ゴッズ・オウン・カントリーの紹介:2017年イギリス映画。2017年サンダンス映画祭ワールド・シネマ ドラマ・コンペティション 監督賞受賞、ベルリン映画祭パノラマ部門出品テディ賞受賞など、世界中で注目され高評価を得た本作はフランシス・リーの初監督作。“神の恵みの地”と呼ばれるイギリス・ヨークシャー地方の美しい風景の中、どうにもならない現実に閉塞感を感じる主人公。酒とセックスに逃避する彼の前に現れたのは異国からの労働者。この物語は男性同士の恋愛を描きながら、人と人との心の交流、そしてその先にある希望を感じさせる作品になっている。
監督:フランシス・リー 出演:ジョシュ・オコナー(ジョニー)、アレック・セカレアヌ(ゲオルゲ)、ジェマ・ジョーンズ(ジョニーの祖母)、イアン・ハート(ジョニーの父)、ジョン・マックレア(青年)ほか
映画「ゴッズ・オウン・カントリー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ゴッズ・オウン・カントリー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ゴッズオウンカントリーの予告編 動画
映画「ゴッズ・オウン・カントリー」解説
この解説記事には映画「ゴッズ・オウン・カントリー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ゴッズオウンカントリーのネタバレあらすじ:起
イギリス、ヨークシャー州。しがない農家の息子ジョニーは今朝も二日酔い。厳しい祖母に小言を言われながら、バイクで山の牧場に向かい、崩れかけの石垣を目にしますがそのまま放置します。その後、出産間近の雌牛に声を掛け、別の牛をトラックに乗せ競りの会場へとやってきたジョニー。無事に牛が売れカフェで食事にありつくと、白衣の青年と目が合いました。二人はトラックの荷台で慌ただしく行為に及びますが、名残惜しそうな相手をあしらいジョニーはそそくさと帰路につきます。家に着くと納屋には死産した仔牛の死骸と佇む父の姿がありました。病気で体の自由のきかない父にはなす術もなく、新たに人を雇ったから迎えに行けとジョニーに命令するのでした。
その夜、初めて会ったその男はゲオルゲ。ひげ面でがっしりしたルーマニア人です。英語の話せるゲオルゲは、羊の出産が重なるこの時期に一週間だけ雇われたのです。寝泊まり用のトレーラーに案内され、ジョニーの“ジプシー”という差別的な呼びかけにも静かに耐えるのでした。
深夜、酔って帰宅したジョニーは外で眠ってしまい、翌朝父とゲオルゲが山から戻ってきたころようやく目覚める始末。「石垣を直せ」と父は怒ってジョニーに言い放ちます。
ゴッズオウンカントリーのネタバレあらすじ:承
ジョニーとゲオルゲは二人きりで一週間山にこもり羊の世話をすることに。死産かと思われた仔羊を見事生かしたゲオルゲに対しジョニーは素直になれません。夜、小屋で二人はただ背中を向けて眠れない時間を過ごします。翌朝、裸で体を拭くゲオルゲをチラチラ見るジョニー。“ジプシー”と呼びゲオルゲの怒りを買ったジョニーは彼に組み伏せられ、力の差を思い知らされます。気まずい雰囲気のまま二人で石垣を直していると、ジョニーが手の平にケガを。すかさずゲオルゲは自分の唾をつけて手当しました。
その夜、用を足すため外に出たゲオルゲを追ってきたジョニーは唐突に彼に襲い掛かります。最初は抵抗したものの押し倒されたゲオルゲはされるがまま、二人は初めて一線を越えました。
次の日の出産は死産、ゲオルゲは手際よく死んだ仔羊の皮を剥ぎ先日の仔羊に被せました。徐々に距離を縮める二人はその夜キスを交わし、やがてお互いを求め愛し合いました。翌朝二人は並んで、寂しくも美しい風景を見るのでした。
ゴッズオウンカントリーのネタバレあらすじ:転
家に戻ってからも家族の目を盗んでイチャイチャする二人。そんな中、ジョニーの父が倒れてしまいます。一命を取りとめた父は入院し、祖母が付き添っているため家にはジョニーとゲオルゲの二人だけ。一緒に風呂に入り、ゲオルグはお父さんがよくなるまで残ってもいいとジョニーに言います。
翌日、二人が山から羊をおろしに行っている間に祖母が服を取りに戻ってきます。ジョニーのベッドで二人の行為の痕跡を発見し彼女はショックを受けます。何となくそれに気づいたジョニーはゲオルゲを飲みに誘います。そこでジョニーはゲオルグにずっといてほしいと頼みますが、今のままでは牧場経営はダメになる、と彼は首を縦に振りません。祖国でも同じような経験をしていたので、覚悟の感じられないジョニーとではうまくいくはずがないと思っていたのです。
しばらくして、酔ったジョニーは酒場のトイレで以前のように適当な相手とゆきずりのセックスをしてしまいます。地元の人間に嫌がらせをされたゲオルゲは帰ろうとトイレにジョニーを迎えに行きますが、そこでジョニーの裏切りを知ってしまいます。ゲオルゲは急いで荷物を持ってジョニーの家から出ていくのでした。
ゴッズオウンカントリーの結末
父が退院してきました。以前より更に動けなくなっています。一人牛舎の掃除をしながら、壁にかかったゲオルゲの服にそっと手を伸ばすジョニー。夜になり、ゲオルゲのいたトレーラーで暴れるジョニーは、そこで彼が忘れていったセーターを見つけます。愛おしそうに袖を通したジョニーは翌日、思い切ってゲオルゲの携帯電話にかけてみました。しかしそれは留守番電話…。
心を入れ替えたように働き、父の介護もするようになったジョニー。ある日ジョニーは父と散歩にでかけます。「石垣を直したんだな」と父。意を決してジョニーは「あいつを連れ戻しに行きたい。そして今までのやり方を変えたい」と父に訴えます。父の理解を得て出かけようとするジョニーに祖母がそっとゲオルゲの居場所を教えてくれました。長距離バスに乗り、ようやく着いたのは近代的な大規模農場でした。長い時間そこでゲオルゲを待っていたジョニーは眠ってしまっていました。ようやく現れたゲオルゲは迷惑そうです。「羊、元気になったよ」ぎこちない会話は続かず、もうあきらめるしかないのかと思った次の瞬間、ジョニーは切ない気持ちを溢れさせ本心をゲオルゲにぶつけました。
ジョニーの思いが通じたのか「ヘンタイだな」とゲオルゲ。「ホモ野郎」とジョニー。
二人の気持ちは一つに重なり、慈しむようなキスからその場でしっかりと抱擁するのでした。
バスに乗って帰ってきた二人。トレーラーを売り、これから彼らの家で新しい生活が始まるのです。
以上、映画「ゴッズオウンカントリー」のあらすじと結末でした。
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