映画「カプチーノはお熱いうちに」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
カプチーノはお熱いうちにの紹介：2013年イタリア映画。勝ち気で正義感が強いエレナと粗野でマッチョな男アントニオ。何から何まで合わないはずの二人が、次第に強く惹かれ合っていく様を描いた人間ドラマ。イタリアのアカデミー賞「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」で監督賞、主演女優賞など多くの賞を受賞。
監督：フェルザン・オズペテク 出演者： カシア・スムトゥニアク（エレナ）、フランチェスコ・アルカ（アントニオ）、フィリッポ・シッキターノ（ファビオ）、カロリーナ・クレシェンティーニ（シルヴィア）、:パオラ・ミナッチョーニ（エグレ）ほか
この解説記事には映画「カプチーノはお熱いうちに」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大雨の日、ぎゅうぎゅう詰めのバス停で、お婆ちゃんが移民の女性に足を踏まれたと大騒ぎしています。見かねたエレナ（主人公）が「黙るべきなのはそっちでしょ！差別だわ」とたしなめると、今度は近くにいた男性がエレナに「いい加減にしろ。年寄り相手に」と注意してきます。お婆ちゃんが「誰が年寄りだって！？」と怒ると、その男性は「俺だって移民は嫌いだ」と呟きます。その言葉に呆れたエレナと男性が「つけあがるなよ」「情けない男」と口喧嘩をエスカレートさせ、ついに男性はバスに乗らずに雨の中を傘も差さずに去って行きます。エレナは「カフェ・タランチュラ」でウェイトレスとして働いている25歳。親友のゲイのファビオとシルヴィアも同じカフェで働いています。シルヴィアとファビオはルームシェアをしていますが、ファビオは昨夜シルヴィアが帰らなかったことを気にしています。シルヴィアには1週間前に新しい彼氏ができていたのですが、エレナに聞くまでそのことを知らなかったことにも不満顔です。閉店後、店に来ていたエレナの彼氏ジョルジョはシルヴィアに色目を使います。エレナがジョルジョを連れて家に帰ると、カルメラ叔母さんが突然現れて驚愕します。叔母さんは会う度に人格が変わっている自由人。今まで何度もトラブルを起こしてきたため、エレナの母親はすでに愛想を尽かしています。ファビオはパーティー会場でハンサムでマッチョな男性に釘付けになり、エレナに「あのマッチョは誰？」と聞きます。バス停で口喧嘩をしたあの男でした。「最低な奴よ。移民を差別する自己中心的な男」と答えるエレナ。その直後、その男がシルヴィアの新しい彼氏のアントニオだと知るのでした。車の整備士をしているアントニオが仕事の電話で客のことを口汚く罵っているのが聞こえてしまい、みんなでドン引き。エレナはアントニオに嫌味を言います。エレナとファビオとジョルジョはシルヴィアにアントニオと別れるべきだと忠告しますが、聞き入れてもらえません。ある夜、アントニオがカフェに来ますが、アントニオがジッと見ていたのは、シルヴィアではなくエレナでした。ファビオはエレナを寂れたガソリンスタンドに連れて行き、ここをカフェに改装して二人で経営しようと言ってきます。金銭的に難しいと感じるものの、夢が膨らむ二人。カフェにアントニオが来てシルヴィアに鍵を渡してほしいと頼まれますが、素っ気ない態度をとるエレナ。「俺が嫌いだろ？俺たちは正反対。でも正反対の二人は・・・」と言うアントニオに「言うまでもないわ。そこの下の3行を読んで」と答えるエレナ。しかし、ちゃんと読もうとしないアントニオに「ふざけないで。識字障害なわけ？」と怒ると、アントニオは「そうだ」と言って出て行きます。カフェの常連客である医学生のディアーナから、興味深く医学の話を聞くエレナ。すると、アントニオが店内で居眠りをしていることに気付きます。ハッと動揺しながらもアントニオの席に近付いてそっと見つめていると、アントニオも目を開いて静かにエレナのことを見つめてきます。
エレナの弟は事故で亡くなっていますが、弟の誕生日の夜は弟のことを想って眠れなくなり、母親と叔母さんとみんなで一緒にベッドに入って眠るのでした。アントニオがカフェにビールを飲みに来ます。エレナが注いだビールをエレナの目を見ながら無言で飲み干し、店を出て行くアントニオ。エレナは薬局に行くと言って店を出て、アントニオを追います。アントニオのバイクの後部座席に乗って整備工場に行き、お互いの唇や頬を触れ合いますが、アントニオの同僚達が戻ってきたためエレナはカフェに戻ります。ファビオに「友達の彼に恋したことある？」と相談するエレナ。エレナとアントニオはバイクで海に行きますが、途中で車が飛び出してきて危うく事故を起こしそうになります。アントニオが「何しやがる！くそ！」と車に悪態をつきますが、二人ともケガはなく無事でした。誰もいない青い海で愛を深める二人。その頃、ファビオはジョルジョとシルヴィアをスタンドに連れて来ていました。