ハンズ・オブ・ザ・リッパーの紹介:1971年イギリス映画。「切り裂きジャック」の娘に待ち受ける過酷な運命を描いたホラー作品。精神分析に入れ込む医師プリチャードは、怪しげな降霊会で17歳の少女アンナに出会った。彼女はある条件を満たすと自我を失い、殺人を犯してしまう。プリチャードはアンナを研究に役立てるため引き取るが、凶行の原因は別のところにあった。彼女には父親である「切り裂きジャック」の霊がとり憑いていたのだ。
監督:ピーター・サスディ 出演者:エリック・ポーター(プリチャード)、アンガラッド・リース(アンナ)、ジェーン・メロウ(ローラ)、キース・ベル(マイケル)、デレク・ゴッドフリー(ダイサート)ほか
映画「ハンズ・オブ・ザ・リッパー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハンズ・オブ・ザ・リッパー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハンズオブザリッパーの予告編 動画
映画「ハンズ・オブ・ザ・リッパー」解説
この解説記事には映画「ハンズ・オブ・ザ・リッパー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハンズオブザリッパーのネタバレあらすじ:惨劇の始まり
舞台は19世紀末のイギリス、バーナー・ストリート。1人の紳士が松明を持った数人の男に追われています。紳士は追跡を振り切り家に帰りました。紳士の妻は連続殺人犯「切り裂きジャック」がまた現れたようだと怯えています。しかし、彼女の夫こそが切り裂きジャックの正体でした。紳士の手や服に血がついていたことからそれを察した妻は、その場で殺害されてしまいます。切り裂きジャックはベビーサークルで泣いている幼い娘アンナを抱き上げ、頬にキスをしました。揺らめく暖炉の炎と横たわる母の遺体。幼いアンナはその惨劇の記憶を失ってしまいます。十数年後。美しく成長したアンナは施設から引き取られ、インチキ霊媒師のゴールディング夫人のもとで降霊を行っていました。降霊会に参加した医師プリチャードは、子どもを利用した許しがたいペテンだと憤慨します。彼はフロイトの心理学に傾倒しており、霊の存在を一切信じていません。降霊会が終わり、外で馬車を待っていたプリチャード。ふと顔を上げると、アンナに迫る男の影が見えました。男は降霊会にも参加していた議員のダイサートです。ゴールディング夫人はアンナに売春を強要し、ダイサートが初めての客でした。ダイサートはアンナに宝石のついたブローチを贈ります。煌く宝石を見たアンナは、急に黙り込んで全く反応しなくなりました。苛立ったダイサートは彼女に暴力を振るいます。音を聞きつけたゴールディング夫人が慌てて現れ、金を突き返してアンナを庇いました。安心させるようにアンナを抱きしめ頬にキスをするゴールディング夫人。するとアンナの脳裏に幼い日の惨劇が浮かび、父の声が聞こえます。アンナは火かき棒を手に取りゴールディング夫人に襲い掛かりました。夫人の絶叫を聞きつけたプリチャードは、逃げるダイサートと入れ違いに家に入り座り込むアンナを発見。ゴールディング夫人はドアごと火かき棒で貫かれ絶命していました。
ハンズオブザリッパーのネタバレあらすじ:プリチャードの研究
翌日。警察の調べが入り、降霊会のメンバーが集められ事情聴取を受けます。警察はダイサートを疑っていましたが、プリチャードは彼を庇って嘘の証言をしました。プリチャードは留置場からアンナを引き取り、家に連れ帰ります。亡き妻の部屋を与え、メイドのドリーに世話を任せました。そこへ息子のマイケルと、婚約者ローラが帰って来ます。ローラは盲目ですが朗らかな女性で、アンナとも親しげに挨拶を交わしました。プリチャードが自室に戻ると、そこにはダイサートの姿があります。精神分析に入れ込むプリチャードは、殺人の原因は心に巣食う病だと考えていました。その研究のためにアンナを引き取ったのです。そしてダイサートを庇った理由は、議員の力でアンナの情報を集めて欲しいからでした。脅迫される立場になったダイサートは、忌々しい思いをしながら部屋を出ていきます。夜、ローラを歓迎するためレストランで晩餐会が開かれました。アンナはドリーに支度を手伝って貰うため、少し遅れて向かうことになります。ドリーはアンナの美しさを称賛し、大きな宝石が輝くネックレスをかけました。宝石の輝きを目にしたアンナは、再び正気を失ってしまいます。ドリーから頬にキスをされた瞬間、惨劇の記憶と父の囁きがアンナを支配しました。そしてドリーの首を掻っ切って殺害してしまいます。なかなかレストランにやって来ないアンナを心配して一足先に帰宅したプリチャードは、呆然と座り込むアンナと、血まみれのドリーの遺体を発見。アンナを自分の部屋で眠らせ、ドリーの遺体を隠します。
