勝手な報告をしていたというのが真相でした。
独立愚連隊の結末
橋本に復讐を考える荒木ですが、身元がバレてしまい、橋本によって営倉に閉じ込められてしまいます。しかし荒木はそこを何とか脱出、荒木を撃ち、弟の復讐を遂げるのです。もはや軍に居場所のなくなった荒木は思い切って馬賊の仲間入りをし、荒野を馬で去ってゆきます。
この映画「独立愚連隊」は、暗く悲惨な従来の日本の戦争映画に対して、”陽気でアナーキー”な戦争活劇の出現という、日本映画史における金字塔を打ち立てた、岡本喜八監督の代表的なシリーズの第1作目の作品だ。
この作品は、岡本喜八監督の名を、多くの日本映画ファンの間に一躍知らしめた、ウエスタン調の戦争映画で、主演は日本のチャールズ・ブロンソンこと佐藤允だ。
そのギョロリとした目、大きな口。
いかにもひと癖ありそうな風貌で悪役を演じていた彼は、この作品で初主演し、一躍スターダムにのし上がったのです。
日中戦争末期の中国大陸の北支戦線。
追いつめられた日本軍の最前線に、従軍記者の荒木(佐藤允)が、ふらりと現われる。
実は、彼は脱走兵で、最愛の弟が前線で不審な死に方をしたのを知り、従軍記者を装って真相を暴きに来たのだ。
そして、そこに待ち受けていたのは、落ちこぼればかりを集めた「独立愚連隊」と呼ばれる部隊だったのだ——。
荒木は、生前に弟が使っていた部屋の鍵から何発もの銃弾を発見。
ますます、弟の死に陰謀が絡んでいることを確信する。
この作品は、ジャンルとしては戦争ものなのだが、リアリズムは全くと言っていいほどない。
西部劇とハードボイルドな探偵映画をミックスしたような感じで、岡本喜八監督の演出は、コミカルで、時にアクション・シーンの展開に胸のすくような爽快な歯切れの良さを見せて、そこから”戦争の愚劣さ”が鮮やかに浮かび上がってくるのだ。
とにかく、全編を通じて、快調なテンポ、粋なセリフ、逆境でのギャグ。
日本映画にありがちな、じめじめとした情緒とは全く異質な、カラリと乾いたクールな感覚が、この作品独自の特質であり、素晴らしさだと思うのです。
そして、この作品を観て、私の心に刻み込まれたのは、主人公の佐藤允が演じる主人公の、長いものに巻かれず、正義を貫き通す生き方のカッコよさだ。
また、日本映画ファンとしては、三船敏郎、鶴田浩二、雪村いづみらの大物が、意外な役で出演しているのも嬉しくなってきます。