シルヴィアはボロいスタンドを見て、「不吉なエネルギーを感じる」とカフェ経営を大反対しますが、ジョルジョは「すごくいい」と賛成します。ファビオが図面を取りに行っている間、見つめ合うジョルジョとシルヴィア。その後、エレナもアントニオを連れてスタンドに来ます。二人でスタンド内に入り、未来に想いを馳せるように佇むエレナ。13年後になり、エレナとファビオが経営する「カフェ・ガソリンスタンド」で13年目を祝う盛大なパーティーが行われています。二人のカフェは軌道に乗り、エレナは事業を拡大するためにチェーン店を出す計画を立てていました。しかし、ファビオは仕事に埋没したくないとあまり乗り気ではありません。エレナはアントニオと結婚し、幼い娘と息子がいます。ハンサムで精悍だったアントニオですが、今ではお腹がブヨブヨの上に、共働きなのに家事育児に非協力で浮気までしているハゲオヤジになっていました。一方、エレナは中年になって仕事の成功の自信と美しさが増しており、整備工場に行く以外はぐうたらなアントニオを見て喧嘩が絶えない生活です。ある日、エレナは叔母さんに誘われて、乳癌の検診を受けます。叔母さんと一緒に気楽に受けた検診でしたが、エレナはすでに深刻な状態の乳癌になっていました。医師から告知を受けた帰り道、ひとりで涙を流すエレナ。カフェに母親と叔母さん、アントニオとファビオを呼び、明日から病院で化学療法を開始することを気丈に説明するエレナ。母親は「とにかく治る。大丈夫。私が保証する。二人に逝かれるなんて確率的にあり得ない」と言い、叔母さんは「誰の役にも立たず天涯孤独の私が代わりたい」と呟き、ファビオは深刻な表情でエレナを見つめ続け、アントニオは物に怒りをぶつけながら店を出て行ってしまいます。
次の日、エレナはファビオに付き添われて日帰りの化学療法を受けに行きます。初回は副作用が出ないまま無事に終わりますが、帰宅途中でファビオの方がエレナが心配のあまり嘔吐してしまうのでした。「私の代わりに副作用？」と吹き出すエレナ。エレナはアントニオの浮気相手の美容師の店に行きます。アントニオはいるかと聞くと、美容師はアントニオはいない、朝方に来て一方的に別れを告げられたと言います。「私はあなたから彼を奪うつもりはなかったのよ。あなただけは別格なの」と言う美容師を責めるでもなく、「ありがとう」と冷静に話を聞くエレナ。「アントニオはここにはもう来ないわ。おかげで神経性皮膚炎に」と言う美容師にエレナは「私は癌よ」と告げます。美容師は驚き、そのうち髪が抜けると言うエレナにカツラを作る約束をします。アントニオは仲間とサッカーをしますが、不安と苛立ちを抱えているアントニオは試合中の些細な接触から殴り合いの喧嘩をしてしまいます。夜、アントニオとエレナは顔を合わせ、エレナは野菜スープをアントニオに出します。食卓で野菜スープを飲むアントニオと台所で家事をしているエレナは、日常的な会話を淡々としながらも、それぞれに苦悩して辛そうな表情をしています。次の日、エレナは化学療法を受けてから仕事に向かいます。市長が来店したのでエレナが接客をしますが、副作用が出て倒れてしまい、病院に運ばれます。母親と叔母さんとアントニオとファビオが病室で付き添いますが、心配のあまり眠っているエレナに怒涛のごとく話しかけている母親と叔母さん。すると、同室の癌患者の女性エグレが「何それステレオ？彼女は睡眠薬で寝かされてるの。だけどお喋りがしたいのなら私は起きてるわ。相手してあげる」と陽気に話しかけてきます。夜中、エレナが目を覚ますと、エグレが青リンゴをムシャムシャと齧っていました。悪性の胸膜中皮腫に罹っていると言うエグレ。「あなたの応援団全員に会ったわよ」とアントニオとファビオのことも話し出しますが、どうやらアントニオがゲイで献身的な態度のファビオがエレナの夫だと勘違いしている様子。医師達がエレナ達の病室に回診に来ますが、エレナの担当医師は、かつてカフェ・タランチュラの常連客で医学生だったディアーノだと気付いて、お互いに笑顔になります。症状が落ち着き、退院することになったエレナ。エグレは退院したら好きなことをやりなさいと言います。アントニオが気に入っているらしいエグレは「私は退院したらまずあんたのゲイ友達を転向させる」と言い出します。お見舞いに来てくれる人がいないエグレはエレナが退院してしまうのが寂しそうです。エレナのために作ったカツラを抱えて颯爽と街を歩くアントニオの元浮気相手。エレナは仕事にも復帰し、慌ただしい日常を過ごします。幼い娘は母親の病気のことで密かに悩んで胸を痛めている様子で、「思い出づくり・・いなくなるから」と言いながら何枚もエレナの写真を撮ろうとします。夜、エレナは意識不明になり、アントニオが病院に運びます。エレナが病室で気が付くと、エグレが傍にいました。エグレは前よりも痩せて体調も思わしくない様子でしたが、「例のゲイの友達、逃がさないわよ。お尻に咬みついてやる」と相変わらずの口ぶりです。エレナはアントニオは私の夫だと打ち明け、二人で笑い合います。「2～3日で外に出られるわ。一緒に外で会いましょう」と言うエグレ。アントニオはファビオと会い、「俺はどうすればいい？食べることも寝ることも何一つできないんだ」と悩みを打ち明けます。しかし、携帯のゲームに夢中になっているファビオ。アントニオは呆れて「無神経だろ？」と怒りますが、ファビオのゲームの対戦相手はエレナだと分かり、ゲームを教えてくれと笑顔になります。
