善き人の紹介:2008年イギリス,ドイツ映画。自らの描いた小説がホロコーストの後押しをしてしまった。家族を守るか友人を守るか、ハルダーの奔走が始まる。ナチス政権下のドイツで葛藤する大学教授の日々を描く。
監督:ヴィセンテ・アモリン 出演:ヴィゴ・モーテンセン(ジョン・ハルダー)、ジェイソン・アイザックス(モーリス)、ジョディ・ウィッテカー(アン)、スティーヴン・マッキントッシュ(フレディ)、マーク・ストロング(ボウラー)、ジェマ・ジョーンズ(ハルダーの妻)、アナスタシア・ヒル(ヘレン)、ほか
映画「善き人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「善き人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
善き人の予告編 動画
映画「善き人」解説
この解説記事には映画「善き人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
善き人のネタバレあらすじ:起・きっかけは小説
大学で文学をおしえるハルダーは、ピアニストの妻と、二人の子供、そして結核を患う母と暮らしていた。妻のヘレンはピアノを弾いてばかりな挙句、彼女の父親は家へやってきてはナチスへの入党を勧めた。講義に訪れる、熱心な生徒アンに、ハルダーは愛のために妻を殺そうとする夫の話を執筆中だと語った。ハルダーの小説に興味を持った総統は、不治の病などの苦痛から解放させるために恩寵の死を与えることが、人道に反していないという論文をハルダーに書くように求めた。そしてなぜまだ党員でないのか尋ねたが自分のような専門家が欲しいだけだ思い、断り続けていた。小説が総統に気に入られたと報告しても妻ヘレンはピアノを弾いてばかり。ハルダーは仕事部屋を借り、アンが出入りをし始めた。そこへ友人でカウンセラーのモーリスがヘレンがおかしくなっていると忠告しに来た。そして別居中の妻ではなくアンを同伴して党のパーティに連れて行くと、義父に見咎められたたものの、アンがアーリア系なので遊びを見逃された。 自宅へ帰ると、台所で錯乱する妻と、階段から転んで落ちた母がいた。ハルダーは生きていても辛いだけと懇願する母親を、世話人シャウラーのいる家へ下宿させることにした。
善き人のネタバレあらすじ:承・相談役のSS
ハルダーは入党し、結果、大学では学部長に昇進したが、ユダヤ系のモーリスは、入党した彼をなじった。愛ゆえに不治の病の妻を殺す小説は映画になり、彼も親衛隊(以降SS)大尉になり、ゲッペルスからはメッセージ性があると褒められた。その頃既にアンが正式な妻となっていたが、前妻と子供達には会い続け、ユダヤの星の描れたモーリスの部屋にも訪ねた。メイドも雇えず、タイプライターは没収されカウンセラー業も続けられない。正規の出国手続き踏めば財産は没収、10マルクしか持ち出せない、頼れるのは、SSのハルダーだけだとパリまでの切符を頼んだ。ハルダーは自分が教授職であることから、旅行ビザでパリまでの切符を買おうとするが、他のSS隊員に怪しまれ、母がいると言って別の場所までの結局切符を買った。当の母親は下宿では、休暇を取ったシャウラーに放置されていた母は、薬を持つハルダーがやってくるとありったけの薬を飲み、自殺未遂をした。モーリスにその事を話すと、そのうち監禁されるよりまし、今はSSとユダヤ人、ただそれだけの関係だと激昂された
善き人のネタバレあらすじ:転・恩寵の死はあるのか
母の墓前で、ハルダーは母を思って厳しく接していたのだと一緒に来たヘレンに語った。彼女は今では、仕事と家事をし、子供たちはSSの父親を家族の誇りだと思っていると伝えた。とある障碍者施設を所長は、あの論文を書いたハルダーが医師ではない事に驚いたが、彼は人道面での相談役だと自嘲した。ある夜、パリの駐在書記官がユダヤ人に撃たれ、夕食を共にしようとしていたドロビッシュに出頭要請が下った。彼が死んだら、ユダヤ人が地獄を見る、世間が彼らに憤慨するように、デモの計画を立てに行くと言って出て行った。不安を感じたハルダーは大学に忘れ物だと嘘を吐き、SSの権力を利用し、パリへの切符を買い、モーリスの家へ届けに行ったがおらず、明日までに自分の家へ来るようにメモを置いた。書記官が死亡し、ハルダーにも出頭要請が来た。彼は切符をアン託して渡そうとするが拒まれ、混乱する街で暴徒をを取り締まるふりをして再びモーリスの家を訪ねた。それでも見つからず、ユダヤ人を連行していくトラックからモーリスを探し出そうとしたが、出来なかった。
善き人の結末:モーリスを探して
ハルダーは、モーリスがかかりつけ医で、治療行為を禁止された後も交友があった事を指摘され、論文がユダヤ人の見地から書かれていおり、戦時中は協力をしてくれるように釘を刺された。どうしてもモーリスを探したいハルダーは、再移住計画をしている部署で、名前から居場所を突き止められるか確かめたいといってモーリスの書類を確かめた。そこには、あの夜、ハルダーの家へやって来た彼はアンによってシレジアへ移送された記録が残っていた。そしてシレジアの収容所で、同じように、任意の人名が見つかるかどうかで実験がしたいと称し何とかモーリスを探し出そうとした。しかしここでは名前ではなく番号、10人中9人は処分され、二ヶ月もいない、特定は不可能だと言われてしまった。収容所内にはいたるところに死体が放置され。その一角で、小さなオーケストラがマーラーを弾いていた。これが現実かとつぶやく彼の前で曲は巨人の第三楽章に変わった。
以上、映画「善き人」のあらすじと結末でした。
善き人のレビュー・感想:ハルダーと音楽
シレジアの現状を見るまでは、自分がフィクションとして書いた小説によって何が行われてきたのか、恩寵の死の行き着く先何なのか知る由がなかった。彼が現実がとつぶやいた瞬間、楽隊の奏でる音楽は、彼が美しいと感じていた旋律から、重々しい巨人の足音に変わる。
この映画の感想を投稿する