ハウンターの紹介:2013年カナダ,フランス映画。15歳のリサは、ある平凡な1日をずっと繰り返していることに気付きます。うんざりしながら同じ毎日を過ごしていましたが、少しずつ生活に変化が起こり、真相が明らかになっていくSFホラー。監督は「CUBE」のヴィンチェンゾ・ナタリ。
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ 出演:アビゲイル・ブレスリン(リサ)、ピーター・アウターブリッジ(ブルース)、ミシェル・ノルデン(キャロル)、スティーヴン・マクハティ(青白い男)、ピーター・ダグーニャ(ロビー)、ほか
映画「ハウンター」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハウンター」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハウンターの予告編 動画
映画「ハウンター」解説
この解説記事には映画「ハウンター」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハウンターのネタバレあらすじ:起・誕生日の前日
どこからか「リサ・・・」と呼ぶ少女の声がします。ある朝、15歳のリサは「リサ・ジョンソン!海賊の宝を見つけたよ!エドガーもいるんだ。秘密の洞窟においでよ!」とトランシーバーで元気に知らせてくる、弟ロビーの声で目が覚めます。エドガーはロビーの空想の友達です。リビングに行くと、ロビーはレトロなテレビゲームで遊び、母キャロルは朝食の準備をしながらリサに洗濯を頼み、ロビーにメガネをかけるように注意します。父ブルースは、ガレージで車の修理中です。キャロルに「明日の誕生日どこへ行きたい?」と聞かれますが、「明日聞いて」と素っ気なく答えるリサ。リサは、明日の16歳の誕生日が来ないことを知っていました。いつの日からか、16歳の誕生日の前日を永遠に繰り返していることに気が付いたからです。
朝はロビーのトランシーバーの声で起こされ、母に頼まれて洗濯をしますが洗濯物が足りなくなっていると言われ、ロビーはメガネを失くし、父ブルースはガレージで車の修理をし、夜は家族でミステリードラマを見る毎日。おまけに電話が故障している上に、霧が深いため外には出られません。家族には「ずっと16歳になる前日のままなのよ、永遠にここから出られない」と何度も訴えてきたのですが信じてもらえず、次の日もまた同じ1日が繰り返されるだけでした。
次の日もキャロルは朝食を作りながらリサに洗濯を頼み、ロビーはメガネを失くし、ブルースは車の修理をしています。またいつもと同じ日と思われましたが、リサが地下室で洗濯をしていると、洗濯機の裏側から異音がしてきました。洗濯機を動かそうとしますが、突然洗濯機の蓋がバン!と閉まって怖くなり、リビングに戻ります。すると、不通のはずの電話が鳴っています。出てみると、不気味な音が聞こえてきました。
その後、自分の部屋でクラリネットの練習をしていると、どこからか「リサ・・・」と呼ぶ声が聞こえてきてハッとします。部屋の通気口を覗いてみると、不思議なことにクラリネットの音が聞こえてきます。夜、ベッドで泣いているとドアの向こうに誰かが立っている気配を感じます。廊下に出ると物置部屋のドアが少しだけ開いているので、ドアノブを掴もうとした瞬間、ドアは勢いよく閉まってしまいます。
次の日、洗濯機の裏に小さな扉を発見しますが、鍵がかかっていました。物置部屋で、この家に引っ越して来た日に撮影したビデオテープを発見します。撮影した日付は1984年ですが、映っているリサとロビーの姿を見ると、わりと最近の映像だということが分かります。リサはビデオ映像の中に、まだ誰もいないはずの家の中に誰かが立っているのを見つけます。リサは、ウィジャボード(コックリさんのような文字盤)を使い、「あのクラリネットはあなた?私に話があるの?」「あなたは死んでるの?それとも生きてる?」と問いかけてみます。すると、一瞬目を離した間に「YES」のところに動いていたので驚きます。
夕飯の後、煙草を吸わないはずのブルースが美味しそうに煙草を吸っています。リサが驚いていると、キャロルが「いつもの一服でしょ」とリサの態度に怪訝な顔をします。
