笛吹川(ふえぶきがわ)の紹介:1960年日本映画。木下恵介監督が「楢山節考」に引き続き、深沢七郎の小説を映画化。「二十四の瞳」と同じく、庶民の視点を貫いた見事な反戦映画となっている。モノクロに部分的に着色を施した画面も印象的。キネ旬のベストテンでは4位に入選した。
監督:木下恵介 出演:高峰秀子(おけい)、田村高廣(定平)、市川染五郎(惣蔵)、岩下志麻(ウメ)、中村萬之助(安蔵)、織田政雄(半平)、田中晋二(平吉)、ほか
映画「笛吹川」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「笛吹川」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
笛吹川の予告編 動画
映画「笛吹川」解説
この解説記事には映画「笛吹川」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
笛吹川のネタバレあらすじ:起
大永元年、飯田河原の合戦に加わっていた半蔵は、笛吹川の川縁にある自分の家”ギッチョン籠”に帰ってきます。彼は武田信虎の近習である土屋家の足軽で、勝ち戦だったためにご機嫌でした。おまけに、武田家に生まれた長子(後の信玄)の胎盤を、半蔵の父親・半平が地面に埋めることになります。
この大事な役目を任されたのも半蔵が手柄を立てたためです。どうやら貧しい一家にも運が向いてきたようでした。ところが、姑のおじいが娘婿の半平を差し置いて作業を買って出て、無礼を働いたために斬り殺されてしまいます。これがギッチョン籠の一家と武田家との不幸な因縁の始まりとなりました。
笛吹川のネタバレあらすじ:承
やがて上條河原の合戦、富士須走口の合戦、梨木平の合戦と戦いが続き、半蔵はそれらにも参加。手柄を立てて主と同じ土屋という名字をもらい、武家へと出世します。しかし塩尻の合戦があり、ここで半蔵は敵の手にかかって戦死してしまいます。
間もなくギッチョン籠では、おけいという15歳の娘が半蔵の甥・定平のところへ嫁入りしてきます。よく働く嫁でしたが、5年もの間子供ができず、年老いた半平はそれを気にかけながら息を引き取ります。
さらに5年経つものの、なかなか子供は生まれません。さすがにおけいも子供を産みたい気持が募り、定平の許しを得て西山で湯治をおこなったところ、すぐにその効き目があらわれて男の子が生まれました。
笛吹川のネタバレあらすじ:転
一方、入道となって信玄と名前を改めた武田家の長子は父親の信虎を追放。川中島の合戦で上杉謙信と戦います。戦はなおも続き、定平のきょうだいや従兄弟もその影響を受けざるを得ません。
定平とおけいはさらに子宝に恵まれ、男が3人、女が1人となりましたが、年頃になった長男の惣蔵は従兄弟の虎吉が出世したのに刺激され、自ら進んで武田家の足軽となってしまいます。
また、長篠の合戦から一時的に帰ってきた惣蔵が散々うまい話を並べ立てるため、次男の惣蔵も武田家の家来に――。さらに一人娘のウメまでも甲府の城に手伝いに行くことになります。
笛吹川の結末
そして武田勝頼の軍が人手不足に陥ると、最後に残った平吉までがその敗軍に加わりました。絶望的になったおけいは自ら天目山を目指す勝頼軍に合流し、子供たちを説得して帰らそうとしますが、全員聞く耳を持ちません。
おけいは年老いた身に鞭打って行軍について回るものの、もはや希望などありませんでした。間もなく武田軍は織田信長、徳川家康、北条氏政らの軍に打ち負かされ、おけいの子供たちはもちろん、おけい自身も死ぬことになります。
結局、ギッチョン籠には家族全員を失った定平だけが残されるのです。
以上、映画「笛吹川」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する