母と子の紹介:1938年日本映画。昭和の時代まで残っていた女性の地位「妾(めかけ)」の視点から家族の物語が描かれています。知栄子の母・おりんは、さる会社の重役のめかけにおさまる女性です。おりんの息子・孝吉は父親の跡とりとなり、父親と同じ会社で働いています。成長した娘・知栄子も父親の会社の社員との間で縁談の話が進んでいます。兄妹はともに運を掴んだかに見えますが、ワンマンな父親に振りまわされてかえって心に傷を負います。人生の移りゆきが速度を増すなか、母・おりんの美貌も若き日の面影を失いつつありました。昭和13年(1938年)キネマ旬報ベストテン第3位。名匠・渋谷実監督のデビュー作です。
監督:渋谷実 出演者:田中絹代(知栄子)、吉川満子(母・おりん)、佐分利信(寺尾)、河村黎吉(工藤)、徳大寺伸(孝吉)、水戸光子(しげ子)、松井潤子(おとよ)、斎藤達雄(岡部)、葛城文子(工藤夫人)、青野清(しげ子の父)、高松栄子(下宿のおばさん)、松尾千鶴子(お松)ほか