その後、いつもはみんなでミステリードラマを見るはずの時間なのに、なぜか誰も見ていません。ガレージから物音がするので行ってみると、ブルースがスパナで車を殴りつけながら、「何で動かないんだ。チクショウ」と悪態をついています。リサは、ずっと繰り返してきた日が不穏に変化していることに、戸惑いと恐怖を感じるのでした。
ハウンターのネタバレあらすじ:承・不気味な男と少女連続失踪事件
次の日の朝、トランシーバーから「怖いよ。早く下に来て」とロビーの声が聞こえてきました。下に行ってみると、ブルースがキッチンをメチャクチャに荒らしながら「車のスパークプラグがない」「どこに隠した!」と怒り狂っています。キャロルは泣きながら怯え、リサも「パパ何を言ってるの」と呆然としていると、玄関のチャイムが鳴ります。ドアを開けると電話会社の者だと名乗る男が立っており、霧のせいで電話が不通になっているから、差し込み口の点検をしたいと言ってきます。とても電話会社の人間とは思えない、邪悪なオーラをまとった不気味な男です。
その男を見た途端、気を失いそうになるリサ。男はリサの部屋に来て、「いつから気づいてたんだ?」と静かに聞いてきます。リサが怯えながら「1週間ぐらい前からかも・・・」と答えると、男は煙草を吸いながら、「この家の中で、奇妙な物音や声を聞いても無視しろ・・・もし生きている者と接触を試みるならば、お前も家族も想像を絶する苦しみを味わう」と言って去ります。
夕飯後、今朝の出来事がなかったかのように幸せそうにしている家族を見て、違和感を感じるリサ。キャロルに朝のことを尋ねてみても、「今朝のこと?・・・洗濯した服がないことを言ってるの?」とリサが何のことを言っているのか分からない様子です。リサは、もう一度ウィジャボードを使い、呼びかけてみます。「怖かったの・・・おかしいわよね。生きてるのはあなたで、死んでるのは私なのに・・・」。リサは家族全員が、とっくの昔に亡くなっていることを思い出しました。
しかし、他の家族はそのことに気付いておらず、また、どんな亡くなり方をして、いつから同じ日を繰り返しているのかも分かりませんでした。自分の部屋に戻ると、部屋の雰囲気が変わっていて、自分と同じ年頃の女の子がベッドで眠っているので驚きます。その子は現在、この家に暮らしているオリビアでした。オリビアは目を覚ましてリサの腕を掴み、必死に「床下を見て」と言ってきます。
次の日の朝、カーペットを切って床下を見てみると、新聞記事をスクラップしたノートが出てきました。「消えた少女、フランシス・ニコルズ(1953年)」、「また1人、少女が行方不明(1954年)」・・・と、少女連続失踪事件の記事が1972年までスクラップされており、ノートには洗濯機の裏の小さな扉の鍵が貼り付けてありました。早速、鍵を使って入ってみると、中は薄暗くて不気味な通路で、エーテルの空き瓶や少女達の物と思われるネックレスや腕時計が落ちていました。通路の奥には焼却炉のようなドアがあり、中で少女が燃やされて泣き叫んでいるヴィジョンが見えてショックを受けます。
家族で朝食を食べていると、電話が鳴ります。リサが代わると、あの不気味な男からでした。「でしゃばりめ・・・ここは私の家だ。ずっと昔からな。閉じた扉を開けるのはよせ」と脅してきます。電話を切って食卓に戻ろうとすると、ロビーの空想の友達のエドガーが食卓に座っていて、ロビーと楽しそうに話をしています。リサは「弟から離れて」とエドガーに怒鳴りますが、両親にはエドガーの姿が見えないようでした。エドガーは「私が見せたいものしか見えない。お前にもだ」と、あの不気味な男の声でリサに話してきます。
すると、時計がぐるぐると進み始め、さっきまで楽しそうにしていた家族が、意識を失くしたようにぐったりと座っています。リサは泣きながらロビーを抱き締めますが、家族はミイラになっていき、やがて塵となって消えていきます。「お願い、家族を返して!」と泣いていると、何事もなかったかのように家族が目の前に現れます。リサは、「どうした!?話してごらん」と心配する家族と強く抱き締め合います。
ハウンターのネタバレあらすじ:転・オリビアの思い
