午後の遺言状の紹介:1995年日本映画。避暑地を訪れた老女優と様々な人々との出会いや出来事などを通じて、人間の老いや死、そして生きる意味を問いかける人間ドラマです。杉村春子の最後の映画主演にして乙羽信子の遺作ともなった作品です。
監督:新藤兼人 出演者:杉村春子(森本蓉子)、乙羽信子(柳川豊子)、朝霧鏡子(牛国登美江)、観世栄夫(牛国藤八郎)、瀬尾智美(あけみ)ほか
映画「午後の遺言状」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「午後の遺言状」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「午後の遺言状」解説
この解説記事には映画「午後の遺言状」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
午後の遺言状のネタバレあらすじ:起
大ベテランの舞台女優・森本蓉子(杉村春子)は、この年も避暑のため蓼科高原の別荘にやって来ました。旧知の仲である別荘の管理人・豊子(乙羽信子)とその娘・あけみ(瀬尾智美)の出迎えを受けた蓉子は、別荘の庭の手入れをしてもらっていた「ろくべえ」が死んだことを知ります。その翌日、別荘に蓉子の劇団仲間だった牛国登美江(朝霧鏡子)と夫の藤八郎(観世栄夫)が訪れます。登美江は数年前から認知症を患っており、能役者だった藤八郎は仕事を辞めて介護をしているのです。登美江は時折正気を取り戻す時があり、蓉子がチェーホフの「かもめ」の一節を朗読すると一瞬我に返るのですが、しばらくするとまた症状がぶり返してしまうのです。
午後の遺言状のネタバレあらすじ:承
ある日、拳銃を持った脱獄囚(木場勝己)が別荘に押し入り、蓉子らに食事を要求してきました。そこに警官隊が駆け付けて脱獄囚を逮捕、蓉子らは逮捕に協力したということで感謝状を贈られます。翌日、牛国夫妻は別荘を後にして旅立っていきます。そこで豊子は蓉子に衝撃の告白をします。豊子は蓉子の亡き夫・三郎(津川雅彦)とかつて不倫関係に陥り、あけみの父は三郎だったというのです。しかし、あけみが近々結婚を控えていることもあり、あけみを実の娘のようにかわいがっていた蓉子は豊子を許します。
午後の遺言状のネタバレあらすじ:転
あけみは婚約者(松重豊)と共に、地元に古くから伝わる、結婚式を前に行われる儀式「足入れ」に参加します。地元の人々が男女の交わりをイメージしたパフォーマンスを行い、その後にあけみは婚約者と小屋に入って交わるのです。この光景を見た蓉子は、舞台への意欲が湧き上がってくるのを感じていました。しかしその翌日、矢沢(倍賞美津子)というルポライターが訪れ、牛国夫妻が心中したという知らせを告げます。夫妻は蓉子に遺書を書き遺していたのです。衝撃を受けた蓉子は豊子と共に、矢沢の案内を受けて牛国夫妻の最期の足取りを追い始めます。
午後の遺言状の結末
牛国夫妻は持ち金の全てをはたいて地元の高級旅館で最期の日々を過ごし、最期は二人で手を取り合って海に入水していったのです。蓉子と豊子は二人を思い、海に向かって手を合わせます。蓉子は改めて仕事への意欲を語り、別荘に戻ります。東京に帰る日、蓉子は豊子に来年の再会を誓うと、自分が死んだ時にこれで棺桶の釘を打ってほしいと石を渡します。蓉子が去った後、豊子は蓉子に長く生きて欲しいとの思いから、預かった石を河原に投げ捨てました。
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