乙女の祈りの紹介:1994年ニュージーランド,アメリカ映画。実際に米国で起きた「ポーリーンとジュリエット」の事件に基づく。この作品のモデルとなったミステリー作家、アン・ペリーはジュリエット本人。大人は分かってくれない、私達を引き離さないで!思春期の友情が狂気に変わる瞬間(とき)を描く。
監督:ピーター・ジャクソン 出演者:メラニー・リンスキー(ポーリーン)、ケイト・ウィンスレット(ジュリエット)、ダイアナ・ケント(ジュリエットの母)、クライヴ・メリン(ジュリエットの父、ヘンリー)、サラ・パーズ(ポーリーンの母)、サイモン・オコナ―(ハーバード)
映画「乙女の祈り」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「乙女の祈り」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「乙女の祈り」解説
この解説記事には映画「乙女の祈り」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
乙女の祈りのネタバレあらすじ:起
冒頭で、2人の10代くらいの女の子が異常な程悲鳴を上げ、顔に血を塗りたくり、「お母さんを殺してしまったの!」と暴走して近所の家のおばさんに伝えているところから始まります。クライストチャーチの規律の厳しい女子高校へ通うポーリーン。彼女は中流家庭に育ち、ナンセンスなダジャレを言う父と過保護な母との生活にマンネリ化した気持ちを抱いていました。そんな時、彼女のクラスに、ジュリエットという美しい転校生がやってきます。ジュリエットは初日早々に教師に突っかかって意見を述べたり、個性的な女の子でポーリーンは彼女に好意を感じます。
乙女の祈りのネタバレあらすじ:承
ポーリーンとジュリエットは共に虚弱体質で幼い頃から病気で入院する事が多かった為、空想世界に逃げていました。そればかりでなく、好きなオペラ歌手やイケメンのハリウッドスターが同じことが分かると、2人は思春期の女の子特有の淡く微笑ましい友情を育むようになりました。ポーリーンの家にジュリエットが遊びに行ったり、ジュリエットの家族とポーリーンが混じって出掛けて海水浴を楽しんだりと順風満帆なはずでした。2人はお互いに作家になることを夢見ていて空想小説をお互いに作ってはそのなかに逃げ込んでいました。そうすることで2人は憂鬱な現実を紛らわせ、自由でありたいと願っていたのです。実は、ジュリエットは母親が不倫していて、父親は厳格で気難しい大学教授でした。ポーリーンは愛されて育っていますが、母親の過干渉にうんざりし、鬱屈した気持ちを抱いています。
乙女の祈りのネタバレあらすじ:転
ジュリエットが授業中に血を吐き、肺結核の為に入院することになりました。しばらく彼女に会えない事を悲しむポーリーンは文通をしてジュリエットと距離を保っていましたが、お互いに「会いたい」気持ちが離れません。ポーリーンは実家であり、下宿屋を経営する両親のもとにいる下宿人の若い男、ハーバードと成り行きで一夜を過ごしてしまい、母親から理不尽な叱り方をされて不満を抱えます。まだ子どもなのに男を部屋に入れて一夜を過ごすなんて穢れていると言われたのです。ジュリエットの退院後、2人は漸くモヤモヤした気持ちから開放されて交際を続けようとしますが、ジュリエットの父は娘とポーリーンの親密さに違和感を抱き、ポーリーンの家を訪ねて、彼女にカウンセリングを受ける事を提案します。ポーリーンはカウンセラーにジュリエットを好きか、どう思っているか等ことごとく容赦ない質問に怒りを抱えます。結果、レズビアンの傾向がみられると診断されてしまい、ジュリエットとポーリーンは互いの両親によって交際を禁じられるばかりか、ジュリエットを「病気の療養の為」としてオーストラリアに行かせる決断をします。ポーリーンは母親にその事でことごとく言われ、ジュリエットと会えなくなるのは母親のせいだと思い込み、2人はポーリーンの母殺害計画をたてて日記に小説のようにその内容を書き記しました。
乙女の祈りの結末
いよいよです。道端で母とポーリーンとジュリエットが歩いています。ジュリエットの母は「じゃあここでね、ジュリエット。またね」と笑顔で彼女に声を掛けます。ポーリーンはふと、ジュリエットがわざと落とした宝石を拾おうとする母を躊躇いもなく煉瓦で殴りつけます。呻き声を上げる母をポーリーンはジュリエットと協力して命を奪いました。自分を天塩掛けて育ててくれている母はポーリーンにとってジュリエットとの間に立ち入る「邪魔者」でしかなかったのです。2人は殺害している間に、船の上で大勢の客に見送られるジュリエットと彼女と離されて見送るしかないポーリーンという状況の妄想世界へ逃げ込みます。
この殺人事件が起きたニュージーランドクライストチャーチのカシミアヒルズの隣町に住んでいた頃に、丁度この映画が公開されました。タイタニックに出演する前のケイト•ウィンスレットが出ています。イギリスらしい彼女の美しさがクライストチャーチの英国風の街並みに良く似合っていました。母親を殺してしまう2人が実際に通っていた高校も勿論実在し、制服も劇中で使われていた物と似ていたためとてもリアルでした。美しく儚く残酷な少女たちの物語です。