大いなる自由の紹介:2021年オーストリア, ドイツ映画。第二次世界大戦後のドイツ。同性愛を禁じた刑法175条のもとハンスは性的指向を理由に何度も投獄される。同房の囚人ヴィクトールは「175条違反者」である彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、彼がナチスの強制収容所にいたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知 しているヴィクトール。2人の関係は次第に絆へと変わっていく。カンヌをはじめとする世界各国の映画祭を席巻した静かな衝撃作。
監督:セバスティアン・マイゼ 出演:フランツ・ロゴフスキ(ハンス・ホフマン)、ゲオルク・フリードリヒ(ヴィクトール)、アントン・フォン・ルケ(レオ)、トーマス・プレン(オスカー)ほか
映画「大いなる自由」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大いなる自由」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「大いなる自由」解説
この解説記事には映画「大いなる自由」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大いなる自由のネタバレあらすじ:起
1945年、ナチスの強制収容所が連合軍によって解放された中、同性愛者のハンス・ホフマンは強制収容所から刑務所へと移送されました。1871年に制定されナチによって厳罰化された男性同性愛を禁ずる刑法175条により、残りの刑期を務めあげるためでした。
同房となったヴィクトールは“175条違反者”である彼を嫌悪し、「ここから出て行け!!」と喧嘩腰でしたが、ある日ハンスの腕に掘られた番号から彼が強制収容所にいたことを知ります。ヴィクトールはハンスに新たな入れ墨で腕の番号を覆うことを提案し、刑務所内で調達したありものの粗末な道具でハンスの腕に入れ墨を掘り始めました。
しかし翌日、看守に見つかり疑いを向けられたヴィクトールを庇ったハンスは「俺のです」と答え、一人で罪を背負って不衛生で一切光のない懲罰房に裸で入れられました。そんなハンスにヴィクトールは看守を通じて煙草を差し入れました。
大いなる自由のネタバレあらすじ:承
1957年、ハンスは再び投獄されました。今度は恋人のハンスと一緒です。刑務所に入っても愛を貫こうとするハンスに対して、オスカーは2人の良い未来を想像することができませんでした。
そんな中、ハンスはヴィクトールと再会しました。「まだいるのか?」「お前こそ、まだ変態か?」と軽口をたたき合いましたが、2人は互いに信頼し始めていました。
ハンスは刑務所内で食事を担当しているヴィクトールにオスカーへの手紙を渡すよう頼みました。ヴィクトールはこの依頼を口淫してもらう条件で引き受けたのです。
-心配ない、絶対になんとかなる。
ハンスからの手紙を受け取ったオスカーは、愛しても結ばれることのない運命に苦しみ屋上から飛び降りてしまいました。取り乱したハンスをヴィクトールはただ抱きしめました。看守から力ずくに引き離された2人は懲罰房へと送られました。
大いなる自由のネタバレあらすじ:転
1968年、今度は新たな恋人で音楽教師のレオと共に刑務所へ戻ってきたハンス。すでに刑務所での経験が豊富なハンスは渡り歩くのが上手になっていました。レオに「無理やりやられた」と看守に告白させたハンス。自分も「レオに行為を強要した」と嘘の供述をし、レオは釈放されハンスの刑期は延びました。ハンスは教師であるレオの将来を守ったのです。
一方、長かった刑期を全うし仮釈放を控えたヴィクトールは、聴聞会の直前にトイレでドラッグを摂取し倒れてしまいました。
ハンスは「入れ墨のお返しだ」と言い、薬物にどっぷり浸かるヴィクトールを助けようとします。ところがある夜、ヴィクトールは激しい離脱症状から嘔吐を繰り返し、痙攣を起こしてしまいます。ハンスの介抱によって落ち着きを取り戻したヴィクトールは自らが犯した罪をぽつりぽつりと語り始めました。
その日の夜、2人は身体の関係を持ちました。
大いなる自由の結末
そんなある日、ハンスは刑務作業場に置かれた雑誌の表紙に書かれていた言葉に目を疑います。そこには“刑法175条の改正”と書かれていたのです。しかし、この刑法がなくなりハンスが自由になるということは、同時にヴィクトールとの別れを意味しました。
「一緒に脱獄しよう」
ヴィクトールにそう提案するハンスでしたが、2人にはそれが無理だと分かり切っていることでした。
出所したハンスは街へ出てバーに入りました。
“Große Freiheit(大いなる自由)”と書かれたネオンをくぐると、男同士が出会うためのバーであることが分かります。地下では男たちが思い思いに身体を交わらせていました。
ハンスは目配せしてくる男たちを無視して、おもむろに自動販売機で煙草を買いました。買ったのはハンスが好んでいた銘柄の煙草でした。そしてバーを後にしました。
街を歩くハンスはとあるショップの前で立ち止まりました。石を拾い上げるとショーウィンドウに向かって振り下ろし、中の商品を乱舞にポケットへと突っ込みました。
そして慌てる様子なく道端に座ったハンスは、煙草に火を点けると警察の到着を待つのでした。
以上、映画「大いなる自由」のあらすじと結末でした。
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