地上より永遠に(ここよりえいえんに)の紹介:1953年アメリカ映画。ジェームズ・ジョーンズのベストセラー小説を映画化したもので、太平洋戦争直前のハワイを舞台に、荒くれ兵士の恋や人間関係などを描いています。
監督:フレッド・ジンネマン 出演者:バート・ランカスター(ウォーデン)、モンゴメリー・クリフト(プルーイット)、フランク・シナトラ(マジオ)、デボラ・カー(カレン)、ドナ・リード(ロリーン)ほか
映画「地上より永遠に」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「地上より永遠に」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「地上より永遠に」解説
この解説記事には映画「地上より永遠に」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
地上より永遠にのネタバレあらすじ:起
まだ太平洋戦争が始まる前の1941年夏。ハワイ・ホノルルのスコーフィールド米軍基地にラッパ手のプルーイット上等兵(モンゴメリー・クリフト)が転属してきました。しかしこれは転属というよりも、上官に反発したがための左遷でした。部隊の中隊長であり、大のボクシング好きなホームズ大尉(フィリップ・オーバー)は、かつてボクサーだったプルーイットをチームに誘いますが、かつて親友をボクシングで失明させたことに負い目を感じていたプルーイットは申し出を断ります。ウォーデン軍曹(バート・ランカスター)はプルーイットを説得しますが、プルーイットの意志は変わりませんでした。
地上より永遠にのネタバレあらすじ:承
部隊で孤立してしまったプルーイットは、ボクシング部員や上官らからいじめを受けますが、決して弱音は吐きませんでした。そんなプルーイットの数少ない味方は人望の厚いウォーデンやひょうきん者のマギオ一等兵(フランク・シナトラ)でした。一方、ホームズの妻カレン(デボラ・カー)は恋多き女性との噂が多く、また夫の浮気癖や性格の悪さもあって夫婦の間は完全に冷めきっていました。そんな時、ウォーデンはカレンに強引にアプローチ、やがて二人は不倫の関係に陥っていきます。二人はホームズの目を盗んでは逢瀬を重ね、浜辺の波打ち際で唇を重ねます。
地上より永遠にのネタバレあらすじ:転
プルーイットはマギオに誘われてクラブに行き、そこで出会ったロリーン(ドナ・リード)という女性と恋に落ちます。プルーイットはロリーンにプロポーズしますが、ハワイを離れアメリカ本土に渡る夢を持っているロリーンは受け入れることができませんでした。ある日、無断外出したマギオは酒場で酔いつぶれ、営倉長のファツォー(アーネスト・ボーグナイン)と喧嘩をしてしまいます。一方、度重なるいじめに我慢の限界がきたプルーイットは上官と殴り合いの喧嘩となります。ホームズはただ黙って止めようともしませんでしたが、この光景は監査役の耳に入り、ホームズは中隊長解任に追い込まれます。
地上より永遠にの結末
またしても仕事をサボって酒に酔ったマギオはファツォーから壮絶なリンチを受け、脱走してプルーイットの元に逃げ込みますが、程なく息を引き取ります。その日、プルーイットは涙を流しながらラッパを吹いていました。復讐心の芽生えたプルーイットは夜の街でファツォーを待ち伏せ、自らも重傷を負いながらもファツォーをナイフで刺殺します。プルーイットはロリーンに匿われ、ウォーデンはプルーイットの仕業に気付きながらも彼を庇っていました。
そして現地時間12月7日の朝、真珠湾は日本軍の攻撃を受けます。太平洋戦争の始まりでした。ロリーンの静止を振り切って部隊に戻ろうとしたプルーイットでしたが、警備兵の警告を無視して射殺されてしまいます。ウォーデンはプルーイットの形見のマウスピースを受け取ります。数日後、夫と離婚しウォーデンとも別れたカレンは、本土へ疎開する船の上でカレンはロリーンと出会い、互いの身の上話をします。プルーイットの死は名誉の戦死ということにされており、彼女の手にはプルーイットの形見のマウスピースが握られていました。
フレッド・ジンネマン監督の「地上より永遠に」で、フランク・シナトラが無念の死を遂げ、兵隊仲間のモンゴメリー・クリフトの吹く、哀悼ラッパの音色が哀切極まりない。
一時代を画した、往年の演技派の人気俳優モンティこと、モンゴメリー・クリフトの哀愁を帯びた表情が、なんとも印象に残る映画だ。
開巻たちまち、無駄なく登場人物を紹介し、ドラマに入っていく。
軍隊生活をリアルに描きつつ、陸軍内部を告発する。階級差や上官の不正や陰湿ないじめを暴いていく。
「真昼の決闘」で体制にノーと言い、「ジュリア」で反ファシズムを明確にし、ハリウッド・リベラルであり続けた、フレッド・ジンネマン監督の反骨精神が脈打っている。
ただし、1941年12月7日(日本時間12月8日)に真珠湾を攻撃された瞬間から、ハワイ基地のアメリカ陸軍は、誰もが愛国者になり、奇襲をかけた日本軍の飛行機と戦う。
愛国心の発露で、この映画の反軍的性格が吹っ飛ぶのが、少し残念だ。
腰砕けしたので、逆にアカデミー賞を8個も獲得したのかもしれない。
この映画は、パールハーバーをアメリカ側から描いた最初の劇映画だろう。
そして、当時、人気が凋落していたフランク・シナトラが、「ゴッドファーザー」で描かれていたように、イタリアン・マフィアの後押しを受け、この映画での役を勝ち取り、アカデミー助演男優賞を受賞して、復活を遂げたことは、あまりにも有名だ。
そして、野生派スターのバート・ランカスターと人気女優のデボラ・カーとの浜辺のラブシーンも鮮烈だった。