ガガーリン 世界を変えた108分の紹介:2013年ロシア映画。1961年に世界初の有人宇宙飛行を成し遂げたソ連の宇宙飛行士ユーリー・ガガーリンの生誕80周年を記念して製作された伝記ドラマです。1961年4月12日、宇宙飛行船“ボストーク1号”で108分間の宇宙飛行に出発する前後のガガーリンの足跡を過去のエピソードも交えて描いていきます。
監督:パヴェル・パルホメンコ 出演者:ヤロスラフ・ザルニン(ユーリイ・ガガーリン)、ミハイル・フィリポフ(セルゲイ・コロリョフ)、オルガ・イヴァノヴァ(ヴァレンチナ)、ナジェジダ・マルキナ(母親)、ヴィクトル・プロスクーリン(父親)ほか
映画「ガガーリン 世界を変えた108分」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ガガーリン 世界を変えた108分」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ガガーリン 世界を変えた108分の予告編 動画
映画「ガガーリン 世界を変えた108分」解説
この解説記事には映画「ガガーリン 世界を変えた108分」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ガガーリン世界を変えた108分のネタバレあらすじ:起
映画はロシアの物理学者で作家のツィオルコフスキーの名言「地球は人類のゆりかごである。しかし、人類はいつまでもゆりかごに留まることはないだろう」から始まります。
1961年4月12日、ソ連・バイコヌール宇宙基地では、宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリン(ヤロスラフ・ザルニン)が眠れない夜を過ごしていました。ソ連は国家の威信を賭けて開発した宇宙船“ボストーク1号”の発射を翌日に控えており、発射台では敵の偵察機が周囲を飛ぶなか責任者セルゲイ・コロリョフ(ミハイル・フィリポフ)の指揮により夜通しでの準備作業が進められていました。コロリョフは全ての作業員に「新たな時代の幕開けがかかっている」と檄を飛ばしました。
翌朝、起床したガガーリンは無事生還したら同僚のゲルマン・チトフ(ヴァディム・ミヒマン)と本を書く約束をしました。朝のジョギングにゲルマンと共に出かけたガガーリンは初めて宇宙へ行った犬と対面、「お前は空で何を見たんだ?」と問いかけました。既に宇宙に上がるのは最初がガガーリン、次がゲルマンと決まっていましたが、ゲルマンは自分が最初に宇宙に上がりたがっていました。そしてガガーリンとバックアップ要員のゲルマンはいよいよ発射台へと向かい、実家ではガガーリンの父(ヴィクトル・プロスクーリン)と母(ナジェジダ・マルキナ)が不安を隠せないでいました。
ガガーリン世界を変えた108分のネタバレあらすじ:承
発射台へと向かうバスの中で、宇宙服に身を固めたガガーリンはこれまでの自らの歩みを振り返っていました。1957年夏、空軍士官学校時代のガガーリンは不屈の精神力と努力家ぶりを認められ、その後3000人ものの宇宙飛行士候補の中から最終候補の20名に選抜されました。それからガガーリンは20名と共に過酷な訓練に挑みますが、人前では冗談交じりで鼻歌を口ずさむなど気丈に振舞っていました。
発射台に着いたガガーリンは、苦楽を共にした仲間たちから激励され、ボストーク1号のコクピットに乗り込みました。ところが、発射1時間前になってハッチに不具合が発見され、管制室のコロリョフは大至急で不具合を解消するよう作業チームに厳命しました。ガガーリンは以前身体検査を受けた際、医師からミッションに失敗した場合は“死”しかないので出来ることは何もないと言われたことを思い出していました。一方のコロリョフもまた責任者としての重圧を身に感じていました。
ガガーリンはコロリョフからラジオを聴かせてもらい、ダンスパーティーで後に妻となるヴァレンチナ(オルガ・イヴァノヴァ)と出会った時のことを振り返り、思わず笑みがこぼれました。
そして遂に打ち上げまでのカウントダウンが始まり、ガガーリンは「行ってきます」と呟くと、ボストーク1号は遂に宇宙に向けて飛び立ちました。
ガガーリン世界を変えた108分のネタバレあらすじ:転
地上では仲間たちが打ち上げ成功を喜ぶなか、ガガーリンを乗せたボストーク1号はロケットを切り離して軌道に乗りました、しかし、ガガーリンは強烈なG(重力加速度)に苦しめられて心拍数も急上昇、一時意識を失いかけるもかつての苦しい訓練を思い出して立ち直り、地上に順調に飛んでいることを連絡しました。ガガーリンは眼下に広がる青く丸い地球の光景に思わず感激していました。
ガガーリンは人類で初めて無重力状態を経験しながら、貧しかった少年時代、妻となったヴァレンチナから懐妊を告げられて大喜びしたこと、そして娘が誕生したこと、厳しい訓練で心身に異常をきたして脱落した仲間のこと、ロケット打ち上げ実験で事故があったこと、候補者の誰もがアメリカに対抗意識を燃やしていたこと、候補者が20名からガガーリンを含む6名に絞られた時にはヴァレンチナが第2子を身ごもっていたこと、宇宙旅行を題材にしたラジオドラマをてっきり本当のことだと信じ込んでしまったことなどを思い出していました。その頃、地上の管制室ではボストーク1号が無事軌道に乗ったことにその場の全員が沸き立ちましたが、あくまでもガガーリンが無事帰還するまではと改めて気を引き締めました。
コロリョフはアブハジア自治共和国・ピツンダに滞在しているニキータ・フルシチョフ書記長(ウラジーミル・チュプリコフ)に途中経過を報告、フルシチョフは早くもガガーリンの功績を称えて現在の階級である中尉から一気に少佐へ昇進させることを決定しました。
ガガーリン世界を変えた108分の結末
ガガーリンら候補者たちはある時、自分たちだけで投票して誰が一番宇宙へ行くにふさわしいか決めようと思いつきました。その結果、最多票を集めたのはガガーリンでした―――。
また、ガガーリンはかつて父に将来の夢を語っていたことを思い出しました。大工をしている父はガガーリンに職人としての心構えと、それぞれ異なる素材の扱い方について教わりました。やがて過程を持ったガガーリンでしたが、母やヴァレンチナはガガーリンが宇宙に飛ぶことに底知れぬ不安を抱えていました。
やがて候補者はガガーリンとゲルマンの2名に絞られ、コロリョフはガガーリンの冷静沈着ぶりと先ごろ家族を亡くしたゲルマンの不安定ぶりに触れました。そしてコロリョフはガガーリンに未来永劫まで我々の偉業は語り継がれるのだろうかと思いを馳せていました。しかし、コロリョフは最大の懸念事項として着陸に成功する保証はないことを挙げました。
そしてガガーリンは順調に宇宙を飛行しているかに見えましたが、予定よりも速い速度で航行していることがわかり、万が一の水や食料も10日分しか積んでいないことから管制室はフルシチョフとの連絡も取れないほど対策に追われました。そして地上の誰もが人類初の有人宇宙飛行に沸き立つなか、ガガーリンは推進機の逆噴射を試みながら大気圏に突入、そして脱出装置を起動して宇宙船から射出され、パラシュートで無事に帰還を果たしました。ガガーリンは一躍国民的英雄として歓喜をもって迎え入れられましたが、それは彼にとって重圧の始まりでした。そして地球への帰還から7年後の1968年、ガガーリンは訓練中の事故により34年の短い生涯を閉じました。
以上、映画「ガガーリン 世界を変えた108分」のあらすじと結末でした。
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