アントニオはエレナの病室に行き、愛を言葉で伝えようとします。エレナは「お願いやめて」と言い、「私はあなたを愛してる。初めて会った時から、あるがままのあなたを愛してきた。皆は私たちを不釣り合いだと言うけど、それは違う。あなたの本当のよさも二人の愛の深さも知っているのは私だけ」と言います。アントニオは涙を流しながらエレナの言葉を聞き、服を脱いでエレナの体を求めます。エレナは髪が抜けた頭を見せて「こんなに汚い体なのに」と拒みますが、アントニオはキスをし、二人は愛し合います。隣りのベッドで寝たふりをするエグレ。翌日、エグレは含みのある表情で「ありがとう。あるのは感謝の言葉だけ。最高の贈り物よ。起きててよかった」と言い、笑い合います。その日の夜、部屋を慌ただしく行き来する足音で目を覚ましたエレナ。エグレのベッドを見ると、看護士がベッドのシーツを片付けていました。ディアーナは「病気の経過は患者ごとに異なるの」とエレナに言いますが、エグレの突然の死にショックを受けるエレナ。ディアーナが「あなたは恵まれてる。あなたは独りではない。あなたを愛してる人にいつも囲まれてる。新しい治療の効果も出たし腫瘍マーカー値も好転してる。エグレとは違うの」と励ましますが、「医者なんて嘘の塊よ」と突っぱねるエレナ。エレナはエグレのストールを首に巻いて病院を抜け出し、家に帰ります。家の中でアントニオと元浮気相手が再婚し、二人の間に自分と同じ名前の赤ちゃんが誕生している幻を見ます。母親も叔母さんもファビオもみんなで赤ちゃんの誕生を祝福した後、エレナの方を無表情で眺めてきます。その時、アントニオの携帯が鳴っている音が聞こえて幻から覚めます。別室にいたアントニオが病院の関係者と携帯で話しながら歩いて来ますが、目の前にエレナがいるのを見て「いました」と伝えて電話を切ります。「『エレナ』はやめて。お願い、違う名前に」と言うエレナを抱き締め、「愛してる」と言うアントニオ。アントニオはエレナを車に乗せて病院まで送りますが、病院の近くまで行ったところで引き返し、思い出の海に向かいます。海辺に立って笑い合い、また車に乗って出発する二人。その時、2人乗りのバイクが突然目の前に現れて、危うくぶつかりそうになります。エレナはバイクに若い頃のアントニオと自分が乗っているのを見て、助手席から後ろを振り返り続けるのでした。ここから車とぶつかりそうになった時の若い頃のエレナとアントニオの話に戻ります。エレナはジョルジョとシルヴィアを裏切っているという罪悪感から、アントニオと距離を置こうとします。アントニオがカフェに来て、「それでも君に夢中だ」と言い、エレナに指輪を渡します。エレナが「2回会っただけなのに指輪なんて正気なの？二度と会わないかも」と唖然とします。「だからこそ。これで君は俺の生涯の女だと分かってもらえる」と言うアントニオ。二人は見つめ合い、アントニオはエレナが差し出した指に指輪をはめようとしますが、ファビオが来てしまい、慌ててごまかします。しかし、ただならぬ雰囲気を感じ取ったファビオは、二人の仲を気付いてしまいます。ファビオと母親と叔母さんに囲まれて浮気を咎められ、シルヴィアに正直に打ち明けるようにと注意されたエレナは、シルヴィアと会うことにします。エレナはレストランでシルヴィアと会い、「私たち親友よね？長い付き合いだわ。私たちは一心同体よね？もし何か悪いことをしたら友情を壊さないためにお互い正直に話す。それでも非難したりせずに相手を許すの。とても難しく思えるかもしれないけど親友なら話せるはず・・・」と言いにくさのあまり前置きをペラペラと話していると、シルヴィアが「もう限界！」とワッと泣き出し、ジョルジョと浮気していることを打ち明けてきます。エレナが頭を抱えながら「アントニオは？」と聞くと、「アントニオ？あんなのジョルジョを忘れるための口実よ。私があんなバカを好きになると思う？」「エレナ許して、お願い」と泣くシルヴィアに何も言えなくなり、「もっと強いお酒を」と席を立つエレナ。そして近くで聞き耳を立てていたファビオと顔を見合わせ、大笑いしてしまいます。二人が大笑いしているのを見てキョトンとしていたシルヴィアですが、やがてエレナと抱き締め合い、みんなで笑い合います。そして、エレナとアントニオは海で美しく幸せな時間を過ごすのでした。
以上、映画カプチーノはお熱いうちにのあらすじと結末でした。
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