祇園の姉妹の紹介:1936年日本映画。邦画史に残る傑作。同年の「浪華悲歌」と並び、巨匠溝口健二の戦前の代表作とされる。溝口と長年コンビを組むことになる脚本家・依田義賢が綿密な調査を行い、見事な構成のオリジナル脚本に仕上げた。
監督:溝口健二・出演:山田五十鈴(おもちゃ)、梅村蓉子(梅吉)、志賀迺家辨慶(古沢新兵衛)、久野和子(おえみ)、ほか
映画「祇園の姉妹」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「祇園の姉妹」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「祇園の姉妹」解説
この解説記事には映画「祇園の姉妹」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
祇園の姉妹のネタバレあらすじ:起
屏風や襖などが乱雑に置かれた日本間。かなりのお屋敷のようですが、ほとんどの部屋がそんな有様で、かつての栄華ぶりなど見る影もありません。ある一間では、花瓶など金目のものが債権者相手に競りにかけられていました。ここは京都でも大店だったのですが、主人・古沢の商いの失敗のせいで店じまいすることになったのです。奥さんも里に帰る羽目になり、赤ん坊を抱きながら涙に暮れます。古沢はそのメソメソした様子に腹を立てて外出。自分が世話をしていた芸妓・梅吉の家に行って酒を呑みます。
祇園の姉妹のネタバレあらすじ:承
梅吉は一文無しになった古沢を哀れに思い、彼を居候させる気になりますが、彼女の妹・おもちゃはそんな古臭い情に流される姉の態度が気に入りません。女学校も出ているおもちゃは封建的な風習を嫌っていて、芸妓が搾取されている現実に対して腹を立てているのです。おもちゃは出入りの呉服屋の番頭・木村が自分に惚れていると聞きつけ、うまく彼に媚を売って着物を作らせます。自分用ではなく、手元不如意の姉・梅吉のためでした。姉思いのおもちゃはさらに計略を巡らせます。古沢のことを聞いた古い知り合いの骨董屋・聚楽堂がわざわざ梅吉の家を訪ねてきた折、酔っ払った彼を送ってゆくついでに、「姉の旦那にならないか」と切り出すのです。
祇園の姉妹のネタバレあらすじ:転
前から梅吉に思し召しのあった聚楽堂は、「古沢が梅吉の前から姿を消すなら」という条件でその提案に乗ります。しめたとばかり、家に帰ると早速おもちゃは古沢と話をし、聚楽堂からもらった金を餌に彼を家から追い出すことに成功します。姉の方には古沢が勝手に出て行ったと告げ、その気持を吹っ切れさせます。一方、木村が着物代金の工面のために帳簿を誤魔化していた件が主人・工藤の知るところとなります。工藤は木村とともにおもちゃの家へ。工藤は彼女に意見をするつもりでしたが、おもちゃの手練手管にかかってミイラ取りがミイラになり、自分が彼女の旦那になってしまいます。
祇園の姉妹の結末
おもちゃは自分の作戦が次々と図に当たるのですっかり得意満面です。しかし、古沢が近くに住んでいると聞いた梅吉は旦那となった聚楽堂を捨て、古沢の元へ。しかも工藤が旦那になったことを木村に勘付かれ、彼から恨みを持たれます。木村は工藤の妻に事情を話して家庭争議を起こさせ、さらにおもちゃを騙してタクシーで連れ出します。乱暴されると思ったおもちゃは走行中のタクシーから飛び降り、大怪我をする羽目に。結局、梅吉も古沢に捨てられ、性格の違う姉妹はそれぞれ芸妓という職業のせいで涙を流すのです。
この映画の感想を投稿する