裸の島の紹介:1960年日本映画。瀬戸内海の孤島で懸命に生きる家族の姿を、新藤兼人監督が台詞を一切排して映像のみで描き切った作品。モスクワ国際映画祭でグランプリを受賞しました。
監督:新藤兼人 出演:乙羽信子(トヨ)、殿山泰司(千太)、田中伸二(太郎)、堀本正紀(次郎)、千葉雅子 ほか
映画「裸の島」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「裸の島」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「裸の島」解説
この解説記事には映画「裸の島」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
裸の島のネタバレあらすじ:起
千太とトヨは二人の幼い息子、太郎と次郎とともに瀬戸内海の小島で自給自足の生活をしていました。島には電気、ガス、水道はなく、夫婦は毎日小舟で隣の島まで農作業や飲料に使う水を汲みに出向いていました。島には学校がないので、長男の太郎は毎日トヨのこぐ舟に乗って隣島の小学校に通っていました。島は急な斜面が多いため、くんだ水を運んだり、農作物に水をやるのも大変な作業です。夫婦が農作業をしている間、次郎が海にもぐって食用の魚をとったりしています。
裸の島のネタバレあらすじ:承
夏のある日、農作業中によろめいて、くんできた水をこぼしてしまったトヨを千太は平手打ちします。夕方になり、トヨが食事の支度をしている間、千太と兄弟はドラム缶のお風呂に入ります。夜が来て太郎と次郎が眠った後がトヨの入浴時間です。休日には、一家は四人で隣島のお祭りに出かけたりして息抜きをします。苦労の末収穫した農作物を舟に積み隣島に運んで金に替え、いくばくかの日用品を買って島に戻ります。ある日、太郎と次郎が一匹の大きな魚を釣り上げます。夫婦の顔に珍しく笑みが浮かびます。
裸の島のネタバレあらすじ:転
四人は魚を売るために隣島の町へ出かけます。何軒も訪ね歩いた結果、ようやく魚が売れ、四人でめったにない外食をし、ロープウェイに乗り、つかの間の休息を楽しみます。ある日、太郎が家で熱をだして倒れこんでいるところを次郎が発見します。トヨが太郎を布団に寝かせ、濡れタオルで頭を冷やし、千太は舟で隣島まで医者を呼びに行きますが、医者が到着したときには、太郎は息をひきとっていました。翌朝、僧侶と教師、太郎の同級生たちが船でやって来ました。
裸の島の結末
島には墓などないので、畑の一角に掘られた穴に棺を納め、僧侶がお経を上げ、同級生たちが花を投げこんでいきます。夫婦はそれぞれがスコップを持ち、棺に土をかけて卒塔婆をたてました。翌日、農作業中に、トヨがふいに、ひしゃくを放り投げ、汲んできた水をぶちまけ、農作物を引きちぎり泣き崩れます。千太は、しばらく黙ってトヨを見守っていましたが、また何事もなかったかのように水をやる作業に戻りました。トヨも再び身を起こし、水をやり始めました。そして、舟で水を汲みに行き、畑に水をやるという単調な作業を、二人は来る日も来る日も黙々と繰り返していくのでした。
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