解夏の紹介:2003年日本映画。さだまさしの同名小説を元に映画化した作品。徐々に目が見えなくなっていく難病を患う青年が苦悩と葛藤を抱えながら、最愛の恋人とともに再生の道を模索していく姿が描かれた人間ドラマです。
監督:磯村一路 出演者:大沢たかお(高野隆之)、石田ゆり子(朝村陽子)、林隆三(朝村健吉)、田辺誠一(松尾輝彦)、富司純子(高野聡子)ほか
映画「解夏」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「解夏」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
解夏の予告編 動画
映画「解夏」解説
この解説記事には映画「解夏」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
解夏のネタバレあらすじ:起
日射しが眩しい初夏の長崎。高野隆之は母とともに墓参りに訪れています。階段を登ろうとしたところ、目に異常を感じうずくまってしまいますが、母には心配をかけまいと気丈に振る舞います。母は隆之の着ているシャツがよく似合っていると褒めてくれます。半年前のモンゴル。ある日本人女性が研究のため一人旅をしています。彼女の名前は朝村陽子、隆之の恋人です。隆之が着ているシャツは、彼女がモンゴルの露店で買ったものでした。小学校の教員をしている隆之は生徒達から慕われています。ある日悪夢にうなされて起きた隆之は、目に異常を感じます。同級生で眼科医をしている清水のもとを訪れ、詳しく検査してもらうことになりました。隆之の眼は炎症を起こしており、他にも口内炎、下半身の湿疹など全身に症状が出ていました。検査の結果から、隆之はベーチェット病という難病を患っていると診断されます。失明する確率が高いと告げられた隆之は、ショックを受けながらも、自分の目はいつ見えなくなるのかと尋ねます。しかし医師の清水にもそれが果たしていつになるのかは答えることができないのでした。隆之は陽子がモンゴルへ旅立つ前から結婚の約束をしていました。しかし難しい病に侵されている今、彼女のことを考えるとやりきれない気持ちになってしまうのでした。隆之は清水が大学病院に勤務していた際に受け持った患者である黒田を紹介されます。
解夏のネタバレあらすじ:承
ベーチェット病により失明した黒田は、この病について詳しく語り出します。黒田の友人は発症してから六年間大きな症状が出なかったものの、ある時目に激痛を感じ、その後目を開けるとまったく何も見えなくなってしまったといいます。黒田は症状は人それぞれであり、失明しない者もあれば、10年という長い期間を経て失明する者もあり、ある日突然失明する者もあることを伝えます。黒田は失明したら暗闇に襲われるのかと思っていたが、実際には乳白色の霧の中にいるようだと話すのでした。隆之は大学の恩師である朝村健吉の元を訪ね、静養のため教職を辞することを報告します。そして陽子の父親である健吉に、陽子との結婚を取りやめることを告げます。健吉は陽子が高校生の頃から隆之を好いていたことを打ち明けますが、陽子を不幸にすることを恐れる隆之は、別れも告げずに彼女の前から去ろうと考えているのでした。隆之は子供たちに教師を辞め、故郷に帰ることを話します。生徒たちは隆之との突然の別れに泣き出してしまうのでした。隆之がアパートで荷造りをしていると、帰国した陽子が乗り込んできます。健吉から手紙をもらった陽子は隆之に会うため、予定を切り上げて日本に戻ってきたのでした。隆之は陽子の未来を壊すことはできないと別れを告げますが、陽子は私の未来を勝手に決めないで欲しいと怒って出ていってしまうのでした。故郷の長崎に戻ってきた隆之でしたが、母の聡子や姉の玲子に病のことを打ち明けられずにいました。そんな中陽子が隆之を追って長崎を訪ねてきます。陽子は隆之の目になりたいと話します。陽子が長く滞在する予定であることを伝えると、母は玲子が使っていた部屋を使ってほしいと申し出ます。
解夏のネタバレあらすじ:転
聡子は隆之が目の病を患っていることに気づいていました。陽子が母と病について話し合っていたことを知った隆之は、彼女の気遣いに心から感謝するのでした。陽子とともにある寺を訪れた隆之は視界が狭ばっていく感覚に襲われます。隆之と陽子は所用で寺を訪問していた林という老人からお茶を勧められます。不思議なことに林には自分の病を素直に打ち明けられることができた隆之は、林から解夏という言葉を教わります。それは仏教の僧が夏に行う修行の終わりを意味する言葉でした。失明への恐怖を抱えて生きることは苦難の連続ではあるものの、失明した日には必ず恐怖から解放され、その日が隆之にとっての解夏となるだろうと林は話すのでした。隆之は陽子と幼馴染の松尾とともに海釣りをしたり、長崎の町を散策したりして賑やかに過ごします。隆之は目が見えなくなる前に長崎の美しい町並みを目に焼き付けておきたいと松尾に伝えるのでした。大学で郷土史を教える林の元を訪ねた隆之は、郷土史に興味を抱き始めます。やがて隆之の目はほとんど見えなくなっていき、いつ襲ってくるかもしれぬ失明という恐怖と一人闘うようになります。聡子は陽子を実の娘のように可愛がってきましたが、陽子に苦労を掛け続けていることを考えると、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまうのでした。ある雨の日病院に薬を取りに行った陽子を迎えに行こうと外に出た隆之でしたが、階段を一人で上ることができないほどに彼の目は悪化しているのでした。階段で転び、動けなくなっている隆之を見つけた陽子が手を貸そうとしますが、隆之は彼女を強く拒絶してしまいます。これ以上陽子に情けない姿を見られたくない隆之は、自分のことはもう放っておいてほしいと吐き捨ててしまうのでした。陽子は悲しみを抱えながら東京へ帰っていきます。
解夏の結末
失明への恐怖心から陽子を遠ざけてしまったことを隆之は深く後悔していました。そして陽子の存在の大きさを実感し、彼女に会うため一人東京へ出てきます。健吉にも陽子の居場所が分からないと言われた隆之は、おぼつかない足取りで陽子を探し始めます。そして美術館に辿り着いた隆之は、一人階段に座り込む陽子を見つけます。隆之は陽子を強く抱きしめ、僕の目になって欲しいと伝えるのでした。再び陽子と長崎に戻ってきた隆之の元に、教え子達からの手紙が届きます。そこには今も隆之を慕う生徒達の気持ちが綴られていて、中にはいじめられている友達を助けてほしいと懇願する手紙もありました。隆之は教師として子供達のそばに居てあげられない悔しさから涙が止まらなくなってしまうのでした。寺に百日紅が咲いていることを知った隆之は陽子とともに花を見に出かけます。しかし隆之の視力は完全に失われていて、美しく花を咲かせる百日紅を見ることはできないのでした。陽子は深く悲しみますが、隆之は深い霧の中にいるようだと穏やかに話します。隆之の目の中には陽子の顔がしっかりと見えているのでした。
さだまさしさん原作の映画はこれでもか!これでもか!と泣かせよう感がすごいのですが、それでもどれ観ても号泣してしまいます。展開は失礼ながらよくあるパターンなのですが・・・。そして、たくさん泣いてすっきりする映画です。病気感動ものは病気を感動の道具にしているみたいで、本当は好きではないけれど、泣いてすっきりしたいな~と言う気分の方にはおすすめです。