家へ帰ろうの紹介:2017年スペイン, アルゼンチン映画。ホロコーストから逃れて戦後アルゼンチンに移り住んだユダヤ人の老人が、70年間音信不通となっていた親友との約束を果たすため、様々な人の助けを借りながら故郷ポーランドへ向かうまでを描いたロードムービー。
監督:パブロ・ソラルス 出演:ゲル・アンヘル・ソラ(アブラハム)、アンヘラ・モリーナ(マリア)、オルガ・ボラズ(ゴーシャ)、ナタリア・ベルベケ(クラウディア)、マルティン・ピロヤンスキー(レオナルド)、ユリア・ベーアホルト(イングリッド)、ほか
映画「家へ帰ろう」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「家へ帰ろう」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「家へ帰ろう」解説
この解説記事には映画「家へ帰ろう」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
家へ帰ろうのネタバレあらすじ:起
アルゼンチンの自宅で大勢の孫たちに囲まれながらもアブラハムは憂鬱だった。長く仕立て屋として働いてきた彼は、年老いて娘たちに財産を譲り渡すと、家は売却されることになり、自身は老人ホームに入れられることになったのだ。おまけに若い時に痛めた右足が悪化して切断を余儀なくされていた。
自宅で過ごす最後の夜、彼は娘3人と使用人を帰すと、最後に仕立てたスーツを手に家を出ると、知人のところへ向かう。過去の経験から口に出すのも嫌悪する祖国”ポーランド”と書かれたメモを見せ、ここに行くため今夜出発する旅程のチケットを手に入れる。
とりあえずマドリード行きの飛行機に乗り込んだアブラハムだったが、到着後、入国審査員が気に食わず渡航目的を言わず所持金もないと言うと、片道チケットしか持っていなかったため、不審がられて別室で聴取を受ける。そこで彼はメモを見せ、70年前に別れたままの友人にスーツを届けに行くのだと話す。
放免されたアブラハムは飛行機で隣り合わせた青年レオの案内で安ホテルに部屋を取り、パリ行きの列車が出るまでの間、体を休めることにするが、寝過ごした彼は列車に乗り損ねてしまう。
家へ帰ろうのネタバレあらすじ:承
その晩、ホテルの女主人マリアに誘われて、彼女がシンガーとして働くバーで久しぶりに楽しい時間を過ごしたアブラハムだったが、部屋に帰ってみると空き巣に入られおり、所持金が全て奪われていた。
マドリードにはケンカ別れしたまま疎遠になっているもう一人の娘クラウディアが住んでいた。彼は頼りたくなかったがマリアに説得されて彼女に会いに行き、謝罪して旅費を都合してもらうと、マリアとレオに見送られてパリ行きの列車に乗り込む。
列車の中で眠り込んだ彼は昔の夢を見る。ホロコーストからなんとか逃れたアブラハムは体中傷だらけになり、収容所で痛めた足を引きずりながらかつて住んでいた家にたどり着いてみると、そこは父が営んでいた仕立て屋で働いていた使用人の家になっていた。その息子ピオトレックは今は自分の家だと言って追い出そうとする父親を殴りつけてまでアブラハムを引き入れ、看病したのだった。
パリに到着した彼は、ワルシャワ行きの列車に乗り換えようとするが、そこで列車がドイツを通ることを知って慌てる。
家へ帰ろうのネタバレあらすじ:転
案内係にメモを見せて”ドイツ”を通らずに”ポーランド”へ行きたいのだと言うが、言葉が通じず、通りがかりの人に通訳してもらうが「飛行機を使えば」と一蹴され、周囲からも嘲笑された彼はその場をあとにする。
そんな彼に一人の女性がユダヤ語で話しかけてくるが、その女性イングリットがドイツ人だと知ると、とたんに彼女を拒絶する。
ほかに方法もなく、アブラハムは仕方なく列車に乗り込むと、再びイングリットが話しかけてくる。ドイツ人に対する嫌悪を露わにする彼にイングリットはドイツは変わったし、過去の責任を全員が背負っているのだと説き、力になりたいと話すが、そんな彼女にアブラハムは乗り換えの駅でドイツの地をどうやったら踏まずに済むか考えろと言う。するとイングリットは、自分の服を並べて敷き、そのうえを列車から駅のベンチまで彼を歩かせる。
彼女の献身に心を開いたアブラハムは、かつてポーランドで家族や親戚らと幸せな時を過ごした時もあったが、父と叔父は目の前で射殺され、幼い妹は10歳以下の子どもでぎゅうぎゅう詰めのトラックに詰め込まれて行ったことを話す。
家へ帰ろうの結末
イングリットと別れワルシャワ行きの列車に乗り込んだアブラハムだったが、周りをドイツ人で囲まれて気分が悪くなり、食堂車でドイツ兵らの幻覚を見て気を失ってしまう。
目が覚めると、そこはワルシャワの病院だった。担当看護師のゴーシャから右足の状態が悪く切断が決まったのだが、一人の医師の反対によって残されることになったのだと告げられる。
退院した彼はゴーシャに頼み、かつて住んでいた町に連れて行ってもらう。道中、ピオトレックと兄弟同然に育ったこと、ホロコーストから命からがら逃げだしてきた自分を彼が介抱してくれたこと、回復したアブラハムはピオトレックから服と親から盗んだ金を渡され、いつか戻ってくることを約束して叔母の住むアルゼンチンへ渡ったことなどを話して聞かせる。
町はすっかり変わっていたが、かつて住んでいた建物はそのまま残っていた。部屋を訪ねるが応答がなく、諦めかけたとき、アブラハムは窓越しに部屋の中でミシンの前に立つ老人と目が合う。
互いがかつての親友であることに気づくと、ゴーシャが見守る中、アブラハムとピオトレックは70年ぶりの再会を果たす。アブラハムが最後に仕立てたスーツを手渡すと、ピオトレックは「家へ帰ろう」と言ってアブラハムを抱き寄せるのだった。
以上、映画「家へ帰ろう」のあらすじと結末でした。
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