自分の部屋に戻ると、通気口から「リサ・・・」と呼ぶオリビアの声が聞こえます。リサは「私に構わないで!元通りが一番なのよ」と泣きながら怒鳴ります。すると、洗面所の蛇口から水が出ている音がするので行ってみると、鏡にオリビアが映っています。リサが、そっと現実のオリビアが立っているであろう場所に触れてみると、鏡のオリビアは何かに触られたようにハッとした表情をし、リサの腕を掴みます。その瞬間、リサはオリビアに憑依し、現代のオリビアの部屋が現れます。
オリビアの部屋には1985年に起きた、リサの一家が一酸化炭素中毒で亡くなった事件の新聞記事がありました。オリビアの妹と母親は、リサが憑依しているオリビアに普通に話しかけてきますが、オリビアの父デヴィットは、リサの父ブルースと同じように、ガレージで殺気立った様子で車の修理をしています。リサは、デヴィットに激しく注意された途端に元の世界に戻されてしまいます。
ガレージで倒れていたリサを心配するキャロル。気分が落ち着いたリサは、車の故障の原因はスパークプラグじゃないかとブルースに言ってみますが、おそらくエンジンバルブだろうと言われます。リサは、もう一度オリビアの世界に行くために鏡に向かって呼びかけていると、「お姉ちゃんは出しゃばりで悪い子だってエドガーが言ってるよ」とロビーからの無線連絡が入ります。洞穴でエドガーと宝探しをしていると言われ、慌てて洗濯機裏の扉に入ります。ロビーを探していると、たくさんの白骨体を見つけて驚くリサ。ロビーが無線で「引っかかった!本当は屋根裏だよ」と言ってきます。
その時、不気味な青白い男が現れ、「ロビーはまかせろ」とリサを焼却炉の部屋に閉じ込めてしまいます。たくさんの白骨体がある中で座り込んでいると、指輪が落ちているのを見つけます。指輪には「高校」「1954年」という刻印がありました。その時、天井部分の通気口が開いたので登ってみると、ガレージの排水溝の蓋らしきものがありました。上から電灯の明かりが見え、ガンガン!と何かを叩く音が聞こえてきます。「パパ?」とよじ登って蓋を開けてみますが、いたのは最初に失踪した少女、フランシス・ニコルズでした。
ガレージの鍵を壊して逃げようとしていたフランシスは、リサを見て驚きます。昨夜、映画の帰りにあの不気味な男に顔に布を押しつけられ、気付いたら車の中だった、息苦しくて死ぬかと思ったと言います。家族が一晩中心配してるはずと必死に外に出ようとしているフランシスに、リサは「一晩じゃなく、もっと長い間よ」と、フランシスが50年代にあの男に殺されてしまった事実と、家族はもう悲しみを乗り越えているであろうこと、そして目を覚ますことが必要なことを説明します。
リサが指輪を渡し、フランシスが触れようとした瞬間、あの不気味な男がフランシスの手を掴んで連れて行ってしまいます。リサが泣いていると、キャロルがどうしたの?と驚いた顔でやってきます。リサはガレージでエーテルを見つけ、「パパが・・・」とショックを受けます。キャロルに「ママにも責任があるのよ・・・何もしなかった。いい加減に目を覚まして!」と責め立てます。呆然とするキャロル。リサが家に入ると、ロビーが静かにテレビゲームをしていました。ロビーは、今朝、メガネを見つけたことで自分がもう死んでいて、この世界は現実ではないことを思い出していました。みんな死んでしまった夜にメガネをかけていたため、ずっとメガネを見つけるのが怖かったと言います。
リサは自分の部屋でクラリネットを吹き、現実の世界のオリビアに憑依することに成功します。オリビアは、タブレット端末にリサへのビデオメッセージを残していました。オリビアによると、リサ達の前に住んでいたエドガー・マリンズは、何人もの少女を殺害して1983年にこの家で死去、オリビアの父デヴィットはエドガーの幽霊に操られ、リサの父ブルースのように狂暴化していました。オリビアは、ガレージでリサのネックレスを見つけて身に着け、「あなたは分かってくれる。お願い助けて、家族を救いたいの」と懇願してきます。
その時、台所から物音が聞こえてきました。オリビアに憑依したリサが行ってみると、デヴィットが、ブルースのように車の部品のことで妻アンを激しく罵っていました。あの不気味な男エドガーがデヴィットに憑依しているのを見たリサは、アンに「すぐにこの家を出て。この男はご主人じゃない!」と説得します。リサは近づいてくるエドガーから逃げて近所の人に助けを求めますが、家の敷地外に出ようとしたところで体が動かなくなり、倒れ込んでしまいます。「愚かな娘だ。幽霊は決して住み家を離れはしない」と笑うエドガー。そのまま気を失ったリサは元の世界に戻され、キャロルが呼ぶ声で目を覚まします。
