フレンジーの紹介:1972年イギリス,アメリカ映画。アーサー・ラ・バーンの小説を原作としたアルフレッド・ヒッチコック監督によるサスペンス映画。猟奇的連続殺人の容疑者に仕立て上げられ、無実の罪を着せられることになったある男の逃走劇を描きます。スリラー映画の帝王と称されたヒッチコック監督の晩年期の作品で、ブラックユーモア溢れる演出が冴えます。
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演者:ジョン・フィンチ(リチャード・ブレイニー)、バリー・フォスター(ロバート・ラスク)、バーバラ・リー・ハント(ブレンダ・ブレイニー)、アンナ・マッセイ(バブス・ミリガン)、アレック・マッコーエン(オックスフォード刑事)、ヴィヴィエン・マーチャント(オックスフォード夫人)、バーナード・クリビンス(フェリックス・フォーサイス)、マイケル・ベイツ(スピアマン刑事)、ジーン・マーシュ(モニカ・バーリング)、ほか
映画「フレンジー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フレンジー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
フレンジーの予告編 動画
映画「フレンジー」解説
この解説記事には映画「フレンジー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フレンジーのネタバレあらすじ:起
舞台はロンドン。昼下がりのテムズ川で、ネクタイで絞殺された全裸女性の水死体が発見されます。街では女性ばかりを狙ったネクタイ殺人と呼ばれる猟奇的な殺人が頻発していました。
元イギリス空軍少尉のリチャード・ブレイニーは、パブのバーテンの仕事をクビになり、金に困っていました。青果市場で働く友人のロバート・ラスクはリチャードを励まし、前妻ブレンダに久しぶりに会いに行ってみてはどうかと勧めます。リチャードはブレンダが経営する結婚紹介所へ出向き、久しぶりに二人で食事をする約束をします。
その夜二人はディナーに出かけますが、リチャードは己の不甲斐なさに苛立つとともに、ビジネスで成功を納めたブレンダに嫉妬をしていました。リチャードは酒の勢いに任せて、つい荒い口調で愚痴を吐き、ブレンダを困らせます。
ディナー後、ブレンダを家まで送り届けたリチャードは、安宿で夜を明かすことに。リチャードはブレンダがスーツのポケットにこっそり20ポンドを入れておいてくれたことを知ります。
フレンジーのネタバレあらすじ:承
翌日の昼、ブレンダのオフィスにロバートが訪ねてきます。ロバートはロビンソンという偽名を使って結婚相談所に登録していました。そして女性を紹介して欲しいとブレンダに頼みますが、ブレンダはロバートの異常性を見抜いていて、他をあたってほしいと拒絶します。
腹を立てたロバートはブレンダを強姦すると、ネクタイで首を絞め上げて殺害します。ロバートこそがネクタイ殺人の真犯人でした。
ロバートは金目当ての犯行と見せかけるため、ブレンダのバッグから金をくすねて、犯行現場を後にします。ロバートが去ったまさにその後直後、リチャードがブレンダのオフィスにやってきますが、鍵が締まっていて、中に入ることはできませんでした。そして昼食を終えて戻ってきた秘書がブレンダの死体を発見しました。
秘書が去っていくリチャードの後ろ姿を目撃していたことから、リチャードにブレンダ殺害の嫌疑がかけられます。秘書は粗暴で酒癖の悪いリチャードを嫌っていて、完全に犯人だと思い込んでいました。さらに二人の離婚原因がリチャードの暴力であったことも発覚し、リチャードの心証は悪くなるばかり。
警察が捜査に乗り出したころ、リチャードはパブの同僚だったガールフレンドのバブスを誘い、ホテルにシケこみます。リチャードの懐はブレンダから恵んで貰ったお金で少し潤っていました。しかしネクタイ殺人の新聞記事を見たホテルマンに通報されてしまいます。
駆けつけた警察がリチャードの部屋に押し入りますが、そこにはリチャードとバブスの姿はありませんでした。リチャードはその頃、ホテル近くの公園で前妻殺しの容疑者なのではないかとバブスから疑いの目を向けられていました。しかし無実であることを必死に訴えた結果、バブスに信じてもらうことができました。
その後、リチャードは偶然再会した空軍時代の友人ポーターのもとに一時的に身を寄せることになり、バブスは出勤のためパブへと戻ることになりました。
フレンジーのネタバレあらすじ:転
バブスは無断で店を遅刻したことを店主に責められ、口論の末仕事をクビになってしまいます。助け舟を出したのが店に飲みに来ていたロバートでした。ロバートは言葉巧みにバブスをアパートに誘い込み、再び殺人に手を染めます。
夜、ロバートはじゃがいもの入った麻袋にバブスの死体を入れ、トラックの荷台に詰め込みます。しかし家へ帰ってみると胸につけていたピンがなくなっていることに気付きます。ネクタイで首を締めあげた時、バブスがロバートのピンをむしり取ってしまったのでした。焦ったロバートはトラックの荷台に乗り込み、ピンを探し始めますが、運悪くトラックが動き出してしまいます。
揺れるトラックの中で死体と格闘するロバート、ピンはバブスの手の中にありましたが、死後硬直が始まっており、なかなか奪うことができません。ロバートはバブスの指を一本ずつ折ってなんとかピンの奪還に成功、トラックがレストランに停車した隙を見計らって、その場から立ち去ります。
その後、警察がトラックから転がり落ちてきたバブスの死体を発見、リチャードへの疑惑はいよいよ決定的なものとなりました。ポーターのところにも居られなくなってしまったリチャードはロバートを頼って青果市場を訪ねます。リチャードはロバートの助言に従って、彼のアパートでしばらく身を隠すことにしましたが、これはロバートの仕掛けた罠でした。
ロバートに通報されたリチャードはあっという間に逮捕されてしまいました。リチャードのボストンバックからパブスの衣服が見つかり、リチャードはようやくロバートに嵌められたことを確信しますが、その後裁判で終身刑の判決が下ってしまいます。ロバートへの復讐に燃えるリチャードはわざと怪我をして、病院に運びこまれ、脱走の機会を狙います。
フレンジーの結末
捜査を担当してきたオックスフォード警部は、一連の事件の犯人は本当にリチャードなのか、疑問に思い始めていました。オックスフォード夫人も真犯人は別にいるはずだと夫に助言、警部はリチャードがロバートに嵌められたと叫び続けていたことを思い出します。
その後、オックスフォード警部がブレンダの結婚相談所を訪ねると、秘書から顧客であったロバートが女性のタイプについて非常に強いこだわりを持っていたと打ち明けられます。サディストのロバートが執着したのはマゾヒストの女性でした。オックスフォードはその後も捜査を重ね、ロバートが犯人であるという確信を得ます。
一方、リチャードは仲間達の手を借りて脱走に成功、鉄の棒を手にロバートのアパートへ忍び込みます。しかし部屋にロバートの姿はなく、ベッドにはネクタイで絞殺された女性の死体が横たわっていました。リチャードが茫然と死体を見下ろしているとそこにオックスフォード警部が入ってきました。
女性殺害を疑われるのではないかと身構えるリチャードでしたが、オックスフォード警部は分かっているとでも言うように手で合図します。そしてロバートが死体運搬に使う大きなトランクを抱えて部屋に戻ってきました。オックスフォード警部はノーネクタイのロバートを見つめて、「ネクタイはどうされましたか」と痛烈な皮肉を吐くのでした。
以上、映画「フレンジー」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する