目元が似てる君への紹介:2016年フランス, ベルギー映画。なかなか子供を授かる事の出来ない黒人カップルのサリとポールが養子縁組をしたのは白人の赤ちゃん。多様性に順応していくフランス社会の新しい家族の形を模索する。
監督:リュシアン・ジャン=バティスト 出演者:リュシアン・ジャン=バティスト、アイサ・マイガ、ザブー・ブライトマン、ヴァンサン・エルバズ、ミシェル・ジョナス、ネドラ・アヤディ、マリー・フィロメーヌ・ウンガ、バス・デム、デルフィーヌ・テオドール、ほか
映画「目元が似てる君へ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「目元が似てる君へ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「目元が似てる君へ」解説
この解説記事には映画「目元が似てる君へ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
目元が似てる君へのネタバレあらすじ:起・アロカ夫妻の養子縁組
フランスの児童福祉機関ASEで働くクレールは、花屋を営む黒人のアロカ夫妻が、白人の男の子との養子縁組を前例がないとして大反対。彼女の夫は白人が黒人の子供を養子にするのがザラなら、その逆もあって然るべきと、クレールに認識をあらためるようやんわりと諭した。
事前にバンジャマンの写真を見せられ、肌の色についてはまったく気にしていないアロカ夫妻は、新しく持った家の内装の中でも子供部屋真っ先に準備し、毎日託児所に会いに行き、赤ん坊の抱き方から世話の仕方を学んだ。クレールは、夫妻がバンジャマンを引き取ると半年間の試験期間の間、家庭訪問をする約束を取り付けた。
目元が似てる君へのネタバレあらすじ:承・実家は大反対
妻サリの実家にバンジャマンを連れて行くと、同意のうえで引き取った子供を、母親は何かの手違いではと焦り、翌日にモスクへ他の親が見つかるように供物を捧げに行き、父親は理解できないと一蹴した。
家庭訪問をしに来たクレールから、託児所や小児科の検診、花屋の経営の仕事について聞かれ問題ないと答えるものの、異人種間の養子縁組は理解されにくいと言うクレールに対し、サリの両親が反対している事だけ伏せて嘘を吐いた。
内装の手伝いに来た友人のマヌは、夫妻の養子が白人だという事に最初こそ驚いたが、自身が白人の養子だった経験から、白人の夫婦の元に養子縁組されても幸せだというわけではないと、二人を励ました。
目元が似てる君へのネタバレあらすじ:転・サリの不満
白人の友人プルネと子供を連れてお茶をすれば、店員にプルネの子供と間違われ、公園や小児科では、白人の家で働くナニーと間違われ、抜き打ちで訪問に来たクレールには実家の両親に会いたいと追い打ちを掛けられ、内装の手伝いを白人のマヌに頼んでいる事を不法就労かと疑われて契約書類を明らかにするよう迫られ、ストレスが溜まっていくアロカ夫妻。
さらに、夜泣きの世話で眠れていないサリは、うっかりポールに八つ当たりしてしまったが、週末にプルネに誘われたノルマンディーに海を見せに行く約束をして仲直りをした。
ノルマンディーで、プルネに黒人の子供を養子にした白人の夫妻に引きあわされたアロカ夫妻は、クレールの家庭訪問の頻度がおかしい事に気づいた。その頃、クレールはサリの実家を訪ね、実は二ヵ月以上連絡を取ってないほど仲がこじれている事を知った。
目元が似てる君への結末:バンジャマンを迎えるために
クレールに嘘をついていた事を知ったサリの家を訪ね、クレールが訪ねて来た事を伝えると、ポールはASEに問い合わせ、上司のヴィダルは干渉しすぎだとクレールを夫妻の件から外した。
一方、それまで白人の養子を受け入れられなかったサリの母親は、泣き止まないバンジャマンが何をして欲しいのかすぐに気づき、世話をしているうちにバンジャマンを孫として受け入れ、サリが出掛ける時は預かるまでになった。
しかし、少し同じ団地仲間のナニーにハズけている間、見回りの警官に不法滞在を疑われ、IDの提出を求められるも拒否し、預かっていた子供ごと警察署に連れていかれ、サリの母親は養子縁組の孫だと言っても信じてもらえず、アロカ夫妻が駆け付けた時、バンジャマンはASEに引き取られた後だった。
プルネの紹介の弁護士に頼み、なんとかバンジャマンを取り戻そうとするも、話を通してもらえず、託児所に戻されたバンジャマンはミルクを飲まなくなり、保育士はアロカ夫妻の元へ戻すように進言するが、クレールが首を縦に振らず、病院に搬送された。
連絡を受けた夫妻たちはミルクを持って病院へ駆けつけ、面会をしようとするが養子だという事を信じてもらえず、誘拐と疑われ、警備員を呼ばれてしまい、一室に立てこもりミルクを飲ませあやした。到着したクレール達に、ミルクを飲み終えたバンジャマンを引き渡そうとすると、クレールは夫妻がバンジャマンを引き取る事を正式に認めた。
その後、無事に一歳の誕生日迎えたバンジャマンは、頑固だったサリの父親に受け入れられ、皆に誕生日を祝われた。そしてアロカ夫妻とバンジャマンの写真はASEの待合室の壁に飾られた。
以上、映画「目元が似てる君へ」のあらすじと結末でした。
目元が似てる君へのレビュー・考察:多様性と順応を求められるフランス
EU内でも旧植民地ほか社会問題にも度々あげられるほど移民の多いフランス。『多様性』を掲げ受け入れを続けた結果、現在は移民二世、三世が活躍の場を広げている。今作品のアロカ夫妻も花屋の経営をしており、フランスで成功してる移民二世として登場している。養子縁組の文化はフランスだけでなく欧州圏内では古くからあり、アジア、アフリカ、南米から受け入れることも多く、所謂異人種間での養子縁組も珍しい事ではない。ただ作中で夫妻が待っていた部屋に貼られていた写真は、黒人の子供を引き取った白人のカップル、モンゴロイドの子供を引き取った白人のカップルで、ステレオタイプを皮肉っているように思う。また、サリの他にも、小児科の場面で養子を迎えたゲイカップルなども当たり前のように出てきており、フランスの目指す多様性に注目したい。
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