ハンズオブザリッパーのネタバレあらすじ:アンナの過去
プリチャードはアンナの過去について探ってみることにします。催眠術を使って記憶を引き出そうとしますが、アンナは恐ろしい記憶の断片を見て正気を失ってしまいました。そしてプリチャードが少し目を離した隙に姿を消してしまいます。呆然とバーナー・ストリートを歩くアンナは、「のっぽのリズ」と呼ばれる娼婦に目を付けられ拾われました。リズはアンナを娼婦にするため、自分の部屋に引っ張っていきます。しかし頬にキスをしてしまったため自我を失ったアンナに襲われました。バーナー・ストリートでアンナを探していたプリチャードの前に、長い針で手と目を刺されたリズが現れます。プリチャードは呆然と立っていたアンナを見つけると、急いで馬車に乗せ家に連れ帰りました。その後プリチャードは、ダイサートに紹介されたマダム・ブラーの家をアンナと共に訪ねます。彼女には人の過去を見る能力がありました。マダム・ブラーはアンナを見つめ、彼女の過去を霊視します。アンナの中には暴力が息づいており、誰か近い人の強い思いが残されていると話すマダム。アンナはキラキラと光るマダム・ブラーの眼鏡を凝視していました。マダム・ブラーはアンナの母が殺害された日を霊視し、アンナの父について「切り裂きジャック」と言い出します。切り裂きジャックの残虐な魂が今もアンナの中に残り、アンナは暴力に飢えた魂に取りつかれているのだと説明しました。マダム・ブラーはアンナに同情し、彼女を抱きしめて頬にキスをします。自我を失ったアンナはマダム・ブラーを刺殺してしまい、プリチャードは慌ててアンナを連れ帰りました。
ハンズオブザリッパーのネタバレあらすじ:終わらない惨劇
プリチャードの自室ではダイサートが待っていました。プリチャードはアンナが正気を失う原因を「またたく光」だと説明します。ゴールディング家の降霊会で、アンナは金の柵に入れられていました。柵の光と似ているものを見ると恐怖が蘇るのです。アンナは感受性が強いので、全て忘れられる世界として「霊界」を作り出し、今もその名残に囚われているのだと考えました。プリチャードは自分の説を立証するため、宝石の光をアンナに見せます。するとやはり彼女は正気を失った状態になりました。あとは何故殺人を犯すのか解明出来れば、アンナを救えます。しかしダイサートはこれ以上殺人の隠匿に関わるつもりはないと吐き捨て、事件の真相を公にすると言って出て行ってしまいました。進退極まったプリチャードはアンナに謝罪し、唇にキスをします。アンナはまたしても父の声を聞き、近くにあった剣をプリチャードの脇腹に深々と突き刺しました。アンナは自我を失ったまま玄関を出ます。そこにはちょうど出かけるところだったマイケルとローラがいました。未婚の彼らが2人きりで外出するのは許されないため、マイケルは強引にアンナを馬車に乗せてしまいます。何とか自力で剣を抜いたプリチャードは、虫の息になりながら急いでマイケルのオフィスを訪ねました。アンナとローラは聖ポール大聖堂に行ったと聞き、マイケルも連れて急行します。プリチャードは激痛に呻きながら自分の間違いを認めます。アンナは精神の障害などではなく、父である切り裂きジャックの霊にとり憑かれていました。アンナは光のまたたきでトランス状態となり、その際キスをされると父を最後に見た記憶を思い出してしまうのです。そして邪悪な霊はアンナを操り、次々と殺人を繰り返していました。
ハンズオブザリッパーの結末:呼び声
ローラはトランス状態に陥っているアンナの手を引きながら、聖ポール大聖堂の階段を登っていました。中央ドームの「ささやきの回廊」を目指しているのです。階段を登りきると円形の回廊があり、囁くような声が聞こえる構造になっていました。ローラはアンナを回廊の反対側に行かせ、「アンナ」と囁いてみます。アンナにはローラの声とは別に、父親の囁き声も聞こえました。パニックに陥るアンナはプリチャードに助けを求めますが、父の声は「お前を救えない」と告げます。様子がおかしいアンナを心配して、ローラが近付いて来ました。そして安心させるようにキスをしてしまいます。切り裂きジャックに憑依されたアンナはローラの首を絞めますが、そこにプリチャードの叫び声が響きました。手すりから下を覗くと吹き抜けになっており、瀕死のプリチャードが地上からアンナを呼んでいます。「私のもとへ来るんだ」と叫ぶプリチャード。アンナは微笑み、手すりを乗り越えて身を投げました。床に叩きつけられたアンナは死亡。プリチャードも彼女の隣に倒れて息を引き取り、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画ハンズ・オブ・ザ・リッパーのあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する