春との旅(はるとのたび)の紹介:2009年日本映画。北海道と宮城県を舞台に、年老いた祖父とその孫娘が長年疎遠になっていた親戚を訪ね歩くロードムービーです。二人は旅を続けているうちに、彼らのいままで辿ってきた人生などが浮かび上がっていきます。
監督:小林政広 出演者:仲代達矢(中井忠男)、徳永えり(中井春)、大滝秀治(金本重男)、柄本明(中井道男)、香川照之(津田真一)ほか
映画「春との旅」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「春との旅」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
春との旅の予告編 動画
映画「春との旅」解説
この解説記事には映画「春との旅」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
春との旅のネタバレあらすじ:起
北海道増毛町に住む老人の中井忠男(仲代達矢)はかつてニシン漁の漁師をしていましたが、足を悪くしてからは仕事を辞め、孫娘の中井春(徳永えり)と二人で暮らしていました。忠男は妻に先立たれ、春の母である娘を自殺で失っていました。春は足の不自由な忠男の面倒を見ながら近くの小学校で給食を作る仕事をしていましたが、学校の廃校が決まったことから東京で次の仕事を探そうと決意、忠男を一人残して置けないことから長年疎遠になっていた忠男の兄弟に面倒を見てもらおうと二人で訪ね歩く旅に出ます。
春との旅のネタバレあらすじ:承
忠男と春は最初に長兄の金本重男(大滝秀治)のもとを訪れます。忠男は家を継がず金持ちの婿養子となった重男とは昔から折り合いが悪いのですが、それでも忠男は重男の元に置いてほしいと頼みます。しかし、重男は妻の恵子(菅井きん)と共に老人ホームへの入居が決まっていたため断念せざるを得ませんでした。続いて忠男と春は末弟の幸男の元を訪れますが、幸男の交際相手の清水愛子(田中裕子)によると幸男は人の罪を被って服役しているのだといいます。
春との旅のネタバレあらすじ:転
続いて忠男と春は、鳴子温泉で旅館を営む姉の市山茂子(淡島千景)のもとを訪れますが、茂子は忠男に春だけは犠牲にするなと釘を刺します。跡継ぎのいない茂子は春だけここに置いて旅館を継がせようとしましたが、春は忠男のことを考え申し出を断ります。もはや残る兄弟は仙台で不動産業を営む弟の道男(柄本明)のみ。しかし道男は既に引っ越しており、ホテルに泊まろうにもどこも埋まっており、歩き疲れた忠男は愚痴をこぼして春と喧嘩になりますが、泣き崩れた忠男を春は優しく受け止めます。やがて道男は高級マンションに引っ越していたことがわかりますが、道男は商売が上手くいかなくなっており、それでも見栄だけは張っていました。忠男は道男を叱りつけますが、それでも道男は二人のためにホテルを用意してくれました。結局、兄弟で忠男を受け入れてくれる者は誰一人もいませんでした。
春との旅の結末
旅の途中、春はふと長年会っていなかった父・津田真一(香川照之)に無性に会いたくなり、二人は真一の経営する牧場に行きます。真一は再婚相手の伸子(戸田菜穂)と暮らしており、忠男と伸子の計らいで春は真一と二人だけの時間を過ごすことに。春の母と離婚した原因は母の浮気にあり、真一はそれを許せず、結局母はそのことを苦に自ら命を絶っていたのです。春はそれまで胸に抱えていた想いを吐き出し、真一は春を優しく抱きしめました。伸子は忠男にここで一緒に暮らそうと提案しますが、忠男はその気持ちだけで十分だと断ります。忠男と春は思い出のそば屋でそばをすすり、春はずっと忠男と一緒にいると約束します。そして帰りの列車の中、忠男は眠ったまま床に崩れ落ち、春の呼びかけに応じることはありませんでした。
いわゆる、孫と祖父が、親戚の家を訪ねて回るというロードムービーですが、こういう映画は大好きです。
特に、徳永えりの演技が素晴らしかったです。いかにも田舎育ちの女の子といったかわいらしい仕草が良かったし、足の悪いおじいちゃんを傍らで支えながら旅を続けるいじらしさは胸を打たれました。
全体的に地味な映画ですが、素晴らしい作品だと思います。