ハウンターの結末:エドガーを地獄へ
キャロルは自分が死んでいることを思い出し、「やっと分かった。私も目覚めたのよ。私が何もしなかったと言ったけど、間違いよ」とリサに語ります。洗濯したけど見つからなかった服は、ブルースの異変に身の危険を感じ、3人で逃げようとしてスーツケースに詰めましたが、結局逃げることができなかったのでした。リサはガレージに行き、ブルースと話します。「スパークプラグは誰も取ってない。パパが外したのよ」と言うと、ブルースは隠してあったスパークプラグを出してきます。「お前の話が分からない。いい加減にしないか」とリサの話を拒絶しようとしていたブルースですが、車にスパークプラグを戻してエンジンがかかると、家族にエーテルを嗅がせて車に運んだことを思い出します。「私は何てことを・・・」と泣くブルースに、リサは「違う。パパじゃない。ほかの奴がパパを操ってた。そいつの仕業よ」と言うと、車のガラスが割れます。
家に戻ると、家が崩れそうに激しく揺れています。家族全員が目覚めたため、この世界のリサの家が崩壊し、エドガーが住んでいた頃の家が現れ始めます。「この家を出なきゃ」と玄関のドアを開けると、太陽らしき光が出ています。「お日様が出てる!」とはしゃいで外に駆けていくロビー。ロビーを追うキャロル。ブルースも「キャロル!ロビー!」と追い、振り返って「もう心配ない。行こう」とリサに言いますが、リサは外に出ず、「愛してる。家族みんなを」と言って扉を閉めます。一気に邪悪な空気が漂い始めている家の中を歩くと、少年エドガーが両親を殺害しているヴィジョンが見えます。
リサはオリビアに憑依することに成功しますが、まさにエドガーに憑依されたデヴィットが、オリビアを殺そうと探しているところでした。リサは急いで洗濯機裏の小さな扉に入り、みんなで力を合わせてエドガーを地獄へ追いやるために、殺された少女達の遺品を拾い集めて呼びかけます。フランシスの指輪を手に取って「フランシス、お願い」と祈っていると、追いかけてきたデヴィットに捕まり、エーテルを嗅がされて気を失います。
意識が戻ると車の後部座席にいました。オリビアの母親アンも意識を失って車に乗せられています。口と手足にガムテープを貼られて拘束されていたため、車内に落ちていたライターでガムテープを燃やして拘束を解きます。その時、エドガーが意識を失っているオリビアの妹を運んできたため、拘束されて意識を失っているフリをします。エドガーは運転席に乗り込み、オリビアに向かって「やあリサ。オリビアを離さない気だな。見上げた根性だ。生きていた頃もそうだった」と話しかけてきます。リサは後ろからガムテープでエドガーの首を絞め、車の鍵を奪って逃げますが、エドガーはスペアキーを持っていました。エドガーに捕まり、連れ去られようとしたその時、フランシスの幽霊が現れて静かにエドガーを指差しました。
その指には、指輪がしっかりと嵌められています。フランシスがエドガーに向かって恐ろしい表情で叫ぶと、エドガーは霧が立ち込める無の世界へ飛ばされます。エドガーは、殺害した少女達と両親の幽霊に取り囲まれます。リサが「さよなら、エドガー」と呟くと、エドガーは幽霊達に取り押さえられてエーテルを嗅がされ、焼却炉の部屋で燃やされます。エドガーがいなくなったため、オリビアの父デヴィットは自分を取り戻します。「オリビア、本当にすまない」と謝罪するデヴィット。リサはオリビアに「幸せにね」と別れを告げ、眠りにつきます。
翌朝、「リサ・ジョンソン!海賊の宝を見つけたよ!・・・ハッピー・バースデー!」とトランシーバーで元気に知らせてくる、ロビーの声で目を覚まします。玄関には誕生日プレゼントの自転車が置いてあり、両親と弟が「16歳おめでとう」と優しく微笑みながらやって来ます。家族の温かさと家が戻り、信じられない思いで涙を流すリサ。玄関のドアを見ながら「外には何が?」とリサが聞くと、ブルースが「望むものは何でも」と答えます。リサがドアを開けると、明るい光が溢れます。どこからか「リサ・・・」と呼ぶ少女の声が聞こえてきます。
以上、映画「ハウンター」のあらすじと結末でした。
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