希望の樹の紹介:1976年ソ連映画。旧ソ連のグルジア(現ジョージア) が生んだ世界的巨匠テンギズ・アブラゼの「祈り三部作」の二作目。作家ギオルギ・レオニゼが1962年に発表した短編集に基づく。20世紀初頭、ロシア革命前の農村を四季折々の美しい自然と共に描く群像劇だが、因習によって打ち砕かれる、美しい娘と貧しい青年の純愛がストーリーの中核を成す。
監督:テンギズ・アブラゼ 出演者:リカ・カヴジャラゼ(マリタ)、ソソ・ジャチヴリアニ(ゲディア)、ザザ・コレリシュヴィリ(シェテ)、コテ・ダウシヴィリ(ツィツィコレ)、ソフィコ・チアウレリ(プパラ)、カヒ・カフサゼ(イオラム)、ほか
映画「希望の樹」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「希望の樹」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
希望の樹の予告編 動画
映画「希望の樹」解説
この解説記事には映画「希望の樹」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
希望の樹のネタバレあらすじ:起・太陽のような娘
革命前の東ジョージア、カヘティ地方の村。赤いケシの花の咲く草原で白馬が息絶えようとしていた。村長のツィツィコレは貧しい牧童ゲディアを、毒草を馬に食べさせたと叱る。そこは昔戦争で敵が血を流した場所なので草に毒があると言うのだ。毒草地帯に馬が入らないようにツィツィコレは柵を立てさせるが、アナーキストのイオラムは迷信を批判して堂々と柵を壊していった。子供たちに革命は近いと説き、爆弾を作っていると噂されるイオラムだが、豊満な肉体のナルギザのお色気には降参だった。そしてナルギザには司祭のオフロヒネも言い寄っていた。放浪生活を続ける厚化粧の老女プパラが村にまたやってきて、女たちに昔の恋の自慢話をする。愛国者の知識人であるブンブラは子供たちにジョージアの歴史を教えようとするが、子供たちの関心は薄い。そして夢想家のエリオズは黄金の魚や魔法の石を探し求めていた。
そんな村に母を1年前に亡くしたマリタという娘が父に連れられてやって来た。マリタの祖母と暮らすことになったのだ。太陽のような娘の美しさに男も女もみとれる。
希望の樹のネタバレあらすじ:承・マリタとゲディアの悲恋
マリタは戦争に行かなければならない三人の若者に頼まれて頬にキスしてあげる優しい娘だった。ゲディアもマリタに魅せられ彼女に靴をプレゼントする。二人は恋に落ちた。ところが金持ちのシェテの母親がマリタを息子の嫁にと考える。マリタの父は娘とゲディアが好き合っているのを知っているのでこの縁談にためらうが、村長のツィツィコレは、ゲディアはいい若者だが貧乏だと言って、縁談を強引にまとめてしまう。マリタからシェテと結婚することを教えられたゲディアは逆上してシェテに襲いかかるが別の男に石で頭を叩かれる。
希望の樹のネタバレあらすじ:転・不幸な結婚
マリタとシェテが結婚式を挙げるが、ブンブラは金のために娘が望まぬ男に嫁がされるジョージアという国を嘆く。ゲディアは失踪し、彼の母親は息子の身を案じる。
シェテが旅に出るが、旅立つ前に自分を愛さない妻に不満をぶつける。
希望の樹の結末:悲恋の結末
冬になった。どんな願いもかなえてくれる希望の木を探していたエリオズが凍死体で見つかり、雪の中を馬橇で村へ運ばれる。そのころ村に舞い戻ったゲディアはシェテの家に忍び込みマリタと再会する。だが、抱擁し合う二人をシェテの母が戸の陰から目撃していた。
マリタは村の掟を破ったとして、ツィツィコレたちによって馬の背中に縛りつけて乗せられ村中を引き回される。ほとんどの村人はふしだらな女に陰口をたたくが、ブンブラは悲劇を嘆いて家に籠る。イオラムはツィツィコレを批判して引き回しの人々の前に立ちはだかろうとするが頭を強打されてしまう。ナルギザも体を張って引き回しをやめさせようとするが多勢に無勢だった。この様子に動転したプパラは自分の最愛の恋人が架空の存在であることをつぶやく。そしてゲディアが駆けつけるが何者かによる銃弾で倒れる。マリタも泥まみれになって息絶えた。
かつてのマリタの庭には美しい花が咲いている。そして、エリオズの娘はいつか希望の木が見つかるように祈っていた。
以上、映画「希望の樹」のあらすじと結末でした。
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