真昼の欲情(別題:神の小さな土地)の紹介:1958年アメリカ映画。黄金の夢にとりつかれた老農夫タイ・タイ。失業中の女婿ウィルは工場再開と義理の妹に妄執をいだく。南部の農夫一家を描いてベストセラーとなったアスキン・コールドウェルの小説の映画化。老け役に取り組んだロバート・ライアンは『最前線』に続くアンソニー・マン作品の主演。アルド・レイとヴィック・モロウも『最前線』に続く共演であるだけでなく、製作者、脚本家、撮影監督、作曲家も『最前線』と共通。脚本はフィリップ・ヨーダン名義になっているが、赤狩りでブラックリストに載せられ当時は名前を出せなかったベン・マドウが実質的脚本家であると考えられている。なお、日本公開時のタイトルは『真昼の欲情』で『神の小さな土地』のタイトルでDVDが発売された。劇場公開版とDVDになったUCLA修復版とではいくつか異同箇所が見られる。
監督:アンソニー・マン 出演者:ロバート・ライアン(タイ・タイ)、アルド・レイ(ウィル・トンプソン)、ティナ・ルイーズ(グリゼルダ)、バディ・ハケット(プルート・スウィント)、ジャック・ロード(バック)、フェイ・スペイン(ジルちゃん)、ヴィック・モロウ(ショウ)その他
映画「真昼の欲情(神の小さな土地)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「真昼の欲情(神の小さな土地)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「真昼の欲情(神の小さな土地)」解説
この解説記事には映画「真昼の欲情(神の小さな土地)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
真昼の欲情のネタバレあらすじ:穴だらけの土地
大恐慌時代のジョージア州。タイ・タイ・ウォールデンは、自分の土地のどこかに祖父が財宝を埋めたと信じ、この15年間、次男のバックと三男のショウと共にあちこちを掘り返し、今や彼の土地は大きな穴だらけだった。
バックの美しい妻グリゼルダは、タイ・タイのお気に入りの嫁だが、彼女が昔の恋人で町の紡績工場の同僚だった。今はタイ・タイの長女、ロザムンドと結婚しているウィルのことを、まだ思い続けていることにバックは不満を募らせ、グリゼルダの方はバックがいつまでもウィルの話をもち出すのを嫌っていた。
ある日、タイ・タイの友人で郡保安官に立候補して選挙運動中のプルートがタイ・タイに沼地にアルビノ(白子)がいると教える。アルビノには地面を透視する秘密の力があると言われたタイ・タイは、彼を捕まえてくると決意。アルビノの透視に備えてタイ・タイは神に許しを請いて「神の小さな土地」の目印の十字架を移動する。
神の小さな土地とは、27年前にタイ・タイが今は亡き妻と結婚した時に教会の土地と決めた場所で、収穫をそこに捧げていた。そして信心深いタイ・タイが神を感じる場所であった。今まで神の小さな土地は掘らなかったが、ひょっとしたらその下に黄金があったかもしれない。
真昼の欲情のネタバレあらすじ:黄金探索
プルートはタイ・タイの末娘、ジルちゃんとの結婚を望んでいるが、ジルちゃんが男たちを挑発しているのが心配。タイ・タイはアルビノが黄金の場所を探り当てる記念すべき日を家族皆で祝うために、プルートにジルちゃんを連れてピーチトゥリー谷に行って、ウィルとロザムンドの夫婦を連れてくるように頼む。
だが、ジルちゃんが姉の家に行くと、ロザムンドはすすり泣いている。ウィルのいた紡績工場は6か月操業していない。ウィルは労働者のリーダーで皆にあてにされている。彼は死に瀕している町を工場再開によって蘇らせようと考えているが、工場再開はロザムンドの見るところ不可能な状況だった。
そして毎夜、外で酒を飲むウィルは、その夜も酔って帰り、グリゼルダと結婚寸前だったが農夫になるのが嫌で結婚しなかったという話をする。
さらわれてきたアルビノのデイヴは朝に起こされ、タイ・タイに柳の枝をもたされ、その気にさせられ黄金探索をする。探り当てた場所は家のすぐ側、神の小さな土地を移したばかりの場所だったが、タイ・タイは今度は、川辺に目印の十字架を移してしまう。
夜にはプルートのトラックでジルちゃんやウィルとロザムンドが来て、タイ・タイは家族の集合を喜ぶ。
真昼の欲情のネタバレあらすじ:ジム・レズリーの屋敷
今度こそ黄金が出ると思ってタイ・タイたちはどんどん穴を掘るがやはり黄金は出ない。穴掘りは無駄と言い農夫をばかにするウィルと、ウィルを紡績屋と呼ぶバック、ショウはけんかになり、タイ・タイが仲裁しなければならない。いい思いをしたのはジルちゃんと仲良くなったアルビノのデイヴだけだった。
黒人の使用人、フェリクスは、タイ・タイに穴掘りはやめて昔のように綿花を作ろうと勧める。でも農場には当面の食糧の貯えもない。タイ・タイはオーガスタで富裕な綿花ブローカーになっている長男ジム・レズリーに金を借りることにする。
一家で一つの自動車に乗ってオーガスタへ行き、留守番のフェリクスは農場を救うためと思ってデイヴを追い出す。
タイ・タイはジルちゃんとグリゼルダを連れてジム・レズリーの豪邸に入る。はした金をやって引き取らせようという息子の態度や、彼がグリゼルダを口説き始めたことにタイ・タイは怒るが、とにかく金を借りることができた。
のどが渇いた息子たちはサルーンに入ってビールを飲むが、バックとウィルは泥酔。特にウィルは今晩こそ工場の電源を入れると騒ぐ。ちょうどタイ・タイを探しに来たプルートのトラックでウィル夫婦をピーチトゥリー谷に送ってもらうことにするが、ロザムンドは夫に無謀なことをさせないようにグリゼルダに同行してほしいと願い、グリゼルダ、それからジルちゃんもトラックに乗る。
真昼の欲情のネタバレあらすじ:工場の電源
家でひと眠りしたウィルは、工場に電源を入れると言って、妻の制止もきかずに出ていく。同僚たちに今晩こそやると言って工場のゲートをこじあけて中に入っていくウィルに、グリゼルダがついていく。
グリゼルダに説得されてウィルは、いったんは工場から出るが、ゲートの前に集結した労働者や町の人たちを見て、グリゼルダをゲートの外に残して、再び工場に入る。
間もなく工場の窓に光がともり、機械が6か月ぶりに動きだす。ウィルは次々と機械のスイッチを入れるが、異変に気付いた守衛に撃たれる。人々は彼の亡骸を家に運んだ。
真昼の欲情の結末:タイ・タイの誓い
ウィルの葬儀の直後、家族はタイ・タイの家に集まるが、ジム・レズリーがまたもグリセリダを口説き始めたので、バックは兄につかみかかろうとする。兄弟の争いを止めようとしたタイ・タイは頭にけがをし、黄金探しにかまけた報いを感じることになる。
農具を兄に突き刺そうとしたバックからタイ・タイは身を挺してジム・レズリーを守る。息子たちの命を救った神に感謝し、もう黄金探しをせずに畑仕事をすることを誓う。
やがてプルートは保安官に就任し、タイ・タイの一家は使用人たちと畑仕事に精を出す。バックも妻に優しくなった。でも、畑に古いシャベルの刃が埋まっているのを発見したタイ・タイは、「今日だけは」と言ってまた黄金を求めて穴を掘りだすのだった。
以上、映画「真昼の欲情」のあらすじと結末でした。
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