五番町夕霧楼(ごばんちょうゆうぎりろう)の紹介:1980年日本映画。直木賞作家水上勉の同名小説を原作とした作品。京都の五番町遊廓を舞台に若い遊女夕子と幼馴染の修行僧正順の悲恋を描いていきます。松坂慶子、奥田瑛二が狂おしい愛に翻弄されていく男女を体当たりの演技で熱演しています。
監督:山根成之 出演者: 松坂慶子(片桐夕子)、奥田瑛二(櫟田正順)、浜木綿子(夕霧楼女将・かつ枝)、長門裕之(竹末甚造)、風吹ジュン(敬子)、根岸季衣(照千代)、 加藤嘉(櫟田承源)、佐分利信(田上慈州)、織本順吉(臨源寺玄悠)、奈良岡朋子(櫟田まさ)、ほか
映画「五番町夕霧楼(1980年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「五番町夕霧楼(1980年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
五番町夕霧楼の予告編 動画
映画「五番町夕霧楼(1980年)」解説
この解説記事には映画「五番町夕霧楼(1980年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
五番町夕霧楼のネタバレあらすじ:起
昭和25年、京都府丹後。貧しき木こりの娘片桐夕子は家族を支えるため、京都西陣にある遊郭五番町夕霧楼に売られることになりました。夕霧楼の女将かつ枝は、夕子の美貌に目を付け、さっそく上客に売り込み始めます。
京都へやってきた次の日、夕子は幼馴染の大学生櫟田正順に会うため、正順が住み込み先で修行している鳳閣寺を訪ねます。母まさから預かった正順の尺八を届けるためでした。しかし正順はまだ大学から帰ってきておらず、会うことは叶いませんでした。
その後、夕子の水揚げが決まります。相手は西陣の帯問屋の大旦那、竹末甚造でした。
五番町夕霧楼のネタバレあらすじ:承
正順は夕子から会いたいと綴られた手紙を受け取りますが、学業と寺の修行に追われ、外出もままなりません。正順が京都へやってきたのは鳳閣寺で禅を学ぶためでもありましたが、鳳閣寺の実態が金儲け主義であることに不満を募らせており、鬱屈とした日々が続いていきます。
そうこうするうちに夕霧楼に甚造がやってきて、夕子は初めて客に抱かれました。甚造は瞬く間に夕子の妖艶な美しさの虜になり、夕子を寵愛し始めます。
ある日、正順からなんとか都合を付けて会いにいくと書かれた手紙が届きます。夕子は一見の客を取りたいと女将に頼み込んで店先に座り、正順の来訪を待ちます。夕霧楼にやってきた正順は、見世張りする夕子を見てショックを受けますが、なけなしの金をはたいて夕子を買います。
夕子は正順との再会を心から喜びますが、事情を知らない正順は、遊女へ身を落とした夕子を軽蔑します。正順は、抱いてとすがりつく夕子を汚いと罵り、帰ってしまうのでした。夕子は寂しさを埋めるように次々と客を取り、やがて夕霧楼きっての人気遊女へとのし上がっていきます。
五番町夕霧楼のネタバレあらすじ:転
ある日、再び正順が夕子を訪ねてきました。正順は酷いことを言ってしまったと謝罪し、いつか実家の寺を継ぐ日が来たら一緒に丹後に帰ろうと夕子に語り掛けます。夕子も一生懸命働き、必ず借金を返して見せると約束します。
それからというもの二人は丹後に帰る日を夢見て、がむしゃらに働きます。正順は大学をさぼって闇市で日銭を稼ぎ始めます。鳳閣寺での修行への意欲はすっかり失なわれていました。一方夕子は微熱や咳などの体調不良に悩まされるようになります。
ある日、正順は闇市場で同業者から恨みを買われて警察沙汰を起こし、正順の廓通いも鳳閣寺の長老の知られることとなってしまいました。騒ぎを聞きつけ京都へ駆けつけた母まさは夕子に会いに行き、これ以上息子と関わらないで欲しいと告げます。
五番町夕霧楼の結末
やがて夕子が大量に吐血し、病院へと担ぎ込まれます。夕子は労咳を患っていました。夕子は正順には入院を知らせないことを決意しますが、夕子に会えなくなった正順はますます情緒不安定に陥り、さらに寺の長老から罰を与えられたことに不満を抱いて、寺を飛び出します。正順は夕霧楼の遊女京子から、夕子が入院したことを聞きだします。
正順は夕子を病院から連れ出すと、子供の頃からずっと好きだったことを告白、二人は結ばれます。そして正順は夕子に尺八を預け、鳳閣寺へと戻っていきました。その夜、正順は鳳閣寺に火を放ち、自らも命を絶ちました。
正順の死を知った夕子もまた病院から姿を消します。夕子は故郷丹後の海辺に佇んでいました。そして正順の後を追うように自ら命を絶つのでした。
以上、映画「五番町夕霧楼」のあらすじと結末でした。
やはり佐久間良子の五番町夕霧楼が良い