娘は戦場で生まれたの紹介:2019年イギリス,シリア映画。いまだ未曽有の戦地シリア。アレッポ大学に通う女学生ワアドは、デモ運動の参加をきっかけにスマホでの撮影をはじめる。しかし平和を願う市民の願いに反し、紛争は激化。そんな中、ワアドは活動家にして医師を目指す若者ハムザと出会い夫婦になる。生まれた娘はアラビア語で“空”を意味するサマと名付けられた。ワアドは娘のためにアレッポの愛すべき人々の生きた証を映像に残す。主人公にして監督であるワアド・アルカティーブが手にするカメラを通じて2012年から2016年までに映し出されたアレッポの街のドキュメンタリー。カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞をはじめ50以上の映画賞を受賞し、現在も更新し続けている。
監督:ワアド・アルカティーブ、エドワード・ワッツ 出演:ワアド・アルカティーブ、サマ・アルカティーブ、ハムザ・アルカティーブほか
映画「娘は戦場で生まれた」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「娘は戦場で生まれた」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
娘は戦場で生まれたの予告編 動画
映画「娘は戦場で生まれた」解説
この解説記事には映画「娘は戦場で生まれた」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
娘は戦場で生まれたのネタバレあらすじ:起
2012年、シリア。ワアドはアレッポ大学でマーケティングを学ぶ女学生でした。2011年に3月に始まった「アラブの春」に触発され、民主化を願う平和的なデモは、やがて第二次世界大戦後、史上最悪の人道危機と言われる悲惨な紛争に発展。シリアのあちこちで戦争が繰り広げられていきました。
そして戦火は美しい都市アレッポにも到達。アサド政権側の攻撃に学生たちは必死の抵抗を試みます。その中にワアドの姿もありました。彼女はスマホと一眼レフカメラを構え、街の惨劇と人々の悲鳴をカメラに収めていました。
娘は戦場で生まれたのネタバレあらすじ:承
2015年9月。ロシアが軍事介入。事態はさらに悪化し、それはアレッポの街にも不運を予期するものでした。
そんな中、ワアドは医師を志す活動家仲間ハムザ・アルカティーブと出会い、やがて恋に発展していきます。そして2人は結婚し、ほどなくして妊娠が発覚します。毎日おびただしい人が命を落とす中で、2016年1月1日、新しい命が誕生しました。
生まれた娘は自由と平和への願いを込めて、アラビア語で“空”を意味する「サマ」と名付けられました。
娘は戦場で生まれたのネタバレあらすじ:転
政府軍の爆撃は容赦なくアレッポ市内の全ての病院を破壊しました。ハムザたち医療従事者たちは、瓦礫の中に崩れかかったビルを見つけ病院を創設。空爆を受けながら毎日数えきれない手当と手術を施していきました。しかし救える命はごく僅か。そして仲間の医師たちも空爆の犠牲になっていきます。
それでも病院には絶え間なくけが人や遺体が運ばれてきます。ワアドはその様子を全てカメラに収めていくのでした。
状況は日に日に悪化をたどっていきます。それでもワアドとハムザは脱出せず、自由のために戦い続けました。ワアドはこの惨状を映像で全世界へ発信し、ハムザは医療で命を救い、アレッポのために身を尽くします。
ところがある日、ワアドの中にふと、この悲惨な世界にサマを生んでしまったことに罪悪感を覚えてしまいます。しかしサマをはじめ世界に向けて真実を伝え、希望を託すことこそが自らの使命だと気付きました。
娘は戦場で生まれたの結末
そんなワアドの決意を試すかのように、シリアはさらに凄惨な地となっていきます。
アサド政権と同盟国は、反政府側を粉砕するためにありとあらゆる手段を使って残虐行為を重ねました。そしてその攻撃はハムザの病院にも及びました。爆撃された上に包囲され、塩素ガス、クラスター爆弾、バレル爆弾と次々に攻撃は降り注ぎ、老若男女問わず次々に惨殺されていきました。
2016年12月。ついにアレッポは陥落。しかし降伏すれば命は助けるという政府軍の言葉に信憑性はありません。必死の抵抗むなしく、ワアドとハムザも屈することを選びました。サマのためにも。
アレッポに残った最後の市民たちをバスへ乗せ、最後にワアド一家の車も検問所へと向かいます。検問所では待ち構える政府軍に射殺される者も少なくありません。しかし、一家は生きて脱出することができました。家族や親せきと喜びを分かち合いました。
空を見上げるワアド。かつて美しかったアレッポの街は破壊された瓦礫の山と化し、色を失い死んだようでした。
以上、映画「娘は戦場で生まれた」のあらすじと結末でした